Siriのライバル「Cortana」がついに日本語対応――Windows 10はどう変わるのか?鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(2/3 ページ)

» 2015年07月22日 10時30分 公開

Cortanaを通じたアプリとの対話型インタフェース

 フォアグランド動作でのCortana連携は、「Cortanaをアプリランチャー」として利用しているだけだが、おそらくCortana本来の強みを発揮できるのは「バックグラウンド動作での連係」のほうだろう。

 バックグラウンド連携では、Cortanaがアプリ(サービス)とユーザーの仲介役となり、共通のインタフェースとして動作する。スマートフォンやタブレットであっても「タッチパネル」の操作なしにアプリの機能を利用できるようになるため、ある意味で究極のユーザーインタフェースとも言える存在だ。このCortanaの魅力を引き出すのも、今後増えてくるであろうCortana対応UWPアプリの存在が大きい。

 バックグラウンド動作時における音声コマンドの挙動だが、基本的なフローはフォアグラウンド時と同様だ。最大の違いは、アプリそのものはユーザーと直接やり取りせず、Voice Command App Serviceを通じて、バックグラウンドでアプリの機能の一部をCortanaへと提供する形態を採っていることにある。

バックグラウンド動作時における音声コマンドの制御フロー。先ほどのフォアグラウンド制御とは異なり、アプリはフォアグランドとして直接画面には呼び出されず、Voice Command App Serviceを通じてCortanaのサブ画面の中で動作する形になる

 ユーザーにとっては、ここでの表示結果がアプリの持つ機能ではなく、Cortanaの機能の一部に見えているというところがポイントだ。機能が呼び出されているアプリのアイコン、基本的な応答テキスト、メインとなるコンテンツ、アプリを呼び出すためのリンクがCortanaには表示される(「キャンバス」と呼ばれる)。

 バックグラウンドでのアプリとの対話インタフェースは、フォアグラウンド時の音声コマンドのそれに近いが、Cortanaのキャンバスでは表示領域が限定されているうえ、数個程度の項目表示や選択、「はい/いいえ」の2択、動作のキャンセルなど、できることが非常に限られている。

 つまり、「ユーザーが今素早くアクセスしたい情報の表示」や「手が離せないけど即座に応答したいアクションがある」場合など、あえて情報の選別や最適化をアプリ側が行う必要があるわけだ。

 キャンバス内の項目選択は、マウスやキーボード、タッチ操作だけでなく、音声コマンドでの選択も行える。キャンバスに表示する情報をCortanaに読ませることもできるので、作り込み次第では「画面をいっさい見ずに完全なハンズフリーで操作」といったことも可能になる。これは今後、いろいろ応用範囲の広い使い方ができるだろう。

一連のやり取りを通じて、Cortanaが自身の画面内に結果を簡易表示するのが、バックグラウンド動作の特徴だ
バックグラウンド動作では、「項目選択」「はい/いいえ」といったシンプルな応答形式で、音声入力によるアプリとのインタフェースも利用できる

WebアプリもUWPアプリ化すればCortanaを利用可能

 Microsoftにとって、新しい世代のユーザーインタフェースとしてのCortanaに期待する部分が大きいというのは、さまざまな部分からうかがえる。同社は「Kinect for Xbox 360」をリリースした際に「NUI(Natural User Interface)」というフレーズを用いたが、CortanaはまさにNUIを体現する存在だからだ。

 MicrosoftはCortanaの存在がWindows 10における強みだとも考えており、WebアプリケーションをUWPアプリとしてパッケージングする「Hosted Web App」を利用するメリットの1つとして、「CortanaをWebアプリケーションから利用できる」という点を挙げている。

 Hosted Web Appを作成するための「Project Westminster」は、同社が開発者向けイベント「Build 2015」で発表した4つの“ブリッジ”のうち、現時点で唯一正式に提供が行われており、Windows 10ならではの機能を活用したアプリの作成が可能だ(残りは「Project Astoria」「Project Islandwood」「Project Centennial」)。

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