「ThinkPad 25」のキーボードを打って「過去」「未来」に思いを寄せる(1/3 ページ)

» 2017年11月11日 06時30分 公開
[井上翔ITmedia]

 絶妙な打鍵感とTrackPointを備えるキーボード――Lenovo(旧・IBM)の「ThinkPad」シリーズを語る上で外せない要素だ。

 その25周年記念モデル「ThinkPad Anniversary Edition 25(ThinkPad 25)」は、約5年前までのキーボードを“復刻”していることで大きな話題となった。

 ThinkPad 25のキーボードはきちんと“復刻”できているのだろうか。あれこれ思い出しつつ、実機を使って確かめてみよう。

ThinkPad Anniversary Edition 25(ThinkPad 25) ThinkPad Anniversary Edition 25(ThinkPad 25)の日本向けモデル。日本語配列キーボードを備えている

ThinkPadのキーボードは「テンキー以外全部のせ」だった

 ThinkPad 25のキーボードを語る前に、まずはThinkPadのキーボードを振り返ってみよう。

 1992年に登場した「ThinkPad 700C(PS/55note C52 486SLC)」のキーボードは、デスクトップPC用キーボードの配列を極力崩さず、業務システムで必要なシステムキーを省かないことを主眼に置いて設計された。端的にいえば、デスクトップPC用キーボードからテンキーを省いたキーボードを搭載した。

 途中、「ThinkPad 240」や「ThinkPad 310」など例外はあったものの、ThinkPadのキーボードはThinkPad 700Cの配列を踏襲してきた。

ThinkPad 700C 初代ThinkPadこと「ThinkPad 700C」。デスクトップPC用キーボードと極力配列を合わせたキーボードが特徴だった(写真は「ThinkPad 25」記念セレモニーで撮影したUS配列のもの)
ThinkPad X200のキーボード 2009年に発売された「ThinkPad X200」のキーボード(US配列)。時代の変化に合わせていくつかキーが加わったものの、基本配列はThinkPad 700Cから変わっていない(筆者の私物を撮影)

「変化の予兆」が見えた2008年と2009年

 今思うと、ThinkPadのキーボードが“変わる”予兆は2008年からあったのかもしれない。この年にLenovo 3000シリーズの実質的な後継として登場した「ThinkPad SL」シリーズが6列キーボードを採用したのだ。

 ただし、ThinkPad SLのそれは出自ゆえであるともいえる。事実、他のシリーズには展開されなかった。

ThinkPad SL300 2008年に登場したThinkPad SLシリーズは6列キーボードを当初から搭載(写真は「ThinkPad SL300」

 しかし2009年、「ThinkPad T400s」において7列キーボードに大きな変化が発生した。「Escキー」と「Deleteキー」が縦方向に大きくなり、それに伴い一部のシステムキーの位置がずれたのだ参考記事)。

 当時、T400sのキーボードについての議論がファンの間で起こったように記憶している。だが、ThinkPadのキーボードの“要”である7列は堅持していたこともあり、そこまで大問題になることもなかった。

 その後、この新7列キーボードはTシリーズやWシリーズ(現在のPシリーズに相当)を経て、2011年にはXシリーズにも展開された。少し配列は変わったものの、ThinkPadのメインストリームであるT/W/Xシリーズ(Classic ThinkPad)は7列キーボードのまま――この時、少なくとも筆者はそう思っていた。

ThinkPad T400sのキーボード 2009年に登場した「ThinkPad T400s」で初採用された、EscキーとDeleteキーを巨大化されたキーボード。当時、ThinkPadファンの間で議論にはなったものの、7列は堅持したことから「大ごと」にはならなかった
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