PC USER Pro

ついに入手! 「Surface Pro 3」日本版を速攻レビュー本田雅一のクロスオーバーデジタル(1/4 ページ)

» 2014年07月14日 15時00分 公開
[本田雅一,ITmedia]

Surface Pro 3を「3つの利用スタイル」で検証する

 北米ではすでに出荷が開始されているマイクロソフトの「Surface Pro 3」が、いよいよ日本でも7月17日から出荷となる。

 マイクロソフトが考えるWindows搭載タブレットコンピュータを表現する先鋭的コンセプトを掲げてきた「Surface」シリーズだが、第3世代のSurface Pro 3は新しいコンセプトと実用性の両面で優れていると評判だ。そのSurface Pro 3の日本版を、販売開始に先駆け、実際にフィールドに持ち出して使ってみた。

マイクロソフト純正のWindowsタブレット「Surface Pro 3」。国内では日本マイクロソフトが2014年7月17日に発売する予定だ。価格は個人向けのCore i5モデルが税別12万744円(税込)から

 Surfaceシリーズは、タブレット端末として先行しているiPadやAndroidタブレットとは一味違う。Windows搭載機であることを生かすため、タッチ操作だけでなく、キーボードやマウスの操作によるPC的な使い方との両立を目指し、さらに“Pro”版はPCと同じインテルCoreアーキテクチャのプロセッサを採用したうえで、デジタイザの搭載で筆圧ペンのオペレーションにも対応してきた。

 Surface Pro 3は、こうしたマイクロソフトの取り組みの集大成とも言える製品になっている。かつてマイクロソフトの製品は「第3世代からが本領発揮」と言われ、「Ver.3になるまで買うな」の格言があったほど。そうした話題先行型の突撃開発スタイルは見られなくなって久しいが、初期バージョンの不満を吸収して第2世代に反映。さらに残る不満を元に大幅な仕様変更を行った第3世代の投入で満足度を大きく引き上げる。そんなマイクロソフトのスタイルは健在だと思い知らされた。

 薄さ9.1ミリ、重さ800グラムの薄型軽量ボディに12型ワイドの3:2画面を持つSurface Pro 3のスペックは、すでに多くの記事で紹介され、マイクロソフト自身のWebページにも記載されているので、改めてここで復習する必要はないだろう。それらは製品発表時に、ほとんど紹介され尽くしている。

 そこで本稿では、実際のSurface Pro 3(日本語版)を“評価するべきポイント”について整理し、そこに筆者が感じたインプレッションを加えることにしたい。最終的には読者自身がハンズオンで確かめるべきだが、自分なりの結論を出すための手がかりになる情報を提供したい。

 まず、Surface Pro 3の利用スタイルを3つに分類し、それぞれについての使いやすさなどリポート。最後に、それらの用途が1つにまとまって使えることの利点などについてお伝えする。

ピュアタブレットとしてのSurface Pro 3

 Surfaceの基本はタブレットだ。まずはピュアタブレットとしてのSurface Pro 3を考えてみることにしよう。

キーボードやペン入力を考慮せず、純粋にタブレット端末としてSurface Pro 3を評価すると、やはりアプリ面の弱さが気になるが……

 とはいえ、基本ソフトである64ビット版のWindows 8.1 Pro Updateまでもが新しくなっているわけではない。またWindowsストアアプリの開発は、進んでいないわけではないものの、少々寂しい状況であることは変わりない。

 人によって使い方はさまざまだろうが、そもそもマイクロソフトの主力製品でもあるMicrosoft Officeでさえ、タッチ操作には対応しているもののの、Windowsストアアプリにはなっていないのだ。

 これは以前のSurfaceシリーズが出たときにもお伝えしてきたことだが、iPadのように各種Webサービスに対応するアプリをダウンロードし、素早くそれぞれのサービスを利用する――そんな使い方が中心なのであれば、素直にiPadを選ぶほうが無難だ。純粋なタブレット端末としての充実には、ハードウェアよりもソフトウェアや対応アプリなどの充実度が求められる。

 とはいえ、ピュアタブレットとしてまったく使い物にならないかというと、さにあらず。Internet Explorerだろうが、Chromeだろうが、ともかくPC用のフル機能ブラウザとプラグインが動作する点は、逆にiPadに対する利点として数えておかねばなるまい。一部にはSurfaceシリーズが日本で売れたのは、Flashゲーム「艦隊これくしょん -艦これ-」が動くからだといった話もあったが、不得手な領域がある一方で、あらゆるWebサービスに高性能かつ高機能なブラウザでつながることができる。

 パフォーマンス面では第4世代Coreを採用しており、Core i3をはじめ、Core i5-4300U(1.6GHz/最大2.9GHz)、Core i7-4650U(1.7GHz/最大3.3GHz)から選べるのだから、不足と感じることはまずない(Core i7選択時は内蔵グラフィックスがHD Graphics 4400からHD graphics 5000になる)。

 少し前ならば、高性能なインテルCore採用のタブレットといえば、分厚く重く、バッテリー駆動時間も短く、さらにファンの排気音や発熱も気になるなど、ユーザー体験の面でまともなものは期待できなかったが、もはやその心配はしなくてよい。

薄型ボディにCore i3/i5/i7を搭載するため、30%効率化した冷却機構を採用した。本体の側面には目立たないようスリットが設けられており、新開発のファンを使って内蔵デバイス全体に空気が効率よく流れるよう工夫している

 この原稿は、Surface Pro 3で書いているが、Wi-Fiに接続してネットで調べ物をしつつ、時折メールの返信を書いたり、SNSにアクセスしながら書き進め、おおよそ1時間半が経過してバッテリー残量は87%ほどだ。特に液晶ディスプレイのバックライトを暗くするなどの対策は行わず(Surface Pro 3はデフォルトで輝度メーターが50%になっているが、これで十分な明るさが確保できる)、省電力な設定にしているわけでもない。

 公称スペックである9時間のバッテリー駆動時間が達成できるかどうかは、使用するアプリケーション次第だが、ピュアタブレットとして使うのであれば、おそらく目標値はクリアするはずだ。12型ワイドで2160×1440ピクセル表示の高精細ディスプレイを搭載していることを考えると、このバッテリー駆動時間は十分に高いレベルだと言える。

 ちなみに今回入手した日本語版を調べたところ、「Instant Go」で動作していることが確認できた。未出荷製品のため、出先での本格的な使用は控えていたが、バッテリーリポートを見ると、原稿執筆など軽い作業に使っているぐらいならば、8時間前後の実稼働時間が出そうだ。十分に明るいバックライトを暗めにすれば、さらに延びるだろう。

「Instant Go」(Connected Standby)で動作していることを確認(写真=左)。今回試用したバッテリーリポートの詳細(写真=右)

 さらに、画面の縦横比として採用されている3:2という比率も、個人的には気に入った。縦に使っても、横に使ってもブラウザに表示されたWebページが見やすく配置される。16:9の画面は縦位置にしたときに幅が狭すぎてしまい、PC用のWebデザインにはフィットしなかった。3:2はその点、絶妙のバランスだ。

 もし難癖を付けるならば、やはりその重さだろうか。約800グラムという重さは、第4世代Coreを搭載するWindows機として十分な軽さである。しかし、タブレットとして使うなら、たとえかなわぬ願いと分かっていても、もっと軽くあってほしいという願望は示しておく。

 ちなみに今回入手した日本版のSurface Pro 3本体は実測値で820グラム、タイプカバーは実測値で295グラムだった。両方を持ち歩くと、合計1115グラムとなる。

約9.1ミリ厚、約800グラムのボディは、スペックを考えると薄型軽量だが、ピュアタブレットとして考えると、やはりもっと軽くあってほしい。本体サイズは201.3(幅)×292(高さ)×9.1(奥行き)ミリだ。ボディの素材はマグネシウム合金を採用している
       1|2|3|4 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

最新トピックスPR

過去記事カレンダー