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» 2013年04月03日 10時50分 UPDATE

特集「ついにやってくるギガビット無線LAN」:第2回 「802.11ac」の特に優れたポイント──「電波干渉対策」 (1/2)

国内でも販売されるようになった次世代無線LAN規格「IEEE802.11ac」。これまでのWi-Fiとは何が違うか、なぜ高速か、どこにメリットがあるか。第2回めはこれまでの2.4GHz帯Wi-Fiで問題になりがちだった“干渉問題”の対策、そして第2世代にはどんな機能が備わるかを解説する。

[坪山博貴,ITmedia]

電波干渉対策を強化した「802.11ac」

photo 802.11ac(Draft)対応のハイエンド無線LANルータ「AtermWG1800HP(PA-WG1800HP)」。802.11acでの高速通信を享受できるよう、同機種を2台用いて通信する、親機/イーサネットコンバータセットパッケージも用意する

 第1回めは、「IEEE802.11ac」にどんな特長があるかという基本を解説した。続く2回目は、「なるほど、だから高速になるのか」と納得できそうな機能を深掘りしよう。

 802.11acは使用する周波数をよりクリーンな5GHz帯に一本化し、既存規格である802.11nで培われた技術をシンプルに拡張することで大幅な高速化を実現することは前回説明した。

 改めて、5GHz帯は2.4GHz帯と比べると利用可能な周波数幅が広く、他の無線機器と干渉する可能性も低い。ただし今後──802.11acの普及が進めば、既存の2.4GHz帯のように混雑して無線LAN同士での干渉が問題になる可能性があるのでは? こう心配するするどい読者もいるだろう。802.11acは、この点についても当初よりきちんと配慮されている。

 802.11acは帯域幅シグナルがRTS/CTS(送信要求/受信準備完了)に付加され「アクセスポイントとクライアントの両側で干渉を検出する」仕組みを取り入れた。

 無線LANは、送信側が「送信してもよいですか?」という信号(RTS:Request To Send)を受信側に送り、受信側がOKの信号(CTS:Clear To Send)を返すことでデータ送信が始まり、それを繰り返すことで通信する仕組みだ。この点、802.11acは“アクセスポイントが干渉せずに利用できるチャンネル情報”もRTSに乗せて送り、同じく受信側も「干渉のないチャネル情報」をCTSに乗せてアクセスポイントに返す動きをする点がこれまでの規格とは異なる。

 仮にクライアント側のチャネルが空いている(複数のアクセスポイントからの電波を受信できる)状態であっても、双方で電波干渉のないチャネルを確認し、それのみを用いて通信する。結果として、通信を強行することでエラーとなってしまうチャネル分のデータを“再送”するより効率よくデータを送受信できることにつながる。いわゆる「自律制御」が大幅に強化されているのがポイントだ。

photo 802.11acでは、アクセスポイントとクライアントがそれぞれクリアな(空いている)チャネルを通知し、その情報をもとに干渉がないチャネルのみを使って通信する。実際に通信を強行してエラーとなったチャネル分のデータを再送するより、効率よく通信が行える(「Cisco 802.11ac:第5世代のWi-Fi規格テクニカルホワイトペーパー 2012年8月版」より抜粋)

 この機能のおかげで、802.11acではまったく同じチャンネルを使うアクセスポイント同士が近接している場合でも、これまでより効率よくデータ送受信ができるというわけだ。80MHz幅の周波数が完全に重なってしまった場合も、基本となる20MHz幅のチャネルが異なれば20M/40M、および一定時間時間経過後の80MHz幅単位で空いているチャンネルを使って、干渉なしにデータの送受信が可能だ。

 なお、5GHz帯の有効チャネル数は2.4GHz帯より多いとは言え、例えば80MHz幅を使うとなると完全に干渉なく利用できるチャネルは4つ分となるので、決して潤沢というわけではない。このため、その高速性をいかんなく発揮できるよう、自律制御を強化する機能を設計段階から取り入れてある。

photo 802.11acにおける並列送信の例。異なる2つの近接するアクセスポイントが同じチャネルを使用していた場合においても、制御信号を含むプライマリチャンネルが異なれば周波数を分け合って通信を行う。他方のアクセスポイントの通信が終了すれば、もう片方は80MHz幅をフルに利用できるようになる──というようにかしこく「自律制御」を行う仕組みを取り入れている「Cisco 802.11ac:第5世代のWi-Fi規格テクニカルホワイトペーパー 2012年8月版」より抜粋)
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