PC USER Pro

「攻め」に転じたMicrosoftは何を目指すのか?――無料Officeアプリ強化、容量無制限OneDrive、Dropbox連携鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(1/3 ページ)

» 2014年11月18日 09時45分 公開
[鈴木淳也(Junya Suzuki),ITmedia]
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

 どうやらMicrosoftのクラウドにかける情熱は本物のようだ。2014年10月から11月にかけて、Office 365のコンシューマー版ユーザーも対象にした「OneDriveのストレージ容量無制限化」、「Microsoft OfficeとDropboxのクラウドストレージ統合」と、ユーザー体験の大きな向上が期待できる発表を矢継ぎ早に行った。

モバイル版/Web版のMicrosoft OfficeとDropboxのクラウドストレージが統合。iPadなどのOfficeアプリから直接Dropbox内のOffice文書が開けるようになった。また、iOS/AndroidのDropboxアプリでOffice文書を選択すると、Officeアプリで直接開いて編集が行える

 ここ数カ月の動向を振り返ってみても、SAPとのエンタープライズカスタマーを対象にした提携、クラウドCRM(顧客管理システム)を提供するSalesforce.comとの戦略的提携、Oracleとのエンタープライズクラウドに関する提携、IBMとのハイブリッドクラウドに関する提携など、クラウドに関する提携や重要なマイルストーン発表が相次いでいる。クラウド分野ではライバルとなるAmazon.comのAWS(Amazon Web Services)やGoogleも値下げを交えて対抗している状況だ。

 また直近では、Microsoftのインターネット戦略の中核だった「.NET」のオープンソース化や、ほぼフル機能版にあたる開発ツール「Visual Studio Community」の無料提供など、かなり大胆な動きも見られる。ここ最近の動きを追いつつ、Microsoftの戦略を追いかけてみる。

ここ最近のMicrosoftはなぜ大型提携を連発しているのか?

 Microsoft CEOにサティア・ナデラ氏が就任して以降、同社のコア戦略を説明するうえで必ず紹介されるスライドがある。「クラウドOS」とそれを利用するための「デバイスOS/ハードウェア」が存在し、この2つの組み合わせによって生み出されるユーザー体験を提供するのがMicrosoftの狙いだという。

 過去の事業を見ると、同社は「WindowsというOSと、Officeという生産性ツール」が主力事業のソフトウェア企業だが、これをあくまでコア戦略を実現するためのピースとして扱い、少しずつ会社内部を変革しつつある状態と言える。

最近Microsoftがよくプレゼンテーションの前座で紹介する事業戦略を示したスライド図

 冒頭でも紹介したように、ここ最近のMicrosoftはIT大手各社らとの提携を次々と発表しているが、「ポジションの確立」と「ライバルらへの対抗」という2つの狙いがあると考えられる。Microsoftは現在クラウドへとその事業コアの舵を切っており、クラウドプラットフォームである「Microsoft Azure」が将来的には主要な収入源となるだろう。

 ただし、Microsoft Azureそのものは従来のPCにおける「箱」の部分であり、ソフトウェアがなければ意味を成さない。箱としてのクラウド事業に一定の価値を与えるのが一連の提携発表だ。

 SAP、Salesforce.com、Oracle、IBMはそれぞれエンタープライズ向けのミドルウェアやアプリケーション製品を持っており、これをMicrosoft Azure上で簡単に動かせる環境を用意したり、あるいはOfficeとの連携を可能にすることで、Microsoft製品の利便性が高まる。既存ユーザーの取り込みだけでなく、実際のエンタープライズの場面ではマルチベンダー環境というのが当たり前なので、こうした施策は重要だ。

 またDropboxとの提携に見られるように、すでに汎用(はんよう)のクラウドストレージとしての地位を確立したサービスとMicrosoft製品の連携を進めることで、ユーザーにとっての利便性は大きく向上する。これはクラウドCRMとして広く利用されているSalesforce.comも同様で、Microsoftの生産性ツールとのクラウド経由での連携が進めば、使い勝手が高まる。

 現在、Microsoftにとってのクラウド分野での(同社が想定する)ライバルは、Amazon.comのAWSとGoogleだと考えられる。AWSはクラウドOS事業では老舗で、Google Appsという生産性ツールも持つGoogleはMicrosoftの戦略と真正面から対立する。

 少なくとも、これら2つを上回る利便性の高いサービスを作り上げ、早くから差別化を図ることが重要だが、業務提携のスピード感はナデラ氏が新CEOになってからの成果の1つであり、今後もまだ似たような発表が行われていくことだろう。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年02月25日 更新
  1. 画面が伸びる! 勝手に回る! デジタル文房具の未来を拓くLenovoの“変態ギミック”搭載PC 3選 (2026年02月23日)
  2. 攻めの構造と98%レイアウトの賛否はいかに? ロジクールの“コトコト”キーボード「Alto Keys K98M」を試す (2026年02月25日)
  3. 羊の皮を被った赤い狼 日常に溶け込む“ステルス”デザインにRTX 5070を秘めたゲーミングノート「G TUNE P5(レッド)」レビュー (2026年02月24日)
  4. AI故人との対話は「1年」まで?――開発者があえて「卒業」を推奨する理由 (2026年02月24日)
  5. パーツ高騰の救世主? 実売6000円弱のコンパクトPCケースや1.4万円のIntel H810マザーが話題に (2026年02月23日)
  6. 16GB版と8GB版のすみ分けが進むRTX 5060 Ti――HDD「完売」報道の影響は? 今週末のアキバパーツ事情 (2026年02月21日)
  7. テンキーレスの定番「ロジクール MX KEYS mini」が1.3万円で買える (2026年02月24日)
  8. モニター台とドッキングステーションが合体した「Anker USB-C ハブ 10-in-1 Monitor Stand」が28%オフの1万7990円で販売中 (2026年02月20日)
  9. AIツールやショートカットを爆速で操れる「ロジクール MX MASTER 4」がセールで1万7910円に (2026年02月24日)
  10. マウスの概念が変わる! ロジクールG「PRO X2 SUPERSTRIKE」が切り開く“身体感覚”と直結する新たなクリック体験 (2026年02月18日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2026年