子供たちの夏休みも終わりに近い8月20日と21日に、大阪市に2016年度から新設されたICT戦略室がグランフロント大阪で小学生向けのプログラミング教室を開催した。なぜ大阪市という大きな自治体が、プログラミング教室を開いたのか? 小学生はプログラミングをできるようになるのか? 現地で取材した。
今回行われた講座は、大阪市ICT戦略室が小学生向けのプログラミングスクール企業であるシーエーテックキッズ(CA Tech Kids)に業務委託した形で行われた。上記写真の様子を見て、「おや、この形式はどこかで見たことあるな」と思っていたのだが、聞くとシーエーテックキッズはライフイズテックと兄弟校のパートナーシップを結んでいるという。どうりで見たことがあるはずだ。今回は小学生(小学3年生〜6年生)を対象にした講座だったが、9月には中学生向けの「Osaka City Programming Camp 2016」も開催される。こちらはライフイズテックが委託を受けるとのことだ。
小学生向けのコースは「Scratchコース」「iPhoneアプリ開発コース」「Web開発コース」の3種類が用意された。参加者は50人のうち、34人がScratch、8人がiPhoneアプリ開発、8人がWeb開発を選んだという。講座に使用するPCは持ち込みもできるが、3240円でレンタルすることも可能。教室を見回すと、ほとんどの子はレンタルのMacBook Airを使用しているようだった。
子供によっては、ローマ字対応表を見ながら入力する程度にMacBook Airが初めてという習熟度だったようだが、多くの子は1日目に入力も慣れ、2日目には自分なりにプログラムを改造していた。
大阪市ICT戦略室ICT戦略担当係長の山本早紀氏に今回プログラミング教室を開催した経緯を伺うと、「東京では民間のプログラミング教室が広く認知されつつありますが、一方で大阪などの地方では、まだまだ『プログラミングがどういうものなのか』というのが保護者の皆様に認知されていないのが現状です。そこで、少しでもプログラミングの意義をお子さん、保護者様ともに知って頂ければと考え、まずは大阪市という自治体がプログラミング教室を開きました」とのことだ。小学生向けのプログラミングと聞くと、2020年からのプログラミング必修化と関連した動きなのかと思うところだが「プログラミング必修化とは無関係で、偶然タイミングが重なりました」とのこと。また、今回の8月、9月のプログラミング教室から選出された優秀者は、大阪市が費用を負担して各企業のプログラミング合宿などに招待されるという。一回教室を開催して終わりなのではなく、見つけた才能を伸ばしていこうと支えていく姿勢は、形だけではない中身のある取り組みなのだと感じた。
8月21日にアップル心斎橋でも似た取り組みが行われていた。こちらは、PCN大阪というプログラミングスクールを運営するアプリルの福嶋伸之氏と森巧尚氏が小学生に1時間でSwiftを教えるというもの。序盤のif文の説明などでは子供たちからやや退屈なオーラが出ていたが、アプリのコード部分を打っていいという段階になるとたどたどしくもキーボードを押し、自分なりに文字色の変更などをして楽しんでいる様子だった。
(取材協力:Apple)
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