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» 2014年10月16日 09時00分 UPDATE

Adobeの新しい魔法を一足先にチェック:未来のテクノロジーを垣間見る「スニーク」 (1/3)

Adobe社内で行われている最新の研究成果を先出しでお披露目するのが「スニーク」だ。林信行氏が未来のテクノロジーをリポート。

[林信行,ITmedia]

 Adobe MAXで2日目の夜の恒例となっているのが「スニーク」と呼ばれるイベントだ。

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 Photoshopにしても、今回のAdobe MAX 2014で発表された、いくつかの誰でも無料で試せるiPhoneアプリにしても、Adobeの製品を使えば、一瞬、目を疑うような映像マジックが可能になる――いわゆる「アドビマジック」だ(詳細は「すぐ試したい“アドビマジック”満載――クラウドを生かしたスマホ/タブレットの新しい可能性を参照)。

 すでに提供中の製品でこれだけ目を見張るマジックを演出できるということは、Adobe社内ではどんなにすごいマジックの研究が行われているのだろう? と疑問に思う人もいるかもしれない。その社内で研究されているマジックの一端を年に1度だけお披露目するイベントが、この「スニーク」である。

 Adobeのラボには、研究インターンから世界中の博士号(PhD)取得者までクリエイティビティの限界を打ち破る画期的なアイデアやテクノロジーがあふれている。

og_adobe_002.jpg Adobe MAX恒例の新技術チラ見せイベント「スニーク」

 スニークで披露されるのは基本的にまだAdobe社内でも研究中の技術であり、モノによっては製品化されないものもある。しかし、かつてこのイベントで紹介された注目技術の多くが、今日、Photoshopなどに標準技術として搭載されているのも事実だ。

 例えば、写真に映り込んだ不要な被写体を選ぶと背景を勝手に合成して消してしまう「コンテンツに応じる塗り」や撮影済み写真から手ブレを取り除く「手ブレ補正」、「遠近法ワープ」、「ブラシ」などもこのイベントから誕生した。

 今回の「スニーク」は、Adobeのシニアディレクターのベン・フォルタ氏が、目を疑うような映像表現満載の映画「インセプション」にも出演していた俳優、監督、脚本家のジョゼフ ゴードン=レヴィット氏をゲストに迎えて、13の先端技術を披露した。ここでは筆者が個人的に衝撃を受けた順にデモを紹介したい。

 なお、Adobeは非常にTwitterを重視する会社だ(基調講演で重役が登場する度に、名前とともにTwitterアカウントがスクリーンに大写しになる)。発表された12のプロジェクトにもTwitter用のハッシュタグが用意されており、Twitter上での話題が開発の優先度も左右するとのことなので、みなさんが注目した技術を是非ハッシュタグ入りでツイートしてほしい。

1、夜景写真を1クリックで昼の映像に(#TimeOfDay)

 夕方撮影したドバイの摩天楼が、ボタンをクリックするだけで夜景に様変わり。Time of Dayプロジェクトでは、400枚以上のタイムラプス動画を分析して、空の色の変化を分析している。

 最初に披露したドバイのデモでは、シンガポールの夜景写真を参考に空が描かれているそうだ。ズームしてディテールをみるとおかしな部分もあるが、ほとんどの人が疑わない程度の合成はできるという。

 2つめのデモではローマのコロッセオ(円形闘技場)の夜景を昼間の写真に加工し、さらにはゴッホの抽象画の空の色まで加工してしまっている。いずれ、この機能がPhotoshopやPremiereに搭載されれば、撮影や収録時間の都合がうまくつかなくても、なんとかごまかせてしまう、すごい未来がやってくるかもしれない。

2、もどかしいスピーチをすらすらのスピーチ映像に(#GapStop)

 もはやインタビュー映像が信じられなくなるほど衝撃の技術だ。インタビュー中、どうしても「えー」だとか「あー」が多くなって、滑らかに話をつなげない人がいる。そういう人のインタビューは聞き取りづらく、みているのも辛い。かといって、「えー」や「あー」の部分をカットしてしまうと、顔が右を向いたり、左を向いたり映像がジャンプし過ぎて見た目がよくない。

 このGapStopという技術を使うと、カットした場所を別途XMLファイルで指定しておくと、その間の顔や身体の動きをモーフィングして自然につないでくれる。つまり、しゃべりが苦手な人が、あたかも自然にスラスラ話せているように映像を加工してしまう技術なのだ。いずれ、この技術がPremiereに搭載されれば、テレビ局の人は涙を出して喜びそうだ。

3、風景写真から霧や霞を取り除く(#Defog)

 せっかくきれいな景色の場所を旅行しても霧が出ているとすべてが台無しだ。後からどうやって露出を調整しても、明るさやコントラストを調整しても、霧や霞がかかってぼけている映像を鮮明な景色に戻すことはできない。

 それをあたかも、霧がかかっていなかったかのような鮮明な画像に自動加工してくれるのが、このDefogという技術だ。ちなみに逆光で画像がぼやけてしまっている時にも使うことができる。

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