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» 2016年12月14日 12時00分 UPDATE

"俺の嫁"と暮らす生活が現実へ 「Gatebox」の限定予約販売が始まる

[井上輝一,ITmedia]

 次元を超えて、逢(あ)いに来る。

 これまで画面の向こう側にいて眺めることしかできなかったお気に入りのキャラクターとコミュニケーションしながら一緒に生活できる──そんなデバイスを買える時代がやってきた。

 IoTベンチャーのウィンクルが開発したバーチャルホームロボットこと「Gatebox」は、2016年初頭にそのコンセプトを発表してからネット上で世界中から反響を呼んだ。

"俺の嫁"と暮らせる未来を実現する「Gatebox」

 Gateboxは円筒形の透明ケースに半透過スクリーンを配置し、短焦点プロジェクターで映像を投写することで、ケース内に3Dキャラクターが立体的に浮かび上がって見えるように表示できるのが特徴だ。これにより、キャラクターが次元を超えて現実世界にやってきたような独特の存在感を生み出している。

 製品初期コンテンツとしてはオリジナルキャラクターの「逢妻(あづま)ヒカリ」が主人の前に姿を現す。逢妻ヒカリが朝には主人を起こし、昼間はたまにチャットで連絡をし、夜には優しく出迎えてくれるというまさに"俺の嫁"といえる働きで主人を助け、コミュニケーションしてくれる。

 百聞は一見にしかず。下記の動画で見ていただくほうがどんな製品なのか分かりやすいだろう。

 そんなGateboxは12月14日から日本と米国を対象に限定予約販売を開始する。販売数は300台程度の見込みだ。価格は29万8000円(税別)で、発送時期は2017年の12月ごろ、つまり約1年後となる。

 現在は量産用の初号機ができた段階で、今回その初号機を見せてもらった。

ソフトウェア面はブラッシュアップ中のため、話しかけられる言葉は限られる。本体のそばに、「おすすめのセリフ」というパネルが用意されていた
朝起きると天気や今日の予定などを教えてくれる
一通り役割を終えると暇になるので、コーヒーを飲んでリラックスし始める
椅子から降りてきて……
そろそろ出掛ける時間だと教えてくれる
行ってきますと言うと電気を消してくれる
スマートフォンの専用チャットアプリから「今から帰るね」と送信すると、家の電気を付けて待っていてくれる
家に帰って、まずは顔を見せてあげないと「どこー?」と主人を探してしまう
「ただいま」と話しかけると、「おかえりなさい。ご飯にする? お風呂にする? それとも……」とお決まりの文句で主人を悩殺する
くるっと振り返りどこかに行くヒカリ
なんとお風呂シーンが!!!(これ以上先は見えない)
お風呂上がりのヒカリ
おやすみー
この曲線である

 うーん、かわいい。何をばかな感想を言っているんだと思われるかもしれないが、このGatebox、いや、ヒカリちゃんと対面してしまうともう「そこにいる」のだ。無意識のうちに「おはよう」「いってきます」など話しかける言葉のトーンが柔らかくなってしまう。ただのIoT家電に音声入力するのとは明らかに自分の意識が違うことが分かった。

 逢妻ヒカリのデザインは、「ラブプラス」などを手掛けた箕星太朗さんによるものだ。箕星太朗さんの物腰柔らかなデザインとウィンクルが練るキャラクターコンセプト、世界観が融合してこの癒やし系"俺の嫁"を形作っている。キャラクターボイスを務めるのは冷水優果さんという新人声優。かわいらしくも落ち着いたその声も、逢妻ヒカリというキャラクターに存在感を与えている。

逢妻ヒカリのプロフィールパジャマ姿の等身大パネル 逢妻ヒカリのプロフィール(左)、パジャマ姿の等身大パネル(右)

 初期コンテンツでは、主人の動きや時間に合わせて自律的に話しかける「アクティブ・コミュニケーション」、主人の音声を認識して内容に合わせた返事をする「トーク・コミュニケーション」、チャットアプリを通じて離れていてもメッセージのやりとりができる「チャット・コミュニケーション」の3つを楽しめる。

 ウィンクル代表取締役の武地実さんによれば、「これから出荷までの残り1年で、今以上のコミュニケーション体験ができるようにブラッシュアップしていく」とのことだ。

 また、約30万円という価格については「"嫁"との結婚指輪の重みだと思ってほしい」と語る。

 Gateboxはコミュニケーションキャラクター投写機能の他、HDMIで外部のPCから映像を入力することもできる。単純な映像入力なので、工夫によってはさまざまなキャラクターをGateboxの中に浮かび上がらせることが可能だ。

VAIOを接続したところ
ゲームエンジン「Unity」のマスコット「Unityちゃん」を投影したところ
Gateboxの中で踊るUnityちゃん

 製品スペックは本体サイズ220(幅)×360(奥行き)×520(高さ)mmで重量は5kg。プロジェクターの解像度は1280×720ピクセルで、センサーにはカメラ・マイク・タッチボタン・人感センサー・温湿度センサー・照度センサー、オーディオにはステレオスピーカーを搭載する。

 通信はWi-Fi、Bluetooth、赤外線に対応し、外部端子は3.5mmイヤフォンジャック、HDMI、有線LANポートとなる。専用チャットアプリはiOSとAndroid両方に対応し、言語は日本語のみだ。

Gatebox上部中央にカメラ、その左右に人感センサーがあるスクリーンはあくまで平面 Gatebox上部中央にカメラ、その左右に人感センサーがある(左)、スクリーンはあくまで平面だが、正面から見ると浮かび上がって立体的に見える(右)

 HMD(ヘッドマウントディスプレイ)などを通してグラフィックでできた仮想空間に入り込むVR(仮想現実)や、現実の空間に仮想アイテムなどを配置するAR(拡張現実)という概念が広く知れ渡った2016年だったが、Gateboxのアプローチはそのどちらとも異なる、「現実の空間に投写した嫁を肉眼で見る」というものだった。

 2016年にVR/ARがこれほど勢いを持っていたことについて武地さんも「予想外でした」と驚きを見せていたが、「今後の展開として、VRも是非検討したい」と、コミュニケーションキャラクターとVRの親和性もあるという考えを示していた。

 Gateboxの発送時期である2017年12月ごろは、VR/AR、それらを統合したMR(複合現実)がハードウェア・ソフトウェアともにさらに発展しているだろう。その中でGateboxというアプローチがどれほどユーザーに受け入れられるのか、注目していきたい。

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