調和と美しさを追求した「OS X Yosemite」林信行から見た最新OS Xの魅力(3/4 ページ)

» 2014年10月17日 04時41分 公開
[林信行,ITmedia]

進化したSpotlightは次世代操作への伏線

 見た目が大きく変わったといえば、Spotlight機能もそうだ。

 Spotlightをファイル検索のための機能だと思っている人も多いかもしれないが、実はある程度、Macの操作に慣れてきた人にとってSpotlightは極めて便利な機能だ。

 ファイルやメール、カレンダーに入れた予定などを串刺しで検索できるのはもちろんだが、意味が分からない英単語を入力すれば即座に日本語訳を表示してくれるし、日本語の単語を入力すれば辞書で意味を表示してくれる。

 計算式を入力すればすぐさま、計算結果が表示されるし、利用したいアプリケーションの頭文字を数文字を打ち込むだけで、そのアプリケーションを選択し、Returnキーを押せば起動することもできる。

 キーボード操作の魅力を最大限に感じさせてくれるSpotlightは、ある意味、Mac OS Xの花形操作方法の1つと言っても過言ではない。であるにも関わらず、これまではメニューバーの右端に追いやられ、その小さな窓にキーワードを打ち込んで使わなければならなかった。これが画面の小さなノート型Macならまだいいが、27インチ以上の大型ディスプレイがつながったMacだと、「こんなに便利で気持ちのいい操作を、なんで、こんな画面の隅っこでやらなければならないんだろう」という気持ちにさせられる部分があった。

 OS X Yosemiteでは、これが堂々と画面のど真ん中に表示される。

Spotlightは画面の右上隅っこではなく、中央に大々的に表示されるようになった。ある意味、Spotlightはこれから主役になる操作方法かもしれない

 スマートフォン/タブレット全盛時代、パソコンは画面大型化が進み、小さな矢印カーソルをマウスやトラックパッドで動かして照準をあわせて操作する、というかつての操作方法はだんだんと時代にそぐわないものになりつつある。メニューバーは言ってみれば、そうした前時代的操作の名残りであって、アップルも、それを継承しつつもメニューバーを隠して使うフルスクリーンモードや、大きなトラックパッドを生かしたマルチタッチのジェスチャー、そしていずれはおそらくSiriなどの音声操作を通して、少しずつカーソル操作から脱却しようとしている。そんな中、ユーザーのさまざまな要求に応えてくれる魔法の窓を、画面の中央にさっと表示させるSpotlight機能は、時代の変化を象徴する貴重な一歩に思えてならない。

 ちなみにOS X YosemiteのSpotlightからは、新たにWikipediaやApp Store、iTunes Store、iBook Storeなどからも情報を探して来れるようになった。

これまでもSpotlightでMac内蔵の英和辞書や国語辞典を使って意味を調べることができたが、Yosemiteからは、新たにWikipediaの情報も参照できるようになった

 画面のど真ん中に表示というのは、場合によっては少しじゃまな場合もある。例えば、表計算ソフトなどでちょっとした計算がしたいときなどにもSpotlightの計算機能は便利だったが、真ん中に表示されると大事な表が隠れてしまうのでは?と心配な部分はあった。しかし、計算をした後、Spotlight呼び出しショートカットキー(通常はoption+スペースまたはcontrol+スペース)で、Spotlightウィンドウを消した後、再び表示させた場合でも、きちんと計算式は残る仕様になっているようなので、出したり消したりの繰り返しでうまく対処できる(また、どうしてもじゃまで嫌だという人には、今回から通知ウィンドウにも計算機を追加できるようになった)。

Spotlightで計算できるのは昔からだが、画面中央のSpotlightは、見たい数値を隠してしまってじゃまなことも……でも、ショートカットキーで表示/隠すをしても入力内容はすぐには消えないので、ちょっと我慢すればそれほど不便ではない

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