インタビュー
» 2016年04月28日 15時00分 UPDATE

絵を描きたい!動画編集したい!DTMしたい!:“創る”ためのPC――ドスパラがクリエイター向けPCブランド「raytrek」にかける想い (1/2)

サードウェーブデジノス(ドスパラ)の展開するブランドと言えば、ゲーミングPCの「GALLERIA」が有名だが、そのゲームを“クリエイト”するためのPCも負けていない。クリエイター向けPCブランド「raytrek」の担当者に話を聞いた。

[長畑利博,ITmedia]

“創る”ためのPC

 「クリエイター向けPC」というカテゴリが静かに立ち上がりつつある。サードウェーブデジノスは、2007年という早い時期からクリエイターPC向けの「raytrek(レイトレック)」ブランドを立ち上げ、クリエイティブにおけるさまざまな用途に応じて、最適な構成を組んだ幅広い製品を用意している。今回は同社製品統括部 raytrek/Diginos PC戦略課課長の林田奈美氏と、同ブランディング部ブランディング課課長代理である沢口聡一氏に「raytrek」の方向性などについて聞いた。

サードウェーブデジノス製品統括部raytrek/Diginos PC戦略課課長の林田奈美氏(左)と、同ブランディング部ブランディング課課長代理である沢口聡一氏(右) サードウェーブデジノス製品統括部raytrek/Diginos PC戦略課課長の林田奈美氏(左)と、同ブランディング部ブランディング課課長代理である沢口聡一氏(右)

当時、Windowsユーザーはごくわずか。しかし需要はあるはず

―― クリエイター向けブランド「raytrek」シリーズを展開しはじめたのはいつ頃ですか

林田奈美氏(以下林田氏) 2007年からです。それ以前はセルシスの「ComicStudio」や、市川ソフトラボラトリーの「SILKYPIX」における動作確認済みPCとして「クリエイト」という製品を展開してきました。しかし、クリエイトという名称だと商標とブランド化が難しいことから、オリジナルの「Raytrek」という名称を付けました。これまでは弊社のゲーミングPCブランド「GALLERIA」のように強いプッシュはしてこなかったのですが、2015年から新モデルを増やして認知度を高めるように努力しています。

―― 当時のクリエイターPCユーザーはどういった方だったのでしょう? 同人誌やカメラマンといったユーザーが思い浮かぶのですが

林田氏 そうですね。写真やマンガの他にAutodeskの3Dアニメソフト「Maya」や映像編集用のAdobe「After Effects」のユーザーをターゲットにしていました。当時、こうしたクリエイター向けのアプリケーションはMacintoshや専用ワークステーションで使うのが主流でWindowsユーザーはごく少数でした。しかし、需要はあるはずだということで挑戦してみました。

 まずMayaとAfter Effects用としてターゲットを絞りまして、これらを使用しているアニメスタジオに実機をいくつか持ち込み、実際の業務で使用していただきました。そして、最も評価の高かった物をモデル化しました。この辺のやり方は今も変わっていない部分です。

―― 2016年2月にもアニメ制作会社の監修モデルを出されていますね

林田氏 2007年当時に協力していただいたのはSTUDIO4℃さんですね。私が直接の担当ではなかったのですが、STUDIO4℃さんが「ジーニアス・パーティ」という作品を作られている頃だったと記憶しています。当時はセル画っぽい3Dアニメーションを作る気運が高まっていた時期で、STUDIO4℃さんもどういうPCを使えば制作できるのか模索していたそうです。それがraytrekのスタート時期ですね。

―― 現在はどういったユーザーの利用を想定されているのでしょうか

林田氏 想定するユーザーを大まかに分けますと、作品制作をパーソナルな趣味や興味、あるいはそこから延長した仕事として行っているクリエイター、そしてクリエイティブな作業を文字通り「仕事」にされているクリエイターという2つの考え方をしています。前者は、パーソナルな道具としての側面が強くなるので、製品開発も「省スペース性」や各種アプリケーションの「動作確認済み」といった部分を重要視しています。後者は企業業務の一部ということになりますので、法人営業に近いアプローチを取っていますね。

―― raytrekの製品ページを見ると、動画編集、3DCG、マンガ・イラスト、CAD、DTM、ゲーム制作など専門的に細分化されたラインアップに驚きます

林田氏 一口に「クリエイター系PC」とくくってしまうと、とても間口が広くなってしまうんです。例えば2Dでイラストを描く人と、4K動画にバリバリVFX(ビジュアルエフェクツ:映像効果)を掛ける人も同じクリエイターです。しかし、前述の二つだけでも求められるスペックは全然違う。考えられる最良のパーツを組み合わせて最強PCを作れば、どんな用途でも使えるのは確かですが、価格がとんでもないことになってしまいます。逆に音楽用ともなるとPCのスペック的な性能とは別に、グラフィックスカードのファンの音といったノイズ源は減らす必要があるなど、求められる部分が違ってきます。

raytrekの製品ページ。「動画編集」「3DCG」「マンガ・イラスト」「CAD・CAM・CAE」「DTM・DAW」「RAW現像・レタッチ・DTP」「多画面マルチモニタ」「ゲーム制作」と、用途に合わせて最適なモデルを探せる

 そこで、それぞれのカテゴリに必要な要素は何かを精査しました。例えばOpneCLへの対応能力なのか、CUDAの処理能力なのか、モバイルとして持ち運べる可搬性や省スペース性なのか、求められる価格はどれくらいなのか、これらを決めてラインアップしました。あとはBTOメーカーですので、(最新インテル製プロセッサである)Skylakeや(OpenGLに最適化され3DCGやCADなどに適した)Quadroの新製品が出たらすぐに導入するといった対応は取っています。raytrekシリーズは、こうしたラインアップとカスタマイズの幅広さから、ユーザーに最適な「スケーラビリティ」が強みだと考えています。

ドスパラで展示中の「raytrek」ブランドPC。ラインアップが多く並べきれないので、展示機種は限定しているとのこと

―― 先ほどDTM用PCでは、静音化を重視しているとありましたが、どういった部分を注力されているのでしょうか

林田氏 ノイズ元としてはCPUクーラーと前述のグラフィックスカード、電源ユニット、ケースなどに取り付けたファンになります。単純に完全ファンレスにできればいいのですが、実際にそれをやると熱暴走で処理能力が落ちてしまうなど、業務用途としては不安定で問題があるのでバランスを考えながら調整しています。この部分はさらにブラッシュアップする余地はあるなと考えています。

―― 最新のパーツを使用すると、DTMの場合はドライバ、3DCGの場合はソフトウェアとの相性なども考慮する必要が出てくると思うのですが

林田氏 DTMの場合はそうですね、Windowsの場合はドライバによって音の遅延問題なども出てきます。専門的に音楽に携わっている方ですと必ず気にされる部分です。ASIOドライバとUSBオーディオを組み合わせて接続し、実際にソフトウェアを動作させて遅延がないか確認します。DTMだけに限らず動作上の問題が出たときは、ソフトウェアメーカーさんに機器を貸し出してチェックしていただいています。総合的にチェックしていただいた結果「メモリが足りないですね」となり、ベースモデルのスペックを増量したことも。

人気は、エントリーレベルの3DCG/CAD向けモデル「raytrek LC-M」とのこと

 とはいえ、ソフトウェアメーカーさんも特定のPCメーカーとだけ協力しない、というスタンスを取っておられるところもあります。そういった場合は、その分野のエバンジェリストと呼ばれるクリエイターに協力を仰いでいます。

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