レノボ・ジャパンは10月6日、ThinkPadの25周年記念モデル「ThinkPad Anniversary Edition 25(ThinkPad 25)」を1000台限定で発売する。同社のWeb直販のほか、一部の家電量販店でも販売を行う。価格は17万9500円(税別)で、10月20日から出荷を開始する予定だ。
ThinkPad 25は、「過去・現在・未来をつなぐThinkPad」として、日本未発売の「ThinkPad T470」をベースに開発された。開発に当たっては、ソーシャルメディアを活用してフィードバックや要望を収集。2年越しで「レトロなThinkPad」が実現した。
「過去」の面では、ThinkPad T400〜T420世代で使われていた「7列・非アイソレーション」のキーボードが復活した点が注目ポイントだ。
「ThinkVantageキー」はさすがに復活していないものの、Fnキーとのコンビネーション機能も含めてT400〜T420世代のキーボードをできる限り再現している。利便性を考慮して、キーボードバックライトも備えている。ライトのオン/オフは昔懐かしの「Fnキー+PageUpキー」で行える(現行キーボードでは「Fnキー+Spaceキー」)。TrackPointのキャップも、当時用意されていた「クラシック」「ソフトドーム」「ソフトリム」の3種類を付属する(出荷時にはクラシックキャップを装着して出荷予定)。
ThinkPad 25は日本を含む11の国・地域で販売されるが、日本向けのみ特別に「日本語キーボード」を搭載する。Altキーの「Alt」の文字が緑で印字されている点など、配列だけではない独自要素もしっかり再現している。他の販売対象の国・地域では一律に「米国英語(US)配列」のキーボードを搭載するが、「日本国内でUS配列キーボードをCRU(ユーザー交換対応部品)として単品提供する予定はない」(関係者)。
過去という点では、IBM時代にカラーディスプレイ搭載モデルを表した「RGBロゴ」も、「Pad」の部分をRGBカラーに塗る形で復活している。
「現在」の面では、現行モデルとしては上位となるスペック構成を実現している。
CPUはCore i7-7500U(2コア4スレッド/2.7G〜3.5GHz)で、独立GPUとしてNVIDIA GeForce 940MX(メモリ2GB)も搭載している。メインメモリは16GB(16GB DDR4 SO-DIMM×1)で、最大32GBまで増設できる。ストレージは512GBのSSD(PCI Express接続・NVMe、OPAL2.0対応)を備える。ディスプレイはフルHD(1920×1080ピクセル)の14型IPS液晶を搭載する。この液晶はインセル式のタッチセンサーを内蔵しており、最大10点のマルチタッチ操作に対応している。
ポート類は、左側面に電源端子、USB 3.0端子とThunderbolt 3端子を備える。Thunderbolt 3端子はUSB 3.1 Type-C端子とビデオ出力端子を兼ねており、USB Power Delivery(USB PD)による電源の入出力にも対応している。ただし、本体に付属するのは電源端子用のACアダプターだ。
右側面にはイヤフォンマイク端子、USB 3.0端子×2(うち1つはPowered USB対応)、Ethernet端子(1000BASE-T/100BASE-TX/10BASE-T対応)とSDメモリーカードスロットを備える。本体底面にはドッキングステーション端子を備えており、現行世代のThinkPad用ドッキングステーションを接続できる。
バッテリーは「固定式」と「交換式」の3セルリチウムイオンバッテリーをそれぞれ1つずつ搭載している。公称のバッテリー駆動時間は約6.5時間(JEITA 2.0基準)で、バッテリー充電時間は約3.8時間(付属のACアダプターを利用した電源オフ時)となる。
ボディーサイズは約336.6(幅)×232.5(高さ)×19.95(奥行き)mmで、重量は約1.69kg。“ビジネスツール”としてのThinkPadらしく、OSはWindows 10 Pro(64bit版)をプリインストールする。
「未来」の面では、Windows Helloに対応する2つの複数の生体認証デバイスを搭載している。
まず、顔認証に対応した赤外線カメラを搭載している。見つめるだけでWindowsログインができるので便利だ。
さらに、指紋認証センサーも搭載している。タッチ式なので、触るだけでWindowsログインが可能だ。パームレスト左部には、NFCセンサーも内蔵している。認証ソフトと組み合わせれば、非接触ICカードを使ったログインも可能だ。
一部のモデルを除き、ThinkPadは日本で開発・設計されてきた。それに対する感謝を込めて、ThinkPad 25には「日本語キーボード」以外にも日本向けモデル限定の特典が2つ用意されている。
1つが、東レのウルトラスエードを用いた「スペシャルソフトインナーケース」だ。このケースは日本製で「ThinkPad 25」のロゴが刻印されている。東レは「ThinkPad X1 Carbon」用のカーボン素材を供給しており、このケースはその縁もあって実現したようだ。
もう1つが、レノボ・ジャパンの内藤在正副社長からの「感謝状」だ。内藤副社長は初代ThinkPadこと「ThinkPad 700C(※)」の開発を主導した人物で、「ThinkPadの父(Father of ThinkPad)」とも呼ばれている。昔からのThinkPad愛好家にとっては、感涙の特典といえるだろう。
※ 日本では「PS/55note C52 486SLC」として販売された
この他、世界共通の特典として、IBM時代からThinkPadのデザインに携わっているDavid Hill氏の小冊子「ThinkPad Design Spirit & Experience」が付属する。
ThinkPad 25の実機は、幕張メッセ(千葉市幕張区)で開催している「CEATEC JAPAN 2017」のレノボ・ジャパンブースで展示される。最終日となる10月6日の“1日限り”となるが、気になる人はぜひ会場に足を運んでみてほしい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.