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» 2016年09月08日 20時27分 UPDATE

林信行の現地リポート:ついにiPhoneでSuicaが利用可能に――AppleとJR東日本が協力して生み出したSuicaの新しい姿 (1/3)

“Apple Pay版Suica”の詳細をJR東日本の小縣副会長に林信行が聞く。

[林信行,ITmedia]

AppleとJR東日本の連携

 既報の通り、iPhone 7とApple Watch Series 2はFeliCaチップを搭載し、Suicaの利用が可能になるが、これは日本で購入したiPhoneだけの特徴だ。

 10月下旬のある日、突然、iPhone 7やApple Watch Series 2の画面に、Suicaが使えるようになったことを伝える通知が表示される。そしてその日を境に、駅の数にして4710、バス3万台、そしてお店の数にして35万店舗以上で採用される世界最大の電子決済サービス、Suicaが両デバイスで利用可能になる(この数字は3年前から始まった他の交通系ICカードとの相互利用を含む)。


 これは10年前の2006年に誕生し、現在では400万人近い利用者がいる携帯電話版Suicaの「モバイルSuica」とはまた別のサービスであり、Appleと東日本旅客鉄道株式会社(以下、JR東日本)が協力して一から作った全く新しいサービスである。

 同サービスの仕様などに関する詳細は、現時点でまだ詰めているものも多く、不明な点が多い。ただ、JR東日本の取締役 副会長でSuicaの普及に邁進(まいしん)してきた小縣方樹氏に話を伺うことができたので、そこで得た情報も含めて、現時点で分かっている事柄を可能な限り詳細にまとめてみた。

 「(今回の製品発表会は)本当に素晴らしかった。我々どもが協力したSuicaというサービスが講演の中でしっかりと表現されていたのもうれしかったし、Suica以外にも日本に関わる発表が非常に多かったことをうれしく思っている」と振り返る小縣氏。

スペシャルイベントでiPhone 7が発表された際、フィル・シラーが特徴の1つとして挙げたSuicaの対応

 iPhoneに搭載されるSuicaは3年前から始まった他の交通系ICカードとの相互運用のおかげで東京だけでなく日本全国に恩恵をもたらすサービスとなっており、「電車やバスに乗るだけでなくショッピングもできるので24時間幅広い利用ができる」と小縣氏は語る。

 「特に強調したいのは――」と同氏は続ける。今回のiPhoneやApple WatchのSuica対応が、「Appleと私どもの連携でSuicaというものを機能としてもユーザーエクスペリエンスとしても最初から作り直したこと。新しいSuicaの体験を一から作り上げたこと」だという。

 一日に1700万人が利用するサービスを提供するJR東日本と、世界で累計10億台出荷したiPhoneを発売するAppleは、どちらも非常に多くの顧客を抱える責任ある企業として共通点が多い、と小縣氏は言う。

 特に「セーフティー、セキュリティー、クオリティ(品質)、そしてカスタマーサティスファクション(顧客満足)、こういうところを求めているところが両社の共通項。どちらの会社も厳しいもの同士ではあるが、今回は連携を密にしてここまで来れた」と話す。

 我々もiPhoneやApple Watchが大好き、と小縣氏は自らのiPhoneやApple Watchを見せながら「日本人が潜在的に大好きで国内で非常に人気が高いiPhone。でも、これまでは会社から支給された定期券をSuicaで使いたいが両方を個別に持ち歩かなければならなかった。今後は迷いなくiPhoneに定期券を入れて毎日会社に通えるようになるので、我々の期待値や想像を超えて喜んでもらえると思う」と胸を張る。

日本だけの独自サービス

 iPhoneとApple WatchのSuicaは、Apple Payを通して利用することになる。実際の利用イメージは、アップルジャパンの特設サイトに動画をはじめとする利用イメージなどが出ているのでそちらを参照してほしい。これを見れば分かるように、iPhoneやApple Watchで利用できるSuicaは、Appleの電子決済技術、Apple Payに組み込んで使う形になる(この記事では便宜上、“Apple Pay版Suica”と呼ばせてもらうが、これはAppleやJR東日本が認めた呼称ではない)。

アップルジャパンの公式特設ページ

 Suicaの話題で隠れてしまいがちだが、AppleはiPhone 7とApple Watch 2でついに日本でもApple Payのサービスを展開する。小縣氏も語っていたように、今回行われたiPhone 7の発表では、10の特徴の1つとして「Apple Pay」を取り上げている。その際、スクリーンに日本の国旗を大写しにし、Apple Payサービスがついに国内で始まることを紹介した。その機能の1つとしてiPhoneにFeliCaを搭載し、Suicaが使えるようになると発表した。

主要なクレジットカードと連携できるApple Pay

 なお、FeliCaを搭載するiPhoneは日本で発売されるモデルのみで、それ以外の国で購入した型番の異なるiPhoneにFeliCaは搭載されていない。つまり、日本で購入したiPhoneを海外のApple Payの支払いに使うことはできないし、海外でiPhone 7を買った人が日本国内のSuicaのサービスを利用することはできない。

※記事初出時、「日本で購入したiPhoneを海外のApple Payの支払いに使うことはできない」と説明を受け、そのように記述しておりましたが、その後「利用できる」との連絡を受けました。おわびして訂正します。
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