デルは11月29日、23型フルHDディスプレイ「E2311H」を発表し、同日より販売を開始した。E2311Hは、同社液晶ディスプレイ製品のエントリーモデルである「E」シリーズの製品。解像度は1920×1080ドット(フルHD)、応答速度は5ms、輝度は250カンデラ/平方メートル、コントラスト比は1000:1。パネルはノングレアのTNパネルを採用する。価格は1万4980円だ(税込み)。
同日行われた製品発表会では、同社マーケティング統括本部リレーション製品マーケティング本部 ブランドマネージャーの河田浩行氏が液晶ディスプレイ製品の販売戦略について説明した。
デルはPCメーカーとしてのイメージが強いが、プロジェクター、プリンタなどのPC周辺機器にも注力し、トータルソリューションを提供する企業を目指すという。周辺機器の中でもディスプレイは売れ行きがよく、河田氏は「IDCの調査では、日本国内においてデル製のディスプレイが最も売れているという調査が出ている」とアピールした。2012年9月における同社のシェアは出荷台数ベースで16%となっており、「これからもシェアを伸ばしていきたい」(河田氏)という。
今後、デルは手ごろな価格で購入できる“スマートモニタ”のラインアップを拡充していく構えだ。スマートとは主に、タッチなどの先端技術、広視野角のIPSパネル、デザインを指す。中でもIPSパネルについては、「コストが下がったことで、さまざまな製品で採用しやすくなった」(河田氏)という。
続いて、河田氏はディスプレイ製品の特徴を説明。多様なニーズに対応する豊富なシリーズや、充実したサポート体制、環境への配慮を挙げた。
現在、デルのディスプレイ製品は、コストパフォーマンスに優れるエントリー機から、出荷時のキャリブレーションなどで色再現性を高めたハイエンド機まで、さまざまなシリーズを用意しているが、その多くは法人向け用途を想定したものだ。
個人向けの製品としては「S」シリーズや「IN」シリーズが挙げられるが、それ以外の「デジタルハイエンドシリーズ」、「プロフェッショナル」シリーズ、「E」シリーズは基本的には法人向けの製品だ。とはいえ「法人向けの製品も、個人で購入できるので明確な区分はない」(河田氏)としている。
サポート体制については、故障が発生した場合、不良品を回収する前に、まずデルから代替品を送る「翌営業日交換サービス」や、パネル上のピクセルに1つでも欠陥があった場合は無償交換する「プレミアムパネル保証」(デジタルハイエンドおよびプロフェッショナルモデルのみ)を紹介した。期間はどちらも標準で3年間だ(オプションで延長可能)。環境への配慮については、消費電力の少ないLEDバックライトモデルの拡充や、自動スリープ/輝度低減機能の「PowerNap」を紹介した。
会見後の質疑応答では、ディスプレイの販売台数についての質問が出た。同社は国内シェアトップを守り続けているものの、ディスプレイの販売台数は減ったという。「ノートPCが普及したことで、昔よりもディスプレイの販売台数は減っている。だが一方で、ノートPCに接続してデュアルディスプレイにするといった用途た増えた」(河田氏)。
Windows 8が出たことで、タッチ操作に対応するモデルも増やしていく構えだ。「今後はタッチ対応のモデルも選択肢の1つとして確立するだろう。個人利用以外にも、ホテルや医療現場などさまざまな場所で使われる可能性もある」(河田氏)。新たな利用シーンを訴求し、ディスプレイの需要を喚起することが、今後の課題だという。
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