コラム
» 2016年12月31日 06時00分 UPDATE

悩ましいオンラインゲームの「故意による切断問題」 正直者は損をする?

[村上万純,ITmedia]

 最近のゲームは、オンラインで全国の、もっといえば世界中のプレイヤーとつながって遊ぶことができる。しかし、通信対戦ならではの問題として、「故意の切断」がしばしば話題に挙がる。

シャドバ 「シャドウバース」のプレイ画面

 ここで問題となっている切断は、オンライン対戦中に自分が劣勢に立たされたときなどに、回線を故意に切断すること。つまり、負けを認めたくないから試合を強制終了させてしまおうというもので、非常にマナーの悪い行為とされている。

 しかし、切断はゲームシステムの根幹そのものを揺るがすこともあるため、単なるマナーの問題として見過ごすこともできない現状がある。切断行為がもたらす問題点と、切断対策について考えてみたい。

シャドバ シャドウバースは、ゲームに勝つとポイントを獲得でき、ランクが上がっていく

切断がゲームバランスを崩す

 分かりやすいのは、1対1の格闘ゲームやカードゲームの例だろう。筆者が実際に経験したものだと、例えば以下のようなものがある。

  • 「ストリートファイター5」で、格下の相手がマッチングされた瞬間に切断
  • 「ストリートファイター5」で、こちらが勝利する寸前に相手が切断
  • 「シャドウバース」で、こちらに有利なデッキとぶつかったときに相手が切断
  • 「シャドウバース」で、こちらが逆転した瞬間に相手が切断
スト5 「ストリートファイター5」の通信対戦の画面。試合前のこの時点で格上のプレイヤー相手に切断する人もいる

 つまり、自分が不利な状況になったときや、完全に勝ち目を失ったときに、ある種の「腹いせ」として切断するのだ。また、これらのオンラインゲームでは、勝利数やポイントを競い合うランクシステムを導入していることが多く、故意の切断によって勝敗が正しく処理されないことがある。

 これを狙い、「自分が負けたときにわざと切断することでポイントを失わない」という抜け道を駆使するプレイヤーもいる。

 これを受け、カプコンは「故意による切断率が高すぎるプレイヤーたちのLP(勝利した際に獲得できるポイント)をリセットする」「一定時間オンラインマッチングできなくする」「切断が多い人に専用マークを付け、切断率が高い者同士でマッチングする」などの対策を講じてきた。個人的には、最後の「切断率が高い者同士でマッチングする」というのがうれしい機能で、今は切断しない者同士で対戦でき、安心感がありストレスも減ってきた。

スト5 「ストリートファイター5」のリザルト画面。勝った側はポイントを獲得、負けた側はポイントを失う。ランクに応じてマッチングする相手が決まる

公式がどこまで対策できるか

 Cygamesが運営するスマホゲーム「シャドウバース」でも、切断問題が深刻だ。Cygamesは、12月12日に「バトル中にアプリを終了させることを原因とした不具合について」と題するお知らせを案内している。

シャドバ 「シャドウバース」のお知らせ

お客様におかれましては、バトルでリタイアする際に、アプリを終了させるのではなく、バトル画面左上の「バトルメニュー」から「リタイア」を選択するようお願いいたします。

また、今後、バトル中に故意にアプリを終了させ、正常なバトル進行を妨げるような行為が繰り返されていることを運営事務局で確認した場合、該当アカウントに対して、アカウント停止も含めたペナルティ措置を実施いたします。

 ここには、リタイアボタンの利用を推奨すること、故意の切断にはアカウント停止を含めたペナルティーを課すことなどが明記されている。このように、運営側でペナルティーを設けるなどの対策をしているところもあるが、通信状態が悪い地下鉄、サーバー自体が不安定な場合などでも同じ状況が起こるため、切断行為が偶然か故意なのかをはっきり見極めることは難しい。

 切断された側は、そのタイミングで偶然か故意か分かる場合もあるが、運営がその全てを監視するのは実質不可能といえる。それ故、今も切断問題が完全に解消されたとは言いがたい状況だ。

リタイア 公式はリタイアを推奨している

切断された側による「さらし行為」も

 切断された側が、切断者の名前やユーザーIDをTwitterや2ちゃんねるなどに投稿する「さらし行為」も増えている。Twitterで「シャドバ 切断」で検索すると、数分ごとにツイートが流れてくる。

 これは、運の要素が絡まない囲碁や将棋などのゲームでも起きていることで、「将棋ウォーズ」のユーザーは「長考している可能性もあるので判断が難しいが、敗勢で切られるパターンが一番多い。切断とは違うが、勝勢のときに一手詰めで放置して相手に無駄な時間を取らせるなど、マナーの悪い人もいます」と話す。ストリートファイター5のように、切断されてすぐメニュー画面に飛ばされる場合もあるが、シャドウバースのように数十秒〜数分待ちぼうけをくらうこともあり、いずれにせよ切断された側が一方的に損する状況は変わらない。

有効な対策はあるのか

 今回は主に1対1の通信対戦に焦点を当てたが、チーム戦だと残されたメンバー全員に迷惑がかかり、より被害が大きくなる。中には、「ユーザーネームに『@配信中』と明記することで、切断されにくくなった」という声もあるが、基本的にはおのおのの良心に委ねられるので、ユーザー側で対策するのは難しい。

 そうなると、公式がシステム面で対策するしかないのだが、故意ではない切断に対して「ポイント没収」「アカウント停止」という措置は間違ってもできないので、運営も慎重にならざるをえない。しかし、切断率の高いユーザーを放置すると、ユーザー離れの原因にもなる。切断対策は、チート対策と同じく、スマホゲーム(ないしはオンラインゲーム)の運営会社が真剣に向き合わなければいけない問題になってきている。

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