“3万円台前半”で1キロ切りのミニノートPC――「EeeBook X205TA」はどこまで使えるか?ファンレスで騒音もなし(2/4 ページ)

» 2015年02月12日 08時00分 公開
[鈴木雅暢,ITmedia]

液晶ディスプレイの表示品質は安価なノートPCとして標準クラス

 11.6型ワイド液晶ディスプレイの表示解像度は1366×768ピクセル、画素密度135ppi(pixels per inch:1インチあたりのピクセル数)と平凡だ。液晶の配向方式は非公開だが、上下の視野角が狭いため、TNパネルと思われる。色味は黄色や緑色が強めだ。色域は広くなく、全体に色が薄くあせたように見える。表面は光沢仕上げだ。

 決してよい表示品質とはいえないが、低価格ノートPCとしてはごく普通だろう。ただ、似たような価格帯でもタブレットになると、広視野角のIPSパネルを採用する製品が多く、より精細な製品が増えている。こうしたタブレットと比べた場合には見劣りを感じるところだ。ちなみに、液晶ディスプレイにタッチパネルは搭載していない。

11.6型ワイド液晶ディスプレイの表示解像度は1366×768ピクセルと平凡だ。視野角は左右はまずまずだが、上下は狭い。色味はやや緑や黄色が強めに見える。液晶ディスプレイのチルト角度は約135度まで開く

 ちなみにステレオスピーカーは、底面の手前側に内蔵されている。音量は十分だが、低音不足で迫力には欠ける。薄型軽量でコンパクトなノートPCなので、これは仕方がないところだ。

小さいながらも十分使えるキーボードとタッチパッド

 日本語キーボードは、6列のアイソレーションデザインを採用。実測でのキーピッチは、横は約18.5ミリと比較的余裕があるが、縦は約16.5ミリとやや窮屈だ。最上段のキーやカーソルキーのサイズも小さく、これらを多用するユーザーは慣れが求められる。キー配列に癖はなく、自然なのが救いだ。

 キーのスイッチの反発は比較的抑えられており、タッチ感は悪くない。キーボードユニット全体の強度についても、あえて強くタイプすれば若干沈むという程度で、十分な剛性がある。パームレストも72ミリと、11型クラスのミニノートPCとしては長めだ。狭めの縦ピッチや小さいカーソルキーに慣れることさえできれば、長文入力にも耐えるだろう。

 キーボードの手前、ホームポジションの少し右寄りには、100(横)×51(縦)ミリと比較的大きめのタッチパッドがある。左右のクリックボタンを一体化したクリックパッド型だ。独自のユーティリティが導入されており、チャーム表示などに対応したエッジ操作のほか、2本指のスクロールやズームイン/アウトといったジェスチャー機能が利用できる。

キーピッチは横が約18.5ミリ、縦が約16.5ミリと若干縦が狭い。キー配列は自然なので、慣れれば長文入力も行える作りだ
タッチパッドにはASUSの独自ユーティリティ「Smart Gesture」が導入されている。2本指や3本指を使ったジェスチャー操作の設定が可能だ
Windows 8世代のOSには必須なタッチパッドのエッジを使ったスワイプ操作もサポートする

32Gバイトしかないストレージはどうする?

32GバイトeMMCは、デフォルトの空き容量が16.8Gバイトしかない

 使い勝手の面においては、32Gバイトしかないストレージ容量が最大のネックだ。リカバリ用の回復パーティション(約8Gバイト)が確保されていることもあって、出荷状態でのドライブの空き容量は約16.8Gバイトしかない。

 これはWindows 8.1 with Bingを普通に運用するうえではかなり厳しい容量だ。今回の試用でもベンチマークテストに使ったアプリケーションやダウンロードファイルを削除しないまま、Microsoft Office Home and Business 2013など仕事に使うアプリケーションをインストールしていたら空き容量が5Gバイト前後になったが、これくらいなると、使用感にも影響が出てくる。

 おそらくシステムが使うテンポラリ保存領域(Webブラウザのキャッシュ領域など)が不足したのだろう。YouTubeの動画(特に高画質)がカクカクしてまともに見られないなどの症状が見られた。

 EeeBook X205TAには、不足しがちな内蔵ストレージ容量をフォローすべく、ASUSが提供するオンラインストレージ「ASUS Web Storage」の500Gバイト/2年間利用権、およびMicrosoftが提供するオンラインストレージ「One Drive」の100Gバイト/2年間利用権が付属している。

 ただし、これらはユーザーデータの置き場所としては有効だが、完全にローカルのストレージと同じようには使うことはできないため、注意が必要だ。

 一般のWindowsアプリケーションからオンライン上のデータを直接再生したり、編集したりはできない(One DriveとOffice Online、あるいはGoogle DriveとWebアプリの組み合わせなど、特定のWebアプリとオンラインストレージの組み合わせなら可能)し、アプリケーションのインストール先やキャッシュなどを置くテンポラリ領域としても当然使えない。

 インストールするアプリケーションを最小限に抑えるとともに、microSDXCメモリーカードスロットを備えているので、これを常設ストレージとして活用することが必須だ。

 microSDXCはそのまま(exFATフォーマット)では、アプリケーションのインストール先やオンラインストレージの同期フォルダとして使えないが、NTFSでフォーマットすれば、アプリケーションのインストール先にできる。ASUS Web Storage、One Driveとも同期フォルダを作成することが可能だった。

ASUS WebStorageの500Gバイト/2年間の利用権が付属。ローカルに同期するファイルはフォルダ単位で選択できる
ASUS WebStorageのWebサービス画面
Microsoftが提供するOneDriveの100Gバイト/2年間の利用権も付属している。microSDXCメモリーカードをNTFSでフォーマットすれば、OneDriveの同期フォルダを作成することも可能だった
OneDriveではオンラインのみでアクセスするファイルとオフラインでも使うファイルを、ファイル/フォルダ単位で指定できる
OneDriveにおけるWebサービスの画面。Webサービス上で直接Office Onlineを利用してファイルの編集が可能だ
OneDriveの設定画面。「すべてオフラインで利用する」設定にすることが可能だ。筆者の場合、実容量35Gバイト前後に対し、キャッシュファイルは500Mバイト弱だった

 ただし、microSDXCはWindows上では「リムーバブルディスク」として扱われるため、アプリケーションによってはNTFSでフォーマットしても直接ファイルを保存できない場合がある。例えば、ファイル共有ソフトのDropboxでは、microSDXC上に同期フォルダを作成できなかった。

 対策としては、microSDXCにVHD(仮想ドライブ)を作成するという方法がある。仮想ドライブであれば、通常のHDDやSSDと同じように扱え、Dropboxの同期フォルダを作成することも可能だった。とはいえ、VHDはWindowsを起動する度にマウントし直す必要があり、その辺りの使い勝手には課題がある。

VHD(仮想ドライブ)は「ディスクの管理」で作成できる。ただし、システムを起動する度にディスクの管理を開いてVHDをマウントする必要がある

 また、USBメモリを使って回復ドライブを作り、回復パーティションも削除してCドライブに統合してしまえば、多少は余裕ができる。いずれも無難とはほど遠い使い方かもしれないが、ある程度攻めた運用をしなければ、(ライトユースに限定したとしても)Windows搭載のモバイルPCとして長期運用していくのは少々難しい印象だ。

標準ではリカバリ用の回復パーティションとして8Gバイトが確保されている。これを削除してしまうのも1つの手だろう

 なお、NANDフラッシュメモリを記録媒体とするストレージは、(使い方が同じであれば)容量が小さいほど寿命も比較的早期に訪れる。メモリ1セルあたりの書き込み可能回数が決まっているためだ。そのため、eMMCの長期耐久性はあまり期待できない。ギリギリの容量で回すような使い方をするならなおさらである。利用の仕方によるが、短ければ1年前後、長くても2〜3年で使い倒すくらいのつもりで導入する覚悟は必要だ。

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