「初心者だって最強NASが欲しい!!」の巻ゼロから始めるQNAP 第0回

» 2013年01月25日 18時00分 公開
[小川夏樹,ITmedia]

我が家にQNAPがやってきた

QNAPのTurboNASシリーズ「TS-119P II」

 今回よりQNAPの最強NASこと「TurboNAS」シリーズを使っていくことになったのだが、正直言って(胸を張っていうことではない)、筆者はNASというものがどういうモノなのか、いまいち理解していない。USBの外付けHDDと同じで、接続がLAN経由になったストレージ、という程度の認識しかない完全なNASビギナーである。

 PC USERでは、瓜生氏の連載枠で、QNAPのTurboNASを継続的に取りあげており、高度な内容を含むさまざまな活用方法や、最新ファームウェア情報を丁寧に解説してはいるものの、記事を読むたびにあまり初心者向けではないと感じていた。また、最近NASに興味が出てきたので、どの製品がいいのか周囲の人に聞いてみても「NASならQNAPでしょ」と勧められることは多いのだが、なんだか難しそうで、ビギナーの筆者にはI社やB社の製品がお似合いなのでは……とも思っていた。

 そんなときに、ちょうど編集Gから「じゃあQNAPを使ってみますか? あ、原稿は明日の朝までにお願いします」と申し出があったので、それならば、と自分と同じような初心者に向けて、NAS導入記を書いてみようと思い至ったわけである。これから複数回に渡って、筆者と同じようなNAS初心者を対象に、QNAPを使ったPCとの連携や、Androidでの活用に挑戦していきたいと考えている。

 とその前に、今回どうしてNASを利用したいと思うに至ったのか、その経緯を少しだけ説明しよう。

あまりにも散らばりすぎたデータを1つにまとめておきたい!

 インターネットの世界では、いろいろな仕組みや呼び方が登場したと思ったら、いつの間にか一定方向への流れが決まって、みなそちらの方向へ流れて行き、いつ誰がそれを決めたのか、さっぱり分からないうちに、急に話が進んでいたりする。ついこの前までドットコムだWeb 2.0だの言っていたと思ったら、今度はクラウドだのビッグデータだの次々と新しい言葉が登場して、めまいを覚えるほどだ。

 例えば、インターネット上のサーバにデータを保存しておき、ファイルをいつでも取り出せるようにするオンラインストレージサービスも、最近ではクラウドストレージと呼ばれることが多くなり、PCだけでなく、スマートフォンやタブレットといった端末の違いを意識することなく、データを共有できるように変化してきた。

 そうしたストレージの活用方法として「データを1つのサーバに保存しておくよりも、複数のサービスで分散させておけば、どこかが停止してしまった場合でも安心だよね」なんていう言葉に筆者はホイホイ乗っかってしまい、よく分からないうちに各種クラウドストレージサービスで無料アカウントを取りまくっていたら、管理すべきサービスが増えすぎて収拾がつかなくなってしまった。今ではPC用の同期ソフトが競合を起こしてしまい、仕方なしにWebブラウザベースでデータにアクセスするといったトホホな状態になっていたりする。

筆者のAndroid端末に入っているクラウド関連ツール、Android版が出ておらずWebブラウザによるアクセスだけのサービスもある(写真=左)。SanDiskの「Memory Zone」というアプリを使うと、複数のクラウドストレージサービスを一元管理できるようになる(写真=右)

 また、筆者の場合、Android端末では、SanDiskの「Memory Zone」というクラウドストレージサービス用アプリを使うことで、対応しているクラウドストレージを一元管理しているのだが、残念ながら利用しているサービスすべてには対応していない。自分が持っているどのデータがAndroidで使えて、どのデータが使えないのかも把握できていない有様だ。

 それでは、いったいどれだけオンラインストレージのアカウントを持っているのか、ということで、現在筆者が登録しているサービスを挙げてみると、以下のようになった。

  • Dropbox
  • SkyDrive
  • Google Drive
  • KDrive
  • Picasa
  • Box
  • ADrive
  • Pogoplug
  • ASUS WebStorage
  • Evernote
  • MEGA

 全部で11サービスある。ADriveとMEGAは無料で50Gバイトずつで100Gバイト、それ以外は平均5Gバイトなので40Gバイト程度、全部で140Gバイトくらいのものである。これらのうちPicasaような特定のファイル形式しか保存できないものを除くと、残りのサービスは、Webブラウザ経由だけでなくAndroid端末からのデータ保存や閲覧に対応しているため、どこに何を保存したのか、といったことが分からなくなりやすい。

 こうしたクラウド上に点在しているデータを、とりあえずは1つにまとめて、重要データとして保持しておきたいと考えた。筆者の性格上、複数のオンラインストレージをいったんすべて整理して、もう一度最初からしっかり管理しないと、いつか相当まずいことになるのは目に見えている。そのためにも、元になるオリジナルのデータを1つは持っておく必要があると感じたのだ。これが1つ目の理由。

Windows 8環境へバックアップ無しで移行したフォローをいまさらやりたい

自分の意図とは裏腹にWindows 8 Proがインストールされてしまい、古い環境が「Windows.old」として残っている筆者のPC環境。このWindows.oldだけで100Gバイト近くのサイズがある

 NASの導入を考えたもう1つの大きな理由は、PC環境を32ビット版Windows 8 Proへと上書きインストールしてしまったことにある(インストールするつもりはなかったのだが、ダウンロード購入の処理を間違えてしまったのだ)。そして、旧環境を整理する前に上書きインストールしてしまった結果、古い環境は「Windows.old」という名前のフォルダに追いやられてしまったのである。

 この旧環境内にあるファイルの整理と、ファイルの整理が終わったらデータをバックアップしたいと考えた。もちろん、メインのOSはWindows 8なので、Windows 8から簡単に利用できるバックアップ手段、というのが求めているNASの条件だ。

自宅内で使っている各PCでファイル共有をする

 筆者宅では複数のPCが稼働しており、これらのPCでファイルをやり取りするには、フォルダの共有設定を行う必要がある。自宅で使用しているブロードバンドルータに外付けHDDを接続することでデータを共有する手もあるのだが、これだと2.5型HDDまでしか接続できない。

 筆者のメインPCには2TバイトのHDDが装着されており、残っている空き容量は500Gバイトを切っている。これ以外にも160Gバイトと250GバイトのHDDが装着されているので、メインPCをバックアップするには、それだけで3Tバイト近いのストレージが必要になる。これが3つ目の理由だ。

筆者宅内のLANで見えているPCや端末。NAS環境は用意されていないので、基本的にはファイル共有やフォルダ共有でデータをやり取りするようになっている(写真=左)。160GBバイト(149Gバイト)、2Tバイト(1.81Tバイトで477Gバイトの空き)、250Gバイト(232Gバイト)を合わせると約2.4Tバイトになる筆者のメインマシンのHDD容量

 このような経緯から、NASの利用を検討していたところに、編集Gから冒頭の申し出があったというわけ。大容量のデータをバックアップできて、スマホやタブレットでも使えて、Windows 8にも対応しているNAS――それが今回から利用を開始するTurboNASシリーズ「TS-119P II」だ。

 定評のあるQNAPの製品なので、信頼性という点では折り紙付きだろう。ただ、国内周辺機器メーカーのような、分かりやすいサポートサイトがあるわけではなさそうだ。そうした点では、非常にハードルが高そうに見えるQNAPを使ったデータ活用だが、今後どうなっていくのかこうご期待、といったところである。

 ちなみに、最初の回ではTurboNASのセットアップ方法を紹介しようと思っていたのだが、「TS-119P II」が筆者宅に到着して、原稿を書くために開封したところでようやくHDDが入っていないことに気付いた(すでに深夜になっていたためHDDを買いに行くこともできない)。当然ながら、まだ接続すらできていない状態である。「TurboNASはNASキット。HDDは自分で用意する」ということさえ失念してしまうほどの初心者ぶりで、今後の先行きがかなり不安なのだが、これからNASマスターへの道を踏み出していきたいと思う。

 TurboNASの接続とセットアップに関しては、記念すべき第1回で紹介する予定だ。

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