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「VAIO S11」はSIMフリーでPCユーザーを呪縛から解放するか?独自SIMをチェック(1/3 ページ)

» 2015年12月27日 06時00分 公開
[鈴木雅暢ITmedia]

←・前回記事:「VAIO S11」徹底レビュー これぞ待望のSIMフリーLTEモバイルノートPC

ココが「○」
・PCユーザー向けのVAIO SIM
・SIMフリーを生かすハードウェア設計
ココが「×」
・環境によってVAIO SIMはマッチしない

小型軽量VAIOノートとSIMフリーの強力タッグ

 「VAIO S11」は、VAIOが2015年12月18日に発売した小型軽量の11.6型モバイルノートPCだ。VAIOが誇るハイエンドノートPC「VAIO Z」や堅牢ノートPC「VAIO Pro 13 | mk2」の開発で得たノウハウを基に設計したハードウェアの品質、使い勝手のよさに加えて、SIMロックフリー対応のLTEモデルを用意する点が大きな特徴だ。

VAIO S11 SIMロックフリー対応の11.6型モバイルノートPC「VAIO S11」

 LTEモデルが内蔵しているLTEモデムは、NTTドコモのクアッドバンドに対応したLTE(Band 1、3、19、21)および3G(Band 1、19)が利用できる。LTEの最大通信速度は下り150Mbps/上り50Mbpsだ。国内専用設計という強みを生かし、多くの格安SIMが使用するNTTドコモのバンドを幅広くカバーしている。当初よりSIMロックフリーのLTE通信を強く意識し、アンテナの受信感度を最適化したという。

 さらに、NTTコミュニケーションズと共同で独自の特別料金プラン「VAIOオリジナル LTEデータ通信SIM&特別料金プラン」(以下、VAIO SIM)を用意している点も特徴だ。今回はそのSIMカードを入手したので実際に試してみた。

PCユーザーなら共感できるVAIO SIM

 VAIO SIMは、12月9日にオープンしたVAIOの直販サイト「VAIO STORE」で販売中だ。料金プランはプリペイド式で、利用期間の違いにより「手間なし1年間プラン」「手間なし2年間プラン」「手間なし3年間プラン」という3種類が用意されている。

VAIO STORE VAIO SIMはVAIO直販サイト「VAIO STORE」から購入できる。VAIO S11とのセット販売も行われている
「VAIOオリジナル LTEデータ通信SIM&特別料金プラン」
プラン名 利用期間 基本通信モード(200kbps) 高速通信モード(最大150Mbps) 単品購入価格(税別) VAIO S11同時購入の特別価格(税別)
手間なし1年間プラン 1年間 使い放題 32GB分付属 1万3800円 1万1800円
手間なし2年間プラン 2年間 使い放題 64GB分付属 2万2800円 2万800円
手間なし3年間プラン 3年間 使い放題 128GB分付属 3万2800円 2万9800円

 企画担当者の実体験やユーザー調査の結果から、モバイルPCを使うユーザー、ビジネスユーザーにとっての使いやすさを考慮したプランとなっており、2つの特徴を持つ。

 1つ目の特徴は、期間中完全使い放題の常時接続モード(200kbps)が用意されていることだ。これは、たとえ低速であっても、通信容量や通信料金を気にせず常時接続状態を維持できる必要がある、という考えから採用している。

 確かに月々のデータ残量を気にして小まめに通信を切るような運用では、通知がリアルタイムに受けられず、使い勝手を損ねてしまう。最近のPCではアプリのアップデートやクラウドサービスの同期など、ユーザーが知らないうちにバックグラウンドで通信している場合も多い。大抵は設定の工夫で回避できるが、中にはうまくいかないものもあり、いちいちチェックするのも面倒だ。取りあえず、低速でも常時接続が可能なことで、こうした問題を回避できるのはありがたい。

 もう1つは、高速通信(下り150Mbps/上り50Mbps)の上限容量には月単位の制限がなく、上限容量の範囲内であればいつ使ってもよいことだ。高速通信は1年間プランで32GB、2年間プランで64GB、3年間プランで128GBまで利用できる。

 高速通信の仕様も共感できるユーザーは多いのではないだろうか。業務だからといって、毎月コンスタントに通信容量を使うユーザーばかりではない。むしろ出張時など、たまにしか使わないユーザーも少なくないはずだ。しかし業務であれば、ビデオ会議やデータのダウンロードなど、大容量の通信が必要になることが多く、当然後回しにするわけにもいかないだろう。

 月額単位の上限が設定されている場合にそういうことまで想定して見積もると、たまにしか使わないことが分かっていても高額のプランを選択せざるを得ないが、VAIO SIMの方式であれば無駄がない。たとえ出張で1日に数GBを使っても、高速通信モードの容量さえ残っていれば、データ通信の制限を受けることはないのだ。

 なお、支払いについては、更新や解約などが気になって導入に抵抗があるという個人ユーザーも少なくないだろう。その点、VAIO SIMはプリペイド式の買い切りプランなので、更新や解約手続き、解約金などの心配をせずに使える。あらかじめ定額の予算を計上して購入でき、記帳作業なども簡略化できるため、法人にとっても都合がよい。

 ビジネスでリアルにモバイルPCを使ってきたユーザーの実体験をベースに考案しただけに、VAIO SIMの内容には共感できるユーザーも多いはず。実は、筆者もその1人だ。月によってモバイルPCの利用頻度は全く異なるだけに、まさにジャストミートの格安SIMという印象を受ける。

小型軽量ボディ VAIO S11のLTEモデルは、本体サイズが約284(幅)×190.4(奥行き)×16.4〜19.1(高さ)ミリ、重量が約940グラムと小型軽量だ。150kgf(重量キログラム)の加圧振動試験をクリアするなど、ボディの剛性にもこだわっている。SIMロックフリー仕様に加えて、こうした携帯に適したVAIO S11自体のボディ設計も魅力的だ
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