賛否両論な液晶ディスプレイにおけるアスペクト比の変更だが、作業用デスクトップとして見れば、いくつかメリットがある。1つはタイプカバーをつけた「ノートPC」モード、つまり横置き状態のとき、画面に表示可能な情報量が増えたという点だ。
横の解像度は1920ピクセルから2160ピクセルと大きく変化していないものの(1.125倍)、縦の解像度は1080ピクセルから1440ピクセルと全体の3分の1がさらに追加された。Webブラウザでの効果が大きく、16:9のアスペクト比ではタイトルと本文の先頭が少し見える程度だった表示領域が、Surface Pro 3ではもう数カラム先まで見える。フルHDサイズ(16:9)の動画を表示させると上下に帯が出現するが、実用上の問題はない。
このほか目立つ変更点としては、「Windowsボタンが画面の右に移動した」ところが気になる。従来のSurfaceシリーズはすべて画面の下、つまり「横向き」での利用を想定している場所にWindowsボタンがあった。これに対して、Surface Pro 3は「縦向き」を意識していることが分かる。
とはいうものの、縦位置のときに下面になる部分に電源コネクタがあったり、キックスタンドが横置きでしか使えなかったり、さらにはインカメラの位置が横向きでの画面上部(縦向きでは画面の右)にあったりと、Windowsロゴ以外は横向き前提での作りとなっており、少しちぐはぐな印象だ。
また、タブレット本体を縦向きにして片手で持つと、12型という画面サイズでは比較的手の大きい筆者でも大きすぎる印象で、あまり一般におすすめできる使い方ではないように思える。
これは筆者の予想だが、Surface Pro 3は本体のデザイン的にWindowsボタンを配置するスペースが画面の左右にしかなかったのではないかと考える。実際、新しいタイプカバーは2段階のヒンジを折り曲げて、画面の下フレームに吸着させて安定感を高める機構が加わったため、横置き時の画面下にWindowsボタンを配置するのは困難だ。
一方で、画面の右であれば、Windowsボタンと干渉する要素はない。ちょうど(物理的な)Windowsボタンの位置は、チャームメニューのWindowsボタンが出現する位置であり、左側に配置するよりも都合がよいのだろう。
ただし、タイプカバーのヒンジを折り曲げて画面の下フレームに密着させた状態だと、デスクトップにおけるタスクバーへのタッチ操作や、画面下端から上へスワイプさせる操作が行いにくい。この辺りは、次回以降に改良してほしいところだ。
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