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» 2015年08月25日 08時30分 UPDATE

SOHO/中小企業に効く「ドキュメントスキャナ」の選び方(第2回):思わぬ差が出る「ドキュメントスキャナ」選びのポイント (1/2)

紙の書類を効率よくデジタルデータ化するのに欠かせない「ドキュメントスキャナ」。その選び方を紹介する本連載の第2回目は、確認すべきポイントと、製品仕様からは読み取りにくい意外な違いについてチェックしていく。

[山口真弘,ITmedia]

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基本から隠れポイントまでチェック

 前回は紙の書類を効率よくデジタルデータ化するのに欠かせない「ドキュメントスキャナ」について、法人向け製品の特徴的な機能を紹介した。

 もっともこれらは、製品選びにおいてあくまでプラスαの要因だ。今回はドキュメントスキャナを選ぶ際、最初にチェックすべき基本的な機能および性能について注意点を見ていこう。併せて、製品のスペックシートなどでは分からない、メーカーごとの意外な仕様の違いも紹介する。

基本的な機能と性能の注目点

読み取りが速い

 ドキュメントスキャナに期待される役割が、大量の紙の書類をスピーディにデータ化することである以上、読み取りのスピードが高速であることは、製品を選ぶ際に何よりも重視すべき点といってよい。

 もっとも、読み取りのスピードは、カラーモードや解像度などの設定によっても大きく変化する。それゆえ、各製品の公称値をチェックするにあたっては、それがどのような条件によるものなのか、きちんと確認する必要がある。最近では「カラー300dpi」が共通のラインとなりつつあるが、古い製品では、200dpiでの速度を基準にしている場合もあるからだ。

 また、実際の作業では、スキャン以外の工程にかかる時間もかなりの割合を占めることは、注意する必要がある。一般的にスキャンの工程と見なされるのは、スキャン開始のボタンを押してから、原稿が搬送されて読み取りが行われ、排出されてスキャナの動きが止まるまでの時間だ。各社の測定値は、おおむねこの工程について計測されている。

tm_1508_sc2_01.jpg PFUの法人向けモデル「fi-7180」は、カラー300dpiで毎分80枚(160面)もの高速読み取りが可能だ。ちなみに同社の個人向け上位モデル「ScanSnap iX500」は、毎分25枚(50面)の読み取り速度となる

 ところが実際のスキャンでは、ほかにもさまざまな“所要時間”が発生する。代表的なのは読み取ったデータに対する補正処理にかかる時間だ。「向き補正」や「白紙除去」などはあまり処理時間に影響しないが、「モアレの除去」や「コントラストの調整」のようなページ全体に渡って解析が必要な処理は、スキャンそのもの以上に時間がかかることもある。

 これらの処理ではスキャナの性能よりも、接続するPCのCPUやメモリといった性能に依存する部分も大きく、スキャンそのものは早々に終わっているのに、PC側が延々と処理待ちになるケースも少なくない。

 また、これら補正処理が終わったデータがファイルとして保存されることでようやく全プロセスの終了となるわけだが、例えば保存先のフォルダがネットワークドライブなどであればローカルドライブに比べて時間がかかることが多いし、Wi-Fiで接続していれば有線接続に比べて時間もかかる。

 それゆえ、メーカーの公称値はあくまで目安であり、実際にはプラスの時間がかかる可能性があること、また設定や接続方法を変更することで、それらを短縮できる可能性があることは、知っておいたほうがよいだろう。

 例えば保存先については、ローカルドライブを一時的な保存先とし、分類時にあらためてネットワークドライブに移動させたり、夜間にバッチ処理で移動させるといった方法を取ることで、スキャン作業でPCが占有される時間を短縮することができる。

同時セット可能枚数が多い

 同時にセットできる原稿の枚数が多いということは、それだけ原稿をセットする回数が少なくて済むため、手間を削減するのに役立つ。スキャンの速度がそれほど高速でなくても、同時セット可能枚数が多ければ、原稿の読み取りが終わってから継ぎ足すまでのロスタイムを省略できるため、結果的に作業が早く終わる場合もある。

 ただし、同時にセットできる枚数が多くなればなるほど、オートシートフィーダ(ADF)にそれだけの厚みが必要になるほか、原稿を排出する先のトレイにも深さがないと原稿がつかえて傷んでしまいかねないので、必然的に本体のサイズ(特に高さ)は大きくなる。それゆえ、機種選定にあたっては、設置スペースも考慮すべきだろう。

tm_1508_sc2_02.jpg 同時にセットできる原稿の枚数が多いと、原稿を交換する回数が少なくて済む。写真の「DS-860」(エプソン)は、卓上タイプのスキャナで80枚もの原稿を1度にセットできる

読み取り可能な厚みの範囲が広い

 読み取り可能な原稿の厚みは「g/m2(グラム/平方メートル)」で表されるが、あまり身近な単位ではないだけにピンと来ないことも多いだろう。

 ざっと基準となる値を示しておくと、トレーシングペーパーが「40g/m2」で、厚手のハガキが「209g/m2」なので、読み取り可能な原稿の厚みとして「40〜209g/m2」という値が示されていれば、トレーシングペーパーから厚手のハガキまでがスキャン可能ということになる。

 個人/SOHO向けの製品ではおおむねこの「40〜209g/m2」前後の値が一般的であり、法人向けの製品になると、さらに薄い紙のスキャンに対応している場合もある。世代が古い製品では読み取り可能な厚みの範囲が極端に狭いこともあるので、伝票など薄い紙をスキャンするのが目的の1つであれば、機種選定時に注意するようにしたい。

 なお、原稿をカールさせて排出する構造だと、209g/m2の紙は通過させるのが難しいので、大抵はストレートパスで真っすぐ排出することになる。

tm_1508_sc2_03.jpg キヤノンのA3対応モデル「DR-M1060」は、Uターン排紙とストレート排紙の2つの搬送経路を持つ。ストレート排紙ならば、普通紙で255g/m2、名刺で380g/m2、カードで0.76ミリ以下の厚さまでスキャンできる

耐久性が高い

 プリンタに出力可能枚数があるのと同様、スキャナにも読み取り可能枚数の制限がある。それらの制限を超えた場合はローラーなどの交換が必要になるので、コストを試算するにあたっては、それらを考慮しておく必要がある。例えば3万枚や5万枚といった目安を決め、その際に何回交換が必要になるか、チェックしておくとよい。

 なおローラーのゴムが劣化することから、枚数以外に1年ごとの交換といった、年数による制限が設けられている場合もある。

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