連載
» 2014年03月03日 17時30分 UPDATE

SOHO/中小企業に効く「NAS」の選び方(第4回):「NAS」はLinuxで十分か、それとも……

NASの特徴や選び方、さらに最近のトレンドなどを紹介してきた本連載。今回は存在感を増しつつあるWindows Storage Server搭載のNASが、Linux搭載のNASと何が違うのかをチェックしよう。

[山口真弘,ITmedia]

←・SOHO/中小企業に効く「NAS」の選び方(第3回):NAS選びに失敗しないための3大チェックポイント

Linux搭載NASと、Windows Storage Server搭載NASは何が違うのか

 NASに用いられているOSには大きく分けて、LinuxとWindows Storage Server(WSS)の2種類が存在する。これらOSの違いによる具体的な機能差は、NASの機種選定を行うにあたって知っておきたいところだ。

tm_1403_nas4_01.jpgtm_1403_nas4_02.jpg バッファローがラインアップするNAS製品群「TeraStation」の例。左がLinux搭載の「TS5400D」シリーズ、右がWindows Storage Server 2012 R2搭載の「WS5400DWR2」シリーズだ。どちらも同じ基本設計の4ドライブNASだが、搭載OSと諸機能が異なる
tm_1403_nas4_03.jpg アイ・オー・データ機器のWebサイトに掲載されているNAS製品ラインアップ。「法人向けモデル」の「通常モデル」はLinux搭載機、「Windows Storage Server搭載モデル」はWindows Storage Server搭載機となっている

 各メーカーのWebサイトやカタログでNAS製品のラインアップを見ると、「Windows Storage Server 2012搭載」「Windows Storage Server 2008 R2搭載」などと表示されている機種があることに気づくだろう。省略して単に「2012搭載」「2008R2搭載」などと表現してある場合もある。この表示がないタイプは、現状でほぼすべてLinux搭載NASだ。

 両者にはどのような違いがあるのだろうか。

 まずLinux搭載NASは、NASの中では一般的に低価格な部類に属し、それゆえ出荷台数も多い。家庭向けに販売されているNASは、ほぼすべてがこのLinux搭載NASと言ってよいだろう。Windowsだけでなく、Macからアクセスできるといったメリットもある。

 ただし、Linux搭載NASは、Windowsドメイン環境で使われるActive Directoryに完全対応していないため、Windowsドメインで管理される大規模な社内ネットワークで使う場合、アクセス制限の設定およびメンテナンスに手間がかかりがちだ。

 また、法人ユースで重要とされる、多人数による同時アクセスにはあまり強くなく、接続数が増えるにつれてパフォーマンスは下がりやすい。利用目的にもよるが、どちらかというとワークグループ環境で運用されている小〜中規模オフィス向けの製品と言える。

 これに対してWindows Storage Server搭載NASは、OSそのものがWindows系列ということで、Windowsのネットワーク環境との親和性は極めて高く、設定もリモートデスクトップでログインして行うなど、操作性もWindowsそのままの感覚で使える。

 前述したActive Directoryにも完全対応しているので、Windowsドメイン環境で使うにあたって、ユーザーおよびグループに対するアクセス制限もスムーズに設定できる。また多人数での同時アクセスに強く、パフォーマンスが落ちにくい。さらに大手メーカーのアンチウイルスソフトをNAS自体にインストールすることも可能であるなど、重要なデータを扱う法人利用に適した製品と言える(Linux搭載NASでも対応アンチウイルスソフトを導入することは可能)。

WSSは高機能だが割高、そこまで必要かを見極めたい

 もっともWindows Storage Server搭載NASは、最近はかなり低価格化したとはいえ、同容量のLinux搭載NASに比べると高額であるため、予算が限られている場合はどうしても不利だ。位置付け的には「HDDの高機能版」というよりも「機能をストレージ用途に限定したサーバ」と考えたほうがよい。

 具体的には、同一ファイルを削除して容量を節約する重複削除や、2つのLANポートを併用してデータを転送することで負荷を下げるNICチーミング、複数のHDDを仮想的に統合する記憶域プールといった多彩な機能を備えるが、現実的にNASにそこまでの機能があっても使いこなせないケースも多いだろう。

 現実的には、Windowsドメインではなくワークグループで運用している小規模のネットワーク環境で使用するなら価格も考慮してLinux搭載NAS、中規模以上であればWindowsドメイン利用の有無や同時接続数も考慮し、Windows Storage Server搭載NASも候補に含めて検討するという考え方でおおむね正解だろう。

 本稿では詳しく述べないが、最新バージョンのWindows Storage Server 2012 R2では新しいファイル共有プロトコル「SMB(Server Message Block) 3.0」の採用により、Windows 8とのデータ転送速度が大幅に上がっているので、そうした特徴も考慮に入れるべきだろう。

 なお、Windows Storage Serverは最新の「2012 R2」のほか、「2012」「2008 R2」などのバージョンがあり、それぞれにStandard EditionとWorkgroup Editionが用意されている(ちなみにWorkgroup Editionは接続ユーザー数が最大50人になるなど制限がある)。

 OSのサポート期限は、2008系列が2020年1月、2012系列が2023年1月と開きがあるため、現状では2012系列を選ぶほうがよいだろう。もちろん、これはOSのサポート期間であって、NASのハードウェアそのものの保証期間とはまったく別物なので注意したい。

Windows Storage Serverのサポート期限(2014年3月3日現在)
製品名 メインストリームサポート終了日 延長サポート終了日
Windows Storage Server 2003 2011年10月11日 2016年10月9日
Windows Storage Server 2003 R2 2011年10月11日 2016年10月9日
Windows Storage Server 2008 Basic 2015年1月13日 2020年1月14日
Windows Storage Server 2008 Basic 32-bit 2015年1月13日 2020年1月14日
Windows Storage Server 2008 Basic Embedded 2015年1月13日 2020年1月14日
Windows Storage Server 2008 Basic Embedded 32-bit 2015年1月13日 2020年1月14日
Windows Storage Server 2008 Enterprise 2015年1月13日 2020年1月14日
Windows Storage Server 2008 Enterprise Embedded 2015年1月13日 2020年1月14日
Windows Storage Server 2008 R2 2015年1月13日 2020年1月14日
Windows Storage Server 2008 R2 Essentials 2015年1月13日 2020年1月14日
Windows Storage Server 2008 Standard 2015年1月13日 2020年1月14日
Windows Storage Server 2008 Standard Embedded 2015年1月13日 2020年1月14日
Windows Storage Server 2008 Workgroup 2015年1月13日 2020年1月14日
Windows Storage Server 2008 Workgroup Embedded 2015年1月13日 2020年1月14日
Windows Storage Server 2012 Standard 2018年1月9日 2023年1月10日
Windows Storage Server 2012 Workgroup 2018年1月9日 2023年1月10日
Windows Storage Server 2012 R2 Standard 2018年1月9日 2023年1月10日
Windows Storage Server 2012 R2 Workgroup 2018年1月9日 2023年1月10日
サポート終了日の日付は米国時間

 NAS編の最終回となる次回は、具体的なおすすめ製品を、松竹梅の3つのグレードに分けて紹介していく。

Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.