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» 2012年05月16日 08時00分 UPDATE

思い出をカタチに:「プチコンmkII」で懐かしむ「レトロPC」の世界 (1/3)

Twitterで相互フォローをしている某氏から、8ケタの番号が書かれたナゾめいたDMが届いた。近所のコンビニに向かい、コピー機のタッチパネルから指示された予約番号を打ち込む。吐き出されたA3用紙に印刷されていたのは、23枚のQRコードと取り扱い説明書だった……。

[瓜生聖,ITmedia]

このQRコードは……?

 ニンテンドー3DSを取り出して「プチコンmkII」を立ち上げる。カメラが起動し、次々とQRコードを読み取っていく。そしてRUN。画面には赤、青、黄、緑の特徴的な4色で描かれるタイトル画面が現れた。某氏の自作ゲームだった。

 TwitterにQRコード、ネットプリントにカメラ内蔵携帯ゲーム機と、現代のテクノロジーづくしの風景だが、微妙にオンラインからはみだしたコミュニケーションと手作りのプログラムは、古き良き「レトロPC」の時代を感じさせる。そう、あのころパソコンは夢の機械だった。

 「レトロPC」は、元々RetroPC Foundation代表世話人である高木啓多氏(森瀬繚氏)の造語だ。氏の想定するレトロPCは「国産非AT互換パソコン」だが、すでに一般化された感があり、人によって対象範囲が異なっている。

 「1980年代の国産8ビットPC」だ、という声もあれば、「ならば16ビットのぴゅう太はどうなる」「海外製のZX-81、VIC-1001を外すのはおかしい」「PC-9801が一番売れたレトロPCだろ」「16ビットまでは含めないとX68000が入らない」「いやいやFM-TOWNSがあるんだから32ビットまでにしなきゃ」「Windowsが走るのにレトロPCはないだろ」「MSXは共通規格だから邪道」「ファミリーベーシックも入れるべき」「それゲーム機のソフトじゃないか」「じゃあBASICをROMで搭載しているPCということに」「クリーンコンピュータなめるな」など、反論は尽きない。結局のところ、レトロPCとはそこに「ノスタルジー」を感じるかどうかなのかもしれない。

 とはいえ、レトロPCとして誰もが認め、かつ、メインストリームと見なされるであろうシリーズはいくつかに絞られる。NECのPC-8801、富士通のFM-7、シャープのX1などだ。電波新聞社(マイコンソフト)やエニックス(現スクウェア・エニックス)、ハドソン(現コナミデジタルエンタテインメント)などからリリースされたゲームは、これら3シリーズに対応したものが多かった。

 性能としてはどれも似たようなもので、Z80や6809などの8ビットCPU、クロック数は2〜4MHz、64キロバイトのメモリ空間、640×200ピクセル同時8色、PSGやFM音源を搭載する。しかし、メーカー間の互換性はなく、むしろ積極的に差別化を図っている。

 この前時代のPCが好事家を魅了してやまない理由はさまざまだろう。

 貧弱なハードウェアなのにアーケードから無茶な移植を行われたゲームにそそられる人もいる。PC-6001mkII版のスペースハリアーは敵がすべて四角で表示されるという仕様だが、大方の予想に反して「すばらしい」という意見が多い。

 ハードウェアの独自性と、ソフトウェアのアクロバティックなまでのテクニックにひかれる人もいる。その両方とも現在の高度に発達したコンピュータ界隈では目にすることがなくなったものだ。ハードウェアはWindowsとMacに収斂(しゅうれん)し、ソフトウェアは高度なアルゴリズムによって一般人の理解を超えてしまった。我々が日常的に利用しているSSL、MP3やJPEGのアルゴリズムを理解できる人は少数派だろう。どれも数学の素養がなければ到底理解できるものではない。

 一方、レトロPC時代のソフトウェアで利用されているテクニックやフォーマットは仕様を知れば「ああなるほどね」と理解しやすいものが多い。タイリングペイントの画像に特化したMAG形式、ディスクアクセスや画面クリアの高速化など、それらのテクニックは「とんち」のような一面を持つ。現在のOSでは高度なアルゴリズムを意識せず、簡単に使えるようになっているが、ブラックボックス化しているのもまた事実だ。そこに「パソコンが自分の手から離れてしまった」と感じるレトロPC愛好家は多いはずだ。

 そんな人は是非、ニンテンドーDSi/3DSとプチコンmkIIを手にとっていただきたい。

あの日、そのままの延長線

og_puticom_000.jpg プチコンmkIIの画面

 プチコンmkIIは、スマイルブームから発売されているニンテンドーDSi/3DS用のBASIC「プチコン」の後継製品だ。ダウンロード販売されており、価格は800DSiポイント(800円)。もともとレトロPCマニアをターゲットにしているプチコンシリーズは、オブジェクト指向や複数行IF文といったモダンな文法を取り込むことなく、当時のBASICにかなり近い文法を採用している。しかし、ニンテンドーDSi/3DSという携帯ゲーム機そのものがプラットフォームというだけあって、表現力と高速性に優れた機能が満載となっている。その1つがグラフィックス機能だ。

 プチコンのグラフィックス画面は5層構造になっている。最も下層にあるのが単色の背景画面で、事実上、単なる背景色にすぎない。2層目はグラフィックス画面。線を引く、色を塗る、といったLINE&PAINTなどの描画対象となる画面だ。このグラフィックス画面は上下合わせて4ページ分あり、ダブルバッファとして利用できる。3層目と4層目はBG画面で、8×8ピクセル単位で作成したビットマップのタイルを並べられる。そして、最も上にあるのがコンソール、つまり文字が表示される画面になる。さらに自機・敵機、弾などを表現するスプライトも利用可能だ。スプライトはコンソール画面上含め、グラフィックス画面以上のどこにでも配置できる。

 グラフィックス画面とコンソール(テキスト画面)が別レイヤーになっている点は、レトロPCの経験者であれば「ああ、そうだった」とピンとくるだろう。その一方で、BG画面にはなじみのない人が多いかもしれない。プチコンのBG画面は8×8ピクセルで描かれたキャラクターを表示するための画面だ。これはPCG(Programmable Character Generator)と考えると分かりやすい。表示画面は32×24ブロック(256×192ピクセル)だ。

 スプライトも16×16ピクセルで512種類分(128x128ピクセルを8枚分)を定義でき、同時に100個を操作できる。これらのリソースはキャラクターデータ、BG画面データ、グラフィックスデータ、といった種類ごとにファイルに書き出し、読み込みが可能だ。プログラム内で読み込むことができるので、各面ごとに登場敵キャラのデータを差し替えることも難しくない。

og_puticom_002.jpgog_puticom_003.jpg プチコンのグラフィックスレイヤー。なお、下画面はコンソール画面の代わりにソフトウェアキーボードなどのパネル画面になる(画面=左)。ファイルとリソースの関係。読み込みはほとんど一瞬だ(画面=右)

 また、グラフィックスと並んでサウンド機能も充実している。プチコンmkIIではTALKコマンド(音声合成)、MMLにも対応し、BGM、効果音、音声合成合わせて16音が同時発音可能になった。プリセットで効果音70種類、BGM用の楽器音色128種類、ドラムセット2種類、BGM30曲が用意されている。

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