NVIDIAが最新GPU/モバイルSoCのロードマップを披露――GTC 2014基調講演まとめPascal、Erista、TITAN Z(3/3 ページ)

» 2014年03月27日 15時14分 公開
[本間文,ITmedia]
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次世代モバイルSoC「Tegra K1」は326GFLOPS、2015年には「Erista」を投入

GPUコアにKeplerを採用することで、ようやくCUDA対応を果たTegra K1以降は、GPUアーキテクチャの統一を進めていくと説明

 一方、同社のモバイルSoC「Tegra」の次期製品「Tegra K1」に関しては、その演算性能が326GFLOPSであることが明らかにされたほか、同SoCを搭載したソフトウェア開発プラットフォーム「Jetson TK1」の受注を開始したことを明らかにした。

 このJetson TK1には、車載カメラの画像から歩行者や障害物を認識したり、道路標識などを認識してドライバーを補佐する機能や、仮想現実(AR)、ロボティックスなどの用途にGPUの演算性能を生かせるようにするCUDA開発環境「Visionworks」も付属し、モバイル環境におけるGPU利用を加速させる。同プラットフォームの米国における市場価格は、Tegra K1のCUDAコアの数と同じ192ドルに設定され、日本国内でも発売が予定されている。

Tegara K1のソフトウェア開発プラットフォームとなる「Jetson TK1」は、そのCUDAコアの数から、192ドルという価格設定となった(写真=左)。走行中に車のカメラのデータをリアルタイムで解析するためには、280GFLOPS前後の演算性能が必要となるが、GPUを利用すれば、こうした歩行者認識などのドライビングアシスタントを実現できると説明する(写真=左)

 また、ファン氏はTegra SoCのロードマップを公開し、2015年にはGPUコアにMaxwellを統合する「Erista」(エリスタ)を投入する計画を明らかにした。Eristaは、Tegra K1のコードネームであるLoganの子供とされるキャラクターで、その名称からTegara K1の機能強化版となる可能性が高い。

 なお、2013年に公開されたSoCロードマップでFinFETを採用するとされた“Parker”(パーカー)については、Eristaの後継製品として、現在もロードマップに留まっているという情報もある。

Tegraロードマップ(写真=左)。2013年のロードマップでは、DenverとMaxwellの組み合わせでFinFETを採用する“Parker”があった(画面=右)

 ファン氏は、このTegraを自動車向けに積極展開する。同氏はTegra K1の演算性能を使えば、自動車に搭載したカメラの映像から、空きスペースを解析したり、車を無人で運転させることももできるとして、Audi(アウディ)と共同開発を進めている自動運転コンセプトカー「Audi connect」を、Tegra K1ベースのシステムで実際に動かして見せた。

車載カメラで障害物や、駐車可能なスペースをリアルタイム認識するAudiの自動駐車システムのデモ(ビデオ画像)

 Audiで先端技術の開発を統括するアンドレアス・ライヒ氏は、かつては大型コンピュータをトランクスペースに搭載することで自動運転の研究を進めていたが、最新のコンセプトカーではTegra K1ともう1つのARM CPUを搭載した小さなコンポーネントで自動運転ができるようになったと、Tegra K1の演算性能の高さをアピール。GPUの演算性能を積極的に利用することで、自動車の未来も大きく切り開いていけるという見通しを示した。

 ファン氏は、初のCUDA対応SoCとなったTegra K1の投入によって、HPCやPC、クラウド製品だけでなく、自動車や省電力の組み込み機器でも、GPUの優れた並列演算性能が生かせるようになると話す。また、今後はトップ・ツー・ボトムで最新のGPUアーキテクチャを採用できるようにすることで、GPUコンピューティングの裾野をさらに拡大していく意向を示した。

自動運転コンセプトカー「Audi connect」のトランクスペースを確認するファンCEOと、Audiのライヒ氏。初期の自動運転コンセプトカーでは写真のように大型コンピュータが搭載されていたが、最新モデルはトランク脇に小型のTegra K1搭載システムが実装されているだけだ(写真=左)。右側の写真に見える銀色のシステムが、Tegra K1搭載搭載の自動運転システム(写真=右)

CUDA Everywhere

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