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新生VAIOがハイエンドモバイルPCの“Z”を復活――「VAIO Z」2015年PC/タブレット春モデル(1/4 ページ)

» 2015年02月16日 15時00分 公開
[前橋豪,ITmedia]

新会社が初めて投入するオリジナルモデルは復活した“Z”

 VAIOは2月16日、パフォーマンス重視の13.3型2in1モバイルノートPC「VAIO Z(型名:VJZ13A1)」を発表、受注を開始した。設計から製造まで全工程を長野県安曇野市の本社工場にて行う。実売価格(税別)は、Core i5、8Gバイトメモリ、128GバイトSSD、Windows 8の基本構成で19万円前後から。ボディカラーはブラックとシルバーから選べる。

VAIO新会社が最新技術で復活させた「VAIO Z(型名:VJZ13A1)」

 VAIO Zシリーズは、高性能と携帯性の両立を追求したVAIOノートのハイエンドモデル。ソニーが2006年2月に発売した「VAIO type S(SZ)」に端を発し、2008年8月発売の「VAIO type Z」、2010年3月発売の「VAIO Z(Z1)」、そして2011年7月の「VAIO Z(Z2)」とモデルチェンジを重ねてきたが、以後はマイナーチェンジのみで販売終了となっていた。

 ソニーから分離し、2014年7月1日に発足したVAIO新会社(VAIO株式会社)は、ソニー時代から引き継いだ11.6型ノートPC「VAIO Pro 11」、13.3型ノートPC「VAIO Pro 13」、15.5型ノートPC「VAIO Fit 15E」の3シリーズにラインアップを絞っており、新開発した製品の投入が期待されていたが、同社初のオリジナルモデルは最新技術で復活させた「VAIO Z」となった。

ブラックのボディカラー
シルバーのボディカラー

 なお、同社はVAIO Zシリーズの新製品として、クリエイター向けの高性能な12.3型Windowsタブレット「VAIO Z Canvas」も同時発表している。こちらは2014年10月に発売未定の試作機として公開した「VAIO Prototype Tablet PC」の製品版であり、2015年5月に発売する予定だ。

TDP 28ワットの第5世代Coreを採用、cTDPによる35ワット利用も可能

 新VAIO Z(VJZ13A1)の狙いは、他の2in1/Ultrabookを圧倒するパフォーマンスでありながら、機動力やスタイリッシュさも兼ね備えて、WindowsモバイルPC市場で抜け落ちているポジション(Mac OSではMacBook Proがカバーしている部分)で存在を築くことという。

 その特徴を一言で表すならば、「13インチMacBook Proに性能で勝り、バッテリー駆動時間も長く、タブレットスタイルに変形できる2in1構成で、筆圧ペンも備えていながら、13インチMacBook Airより薄型軽量」となる。タブレットへの変形機構やタッチパネル、筆圧ペンを採用したのは、VAIO Zとして初めてだ。

 プロセッサはCore i5-5257U(2.7GHz/最大3.1GHz、3Mバイト3次キャッシュ)、もしくはCore i7-5557U(3.1GHz/最大3.4GHz、4Mバイト3次キャッシュ)から選べる。いずれもTDP(熱設計電力)が28ワットの第5世代Core(開発コード名:Broadwell)だ。2in1/UltrabookなどのWindowsモバイルPCではTDP(熱設計電力)が15ワットのCoreプロセッサが主流だが、これよりワンランク上の性能を備えている。

 Core i5-5257U搭載の構成でも、TDP 15ワットのCore i7をしのぐCPU性能という。CPU性能を評価するCINEBENCH R15の結果では、先々代のVAIO Z(Z1)を1.00とした場合、先代のVAIO Z(Z2)は1.26倍、新VAIO Zは1.62倍のスコアが得られたとしている。

プロセッサはTDP(熱設計電力)が28ワットの第5世代Core(開発コード名:Broadwell)を採用する

 さらにVAIO ZではcTDP(Configurable TDP)機能を活用し、クラムシェルノートPCのスタイルで「パフォーマンスモード」を選択すれば、最大35ワットまでTDPを上げて使用可能だ。タブレットスタイルでパフォーマンスモードに設定すると、TDPは定格の28ワットとなる。省電力や低騒音を重視する場合は、サイレントモードを使用することで、TDPをクラムシェル時で15ワット、タブレット時で10ワットまで下げられる。

 CPUに統合されたグラフィックス機能も、上位のIntel Iris Graphics 6100となる。TDP 15ワット版のIntel HD Graphics 5000シリーズに比べて、描画を処理する実行エンジンが2倍に増えており、内蔵グラフィックスとしては高い描画性能を発揮する。3D描画性能を評価する3DMark Vantageの結果では、先々代のVAIO Z(Z1)を1.00とした場合、先代のVAIO Z(Z2)+メディアドックは2.42倍、新VAIO Zは3.22倍のスコアが出たという。

高性能と携帯性を高次元に両立させる「Z ENGINE」

 VAIO Zではこうした高性能と携帯性を高い次元で両立するため、新たに「Z ENGINE」を搭載した。これはVAIOが培ってきた独自の「高密度実装技術」と「放熱設計技術」の結晶であるメインユニットに名前を付けたもので、VAIO Zのために新規で開発したメイン基板と冷却機構で構成される。

 同社が考えるZ ENGINEの優位性とは、高密度実装基板によって、筐体内部に空間的な余裕が生まれ、大容量のバッテリーやスピーカーを内蔵しやすくなり、ボディデザインも洗練させることができる。これに優れた放熱設計技術を融合させることで、高性能だが薄型軽量なボディが可能になるというものだ。

 VAIO Zの高密度実装基板は、基板設計と基板製造の専門部隊により、部品間のギャップ、配線間長をギリギリまで追い込み、メインボードを1万34平方ミリメートルまで小型化して設計した。その基板面積は、ソニー時代の13.3型2in1ノートPC「VAIO Fit 13A」(ODM設計)に比べて約2/3、13インチMacBook Proに比べて約1/2に相当する。

VAIO Zの高密度実装基板。両面10層のビルドアップ基板だ。メモリは片面に4チップでオンボード実装しており、最大16Gバイトまで載せられる
VAIO Z(上)とVAIO Fit 13A(下)の基板サイズ比較。VAIO Zのメインボードは、VAIO Fit 13Aと比べて約2/3の面積しかない

 放熱機構については、厚さ15〜16.8ミリのボディ(PC本体部は約10.6ミリ)で最大TDP 35ワットを実現するため、冷却ファンおよびヒートパイプを新たに設計した。

 日本電産との共同開発により、HDDに用いられる流体動圧軸受を備えた薄型、高効率、高信頼性のファンを新開発。2基の冷却ファンは、左右の羽の枚数を変えて騒音レベルを抑えるアシンメトリーブレードとした。また、フジクラとの共同開発により、独自の内部構造を用いた薄型で熱運搬能力の高いヒートパイプも搭載している。

ツインファンと長いヒートパイプから構成される放熱機構をメインボードに装着した状態。このメインユニットをVAIOは「Z ENGINE」と名付けた
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