マカフィーは6月14日、インテルとの共同開発によるセキュリティ機能を組み込んだコンシューマー向けセキュリティ製品「McAfee LiveSafe」の国内説明会を開催した。インテル製CPUの機能を使ったハードウェア支援型セキュリティでは、すでに「Deep Defender」が提供されているが、コンシューマー向け製品での共同開発はこれが初めて(関連記事:「Intel×McAfeeの「DeepSAFE」でサイバー犯罪者の1歩先へ)。
日本国内ではデルなど特定メーカーのPCおよびタブレット端末にプリインストールされる形で6月より提供を開始、7月から製品単体での販売も行う。価格は1年版のサブスクリプションで7980円。
McAfee LiveSafeは、PC、Mac、タブレット、スマートフォンを台数無制限で包括的に保護するマルチデバイスセキュリティ製品「マカフィーオールアクセス」の機能を引き継ぎつつ、新たに顔・音声認証をサポートしたのが特徴だ。
具体的には、クラウドベースのオンラインストレージ「Personal Locker」に保存したデータの保護に、PINコード、顔認証、声帯認証の3段階の保護を設定できるほか、第4世代Coreを搭載するシステムでは、インテルIPT(アイデンティティ・プロテクション・テクノロジー)を使うことにより、PINコードの入力を省略するといった連携機能も備える。
同製品の概要は、CMSB事業本部マネージャーの小川禎紹氏が解説。複数のOS、複数のデバイスを単一コンソールで管理できるマルチデバイスセキュリティや、盗難防止対策のアンチセフトといった従来の特徴に加えて、クラウドでパスワードを一元管理する「SafeKey」や、セキュアなオンラインストレージ「Personal Locker」、Windows 8向けの新UIである「マカフィーセントラル」などを紹介した。
同日行われた説明会では、米McAfeeのトッド・ゲブハート氏も登壇し、製品開発の狙いや今後の事業方針について言及した。
同氏はインターネット環境を取り巻く大きなトレンドとして、IP対応デバイス(インターネット対応機器)の爆発的増加、これに伴う個人情報/ソーシャル情報の増加、IP対応デバイスを使ったEコマースの成長という3つポイントを挙げ、別の側面として個人情報を集積したデバイスの紛失や盗難によるリスク、パスワード管理の煩雑さといった問題が顕在化していると語る。
「我々が行った調査では、コンシューマーユーザーの半数は、財布をなくすよりもスマートフォンの紛失を恐れているという結果が出ている。その理由は明確だ。スマートフォンには個人情報、ユーザーがどんなライフスタイルを送っているかの情報がすべて入っている。しかし、米国の空港では毎週10000台のペースでスマートフォンが紛失または盗難にあっているというデータもあり、リスクは増大している」とゲブハート氏。
「また、記憶すべきパスワードが増えているのも懸念事項の1つだ。ユーザーがパスワード入力をともなうサイトへ訪問する平均的な数は5サイトというデータがあるが、情報保護の重要性が高まる一方で、ユーザーは5つのサイトすべてで同じパスワードを使用し、数字の羅列である場合も多い」と指摘し、コンシューマーの動向に合わせてセキュリティ製品も進化すべきとの考えを強調した。
そこで同社は、パフォーマンス、より深いセキュリティ、永続型の保護、ソフトとハードの統合、個人情報保護という5つの分野に注力し、インテルと共同でこれらの課題に取り組んでいく。そのコンシューマー向け製品第1弾として登場したのがMcAfee LiveSafeだ。
「次世代のコンシューマーセキュリティは、セキュリティモデルの仕組みを変えていくだろう。McAfee LiveSafeは、1つのサブスクリプションで、すべてのデバイスを保護し、ユーザーのデジタルライフスタイルそのものを守る。今後は(インターネット接続対応)テレビや、洗濯機、冷蔵庫も対象になるかもしれない。あらゆるデバイスが保護される。デジタル体験が確実に安全なものであることを保証していく」(ゲブハート氏)。
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