iPhone Xはどこが次世代なのか?これまでで最大級の変化(1/4 ページ)

» 2017年11月01日 09時00分 公開
[林信行ITmedia]

 その名前を見ても、10年前の初代からiPhoneの象徴となっていたホームボタンがなくなったことからも、新たに追加された数々の新機能からも、iPhone XはこれまでのiPhoneの流れから一気に飛躍した大幅なアップグレードであることが分かる。意欲的過ぎるまでの新機能や大胆な操作の変更は、長年のiPhoneユーザーに混乱を招かないのか。林信行がiPhone Xを手にしてから22時間の試用に基づいたファーストインプレッションを書く。


(フォトグラファー:Munetaka Harada

ディテールから漂う艶やかな未来感

 Face IDをはじめとする最新技術や新しくなった操作は思っていたよりもすんなりと手になじむ。そしてカメラがiPhone 8 Plusより、さらに大きく進化している――iPhone Xを半日間触ってみた感想はこの2つに集約される。

 まずは外観から見ていこう。本体のサイズはiPhone 8よりもほんの少しだけ大きい程度。ただし、解像度は巨大なiPhone 8 Plusを上回り、ディスプレイ面積も拮抗している。この小さいサイズながら最先端の技術を凝縮し、これまでPlusサイズのiPhoneにしか搭載されていなかったデュアルレンズ機能を筆頭に数々の新機能を満載している。

 大きい画面や最先端のカメラは欲しいけれど、一方で文字入力のしやすい小サイズのiPhoneも欲しい、といういいところ取り狙いのユーザーのハートを射抜く魅力を備えている。

2017年に登場した新iPhoneの共通項は「iPhone」以外余計な文字が一切ないガラスの背面。その上でレンズの形でどのモデルかを強烈に主張している

 形の上でもいくつか大きな特徴がある。なんといっても大きいのは10年前の誕生以来、iPhoneの象徴となっていたホームボタンがなくなったことだ。

 なくなることで見た目の印象も変わるのかと思ったが、少なくとも画面が消えている間はiPhone 7や8といった機種とあまり見分けがつかない。これはなぜだろう。

 iPhone Xは、スペースグレイモデルもシルバーモデルも、ボディカラーにかかわらず額縁部の色は黒だ。そしてAppleは、iPhone Xへの下準備だったのか、ここ数年、黒額縁のiPhoneではホームボタンの色を周囲の色に溶け込ませ目立たない配色にしていた。画面が消えている状態では、むしろガラスと一体化したアルミ側面の光沢のほうが強く目に焼きつくが、この部分はiPhone 7/8と共通の特徴。だからだろうか、簡単にはiPhone 7/8のスペースグレイモデルと見分けがつかないことに逆に驚かされた。

 ただし、画面が点灯した瞬間、印象が一変する。iPhoneでは初採用となる有機ELのディスプレイが、まさに隅から隅まで広がっており、それまでホームボタンがあったはずの場所も画面で埋め尽くされている。

 画面の上側にも特徴がある。センサーハウジングと呼ばれる額縁の出っ張りがあるのだ。これは後述する顔認識技術、「Face ID」を可能にしている。こんな狭いスペースにマイク、スピーカー、フロントカメラに加え、5つのセンサーを凝縮している。このハウジングの左右に画面が回り込んでいるのが他の狭額縁スマートフォンと比べたiPhone Xの大きな特徴となっている。ホーム画面ではハウジングの左には現在時刻が、右側に電波状況やバッテリー残量などのピクトグラムが並ぶ。

 ハウジングの左右に画面を回り込ませたスタイルを、「ぎりぎりまで画面を広く取ろうとした攻めの姿勢」ととらえるか、「気になる出っ張り」と見るか、最初のうちは意見が分かれそうだ。しかし、いざ使い始めると、出っ張りはほとんどの利用シーンではそれほど気にならない。

表裏のガラス面とほぼ一体化し境目の分からないメディカルグレードのステンレスは、手への引っかかりを作るきれいな円弧を描いている。これは旧来モデルから続くiPhoneの伝統

 iPhone Xの画面はiPhone 6、7、8と横幅は同じで、約20%ほど縦に長い。横に構えれば超ワイドディスプレイだ。この比率の縦横を埋め尽くす写真や動画はそんなにない。このため、通常は写真を表示するときも、映画を再生するときも、ハウジング部分はスッポリとレターボックス(黒塗りの余剰領域)の中に隠れる。これが従来のPhoneのような液晶ディスプレイなら、レターボックス部分も液晶バックライトで多少明るくなり、ハウジング部を目立たせていたかもしれない。だが、有機ELディスプレイは黒表示が一切の光を放たない。なので、レターボックスの中に隠れたハウジング部分はほとんど目立たない。

 もっとも、写真や動画を拡大表示するとハウジング左右にまで拡大した写真/動画が表示され急に「出っ張り」が目立つ存在となる。背景が明るい色のアプリを起動した時も同様だ。ただし、この辺りは今後、iPhone Xを意識してデザインされたアプリが増えてくることでも感じ方が変わってくるだろう。今のところは写真や動画を拡大表示したとき以外はそれほど気にならない印象だ。

 続いて本体裏側。「iPhone」の文字以外一切書かれていないガラスコーティングの背面というのはiPhone 8シリーズにも通じるiPhone 2017年モデルの共通の特徴だ。かつてのiPhone 4シリーズに通じる高級化粧品の容器のような艶やかさ、エレガントさがある。

艶やかなガラスの背面

 そして、艶やかなガラス板に投じられた石のように、iPhone Xの背面で存在感を放っているのが、本モデルの特徴である縦方向に並ぶデュアルレンズの突起だ。iPhone 8 Plusのデュアルレンズとはまた異なり、2つのレンズの間に強烈な光を発するLED(TrueToneフラッシュ)を配置、レンズ部を見ただけで本モデルであることが分かる。このLEDを凝視すると配線のようなものが見え、黒く塗られた2つのレンズの間に、これ以外にもいくつかのセンサー類の穴があいているのが分かり、改めてこの薄いガラス板が細密な技術の凝縮であることを強く感じさせる。

iPhone Xのために新たにデザインされたデュアルレンズは真ん中にLEDがあるのが特徴。レンズが縦並びになり、この位置に配置されたのは、従来のカメラ位置ではかなり高密度な実装が行われていてカメラを置く余地がないからのようだ

 側面から見たiPhone Xは驚くほど薄いのに、この薄い板が目を見張るような映像を撮り、それを驚くほどきれいに映し出したり、数々の魔法のような機能を目の前で見せてくれると、我々は未来を生きているのだと感じずにはいられない。

       1|2|3|4 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年03月13日 更新
  1. きょう発売の「MacBook Neo」、もうAmazonで割安に (2026年03月11日)
  2. セールで買った日本HPの約990gノートPC「Pavilion Aero 13-bg」が想像以上に良かったので紹介したい (2026年03月11日)
  3. 10万円切りMacが17年ぶりに復活! 実機を試して分かったAppleが仕掛ける「MacBook Neo」の実力 (2026年03月10日)
  4. 12機能を凝縮したモニタースタンド型の「Anker 675 USB-C ドッキングステーション」が27%オフの2万3990円に (2026年03月11日)
  5. 3万円超でも納得の完成度 VIA対応の薄型メカニカルキーボード「AirOne Pro」を試す キータッチと携帯性を妥協したくない人向け (2026年03月12日)
  6. 新品は絶滅、中古は高騰──「令和にMDを聞きたい」と願った筆者が、理想の再生環境を整えるまでの一部始終 (2026年03月13日)
  7. 「MacBook Neo」を試して分かった10万円切りの衝撃! ただの“安いMac”ではなく絶妙な引き算で生まれた1台 (2026年03月10日)
  8. M5 Max搭載「14インチMacBook Pro」がワークステーションを過去にする 80万円超の“最強”モバイル AI PCを試す (2026年03月13日)
  9. エンスージアスト向けCPU「Core Ultra 200S Plus」登場 Eコア増量+メモリアクセス高速化+バイナリ最適化でパフォーマンス向上 (2026年03月11日)
  10. 新型「MacBook Air」はM5搭載で何が変わった? 同じM5の「14インチMacBook Pro」と比べて分かったこと (2026年03月10日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2026年