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» 2014年04月01日 10時30分 UPDATE

SOHO/中小企業に効く「UPS」の選び方(第3回):即戦力なUPSを選んでみた(SOHO編)――不意の停電もこれで安心 (1/2)

「無停電電源装置(UPS)」の基礎知識から、機器に合った製品選びまで、順序立てて解説する本連載。第3回は、SOHOでの具体的な機器構成例を挙げ、それに合致したUPSを選定するための手順を紹介する。

[山口真弘,ITmedia]

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SOHO環境(1〜3人)の機器構成から最適なUPSをチョイス

 まずは前回のまとめから。UPSを選定する手順は、おおむね以下の流れになる。

  • まず接続する機器の消費電力の合計を算出する
  • どれくらいの時間バックアップするかを決める
  • UPSメーカーが用意している計算ツールに上記2つの値を入れて検索する

 上記の手順に加えて給電方式を選ぶ場合もあるが、まずは機器の「消費電力の合計」を計算しなければ始まらない。計算した結果、容量に余裕がないので接続する対象から外したり、あるいは追加したりといったケースが出てくることから、合計値ではなく個々の値をメモしておいたほうが、後々役に立つ。「バックアップ時間」については、検索した結果妥協しなくてはいけない場合も出てくるので、ひとまず目安で構わない。

 以上の前提をもとに、今回は具体的な機器構成例を挙げつつ、おすすめとなるUPSを紹介していこう。計算ツールは前回も紹介した以下の2つをそれぞれ利用する。

tm_1403_ups2_a.jpgtm_1403_ups2_b.jpg シュナイダーエレクトリックによるAPCブランドのUPS直販サイト「Shop APC」に用意された「UPS選定サポート」(画像=左)。オムロンのUPS製品情報ページに用意された「UPS選定ツール」(画像=右) ※それぞれの画像をクリックすると、該当するWebサイトへ移動

SOHO環境(1〜3人)に適したUPSを選ぶ(APCの場合)

SOHOで業務に利用する機器構成の例
機器名 台数
デスクトップPC 1台
ディスプレイ 2台(マルチディスプレイ)
外付けHDD 1台
ノートPC 3台
無線LANルータ 1台
インクジェット複合機 1台

 上の表は、SOHOを想定した1〜3人程度の小規模な構成だ。業務の中心となるデスクトップPCはデュアルディスプレイ環境で、外付けHDDが1台接続されている。またこれとは別にノートPCが3台あり、こちらはほかのスタッフが使ったり、あるいは外出時に利用するという想定だ。

 宅内には無線LANルータを中心としたネットワークが構築されており、デスクトップPCは有線で、ノートPCは無線でインターネットに接続している。さらにインクジェット方式のプリンタ複合機が1台あり、有線でルータにつながっている。ワンルームで十分に収まる小規模な構成で、SOHOで業務を行っていなくとも、この程度の規模ならばプライベートで所有しているユーザーも少なくないだろう。

 さて、この構成の中で、UPSに接続する必要がない機器があることに気づくだろうか。それはノートPCだ。もともと内蔵バッテリーがあれば電源ケーブルをつながなくとも駆動するので、バッテリーを取り外して運用しているといった特殊な事情でもない限り、UPSに接続する対象からは除外して考えるとよいだろう。今回の構成例にはないが、タブレットが含まれる場合も同じ扱いとなる。

 以上の機器について、消費電力の合計を計算したところ、300W(ワット)となった。これをUPSメーカーの計算ツールに入れ、適したUPSを探してみよう。

UPSに接続する機器の合計消費電力
機器名 数量 消費電力(W) 合計(W)
デスクトップPC 1 150 150
ディスプレイ 2 50 100
外付けHDD 1 20 20
無線LANルータ 1 10 10
インクジェット複合機 1 20 20
合計 300
tm_1404_ups3_01.jpg Shop APCの選定サポートツールで条件に合うUPSを検索したところ、5機種がヒットした

 まずはShop APCの選定サポートツール。このツールは出力容量の単位がWではなくVA(ボルトアンペア)なので、前回紹介した「VA=W÷0.6」という式に当てはめ、300W=500VAとみなしてその値を選ぶ。利用用途は「パソコン/NAS/デジタル家電」、入力電圧は「100W」という条件で検索を実行すると、5機種のUPSがヒットする。

 5機種の内訳はタップ型が2機種、タワー型が3機種だが、このうちタップ型の「APC ES 550」と「APC ES 750」は、製品ページを見ると出力波形がPCには不向きな「矩形波」となっている。確実に使えないわけではないが、動作検証なしで使用するにはややリスクがあるので、今回の候補からは除外しておこう。

 よって残る3製品の中から、最も安価な「APC RS 550(BR550G-JP)」が、第1の候補となる。ラインインタラクティブ方式なので電圧の変化も補正してくれるうえ、本体前面のLEDにステータスが表示されるなど、初心者でも分かりやすい製品だ。実売2万円台前後と、予算的にも悪くない。

tm_1404_ups3_02.jpgtm_1404_ups3_03.jpg 「APC RS 550(BR550G-JP)」の前面(写真=左)と背面(写真=右)

 ただし製品ページのランタイム(動作可能時間)表で見ると、300Wのランタイムは4分とかなり短い。そもそも今回計算の前提とした300Wという値には「消費電力の合計値に2〜3割の余裕をみる」という、その余裕ぶんが上積みされていないので、バッテリーが消耗してきた場合に不安が残る。

tm_1404_ups3_04.jpg APC RS 550(BR550G-JP)は製品ページのランタイムグラフを見ても、容量面でやや心もとないことが分かる。ちなみにこの製品ページはVAではなくW表記だ

 そうした意味では、1つ上位のモデルである「APC RS 1000(BR1000G-JP)」のほうが、今回の条件には適切と言えそうだ。こちらだと価格は3万円台になるが、製品ページでのランタイムは300Wで16.4分、若干余裕を見た400Wでも10.4分と十分だ。

tm_1404_ups3_05.jpgtm_1404_ups3_06.jpg 「APC RS 1000(BR1000G-JP)」の前面(写真=左)と背面(写真=右)。先に紹介したAPC RS 550(BR550G-JP)よりコンセントの数が多い
tm_1404_ups3_07.jpg APC RS 1000(BR1000G-JP)は、製品ページのランタイムグラフでも余裕がある

 ちなみに両製品の仕様を見ると、バックアップに使えるコンセントの数がAPC RS 550は3つ、APC RS 1000は4つということで、今回バックアップが必要な機器をすべて直結して使うには足りない。こうした場合は、別途電源タップなどでコンセントの数を増やせば問題ない。あまりケーブル長が長い電源タップだと、足を引っ掛けるリスクが高まるので、必要な長さにとどめておくとよいだろう。

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