「プロセッサ脆弱性」公表から1カ月 アップデートの不具合がさらなる混乱を招く(4/4 ページ)

» 2018年02月08日 13時00分 公開
前のページへ 1|2|3|4       

事後対応のまずさがIntel批判を招く

 こうしたアップデートに関するトラブルは、今回の脆弱性問題を長引かせる一因になっているが、それとは別に、Intelがとった一連の対応がまずいのではないかとの指摘がある。

 前述したPCの再起動問題が報告され始めた直後、Intelは1月11日に公式ブログで同問題を発表したが、一方で、米Wall Street Journalは同日にIntelが一部顧客に対して「アップデートの適用を止めるよう」密にアドバイスしていたことを報じた。

 また、対策期間が半年以上あったのは前述の通りだが、この期間中に一部顧客に対してのみ問題の存在を明らかにしていたことも、Wall Street Journalが報じている。

 より大規模な対策が必要となる大口顧客が対象とみられるが、その中には中国企業も何社か含まれていた。つまり、企業監督の理由から、中国政府がこの問題を早期に把握していた可能性が高いと指摘している。米国政府関係者は1月2日にこの問題を知ったことに不満を漏らしており、情報公開の範囲を巡る問題にも今後発展しそうだ。

 同様にこの問題を1月2日以降に知った企業は、この1カ月の間アップデート適用の混乱にさらされ続けたわけで、Intelの対応に不満を抱く声も少なくない。脆弱性の問題は避けられないとしても、一連の対応のまずさは今後の大きな課題になるだろう。

 Intelの対応への批判として、最後にLinux開発の中心人物として知られるリーナス・トーバルズ氏のコメントを紹介しておきたい。問題が公になって以降、Intelを名指しして対応を批判するコメントが続いていた同氏だが、1月21日の文面ではIntelが提供したパッチを「完全なゴミ」と罵倒しており、その対応に怒りが収まらないようだ。

 Intelは2018年内にもMeltdown・Spectre対策を施したプロセッサをリリースする計画という話もあるが、当面はこのように既存顧客へのフォローで手いっぱいの状態になると予想される。そもそも遅れ気味のプロセッサ投入計画と合わせて、苦難の道のりが続きそうだ。

関連キーワード

脆弱性 | CPU | 緊急パッチ


前のページへ 1|2|3|4       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年04月25日 更新
  1. ワコムが有機ELペンタブレットをついに投入! 「Wacom Movink 13」は約420gの軽量モデルだ (2024年04月24日)
  2. 16.3型の折りたたみノートPC「Thinkpad X1 Fold」は“大画面タブレット”として大きな価値あり (2024年04月24日)
  3. 「IBMはテクノロジーカンパニーだ」 日本IBMが5つの「価値共創領域」にこだわるワケ (2024年04月23日)
  4. 「社長室と役員室はなくしました」 価値共創領域に挑戦する日本IBM 山口社長のこだわり (2024年04月24日)
  5. Googleが「Google for Education GIGA スクールパッケージ」を発表 GIGAスクール用Chromebookの「新規採用」と「継続」を両にらみ (2024年04月23日)
  6. バッファロー開発陣に聞く「Wi-Fi 7」にいち早く対応したメリット 決め手は異なる周波数を束ねる「MLO」【前編】 (2024年04月22日)
  7. ロジクール、“プロ仕様”をうたった60%レイアウト採用ワイヤレスゲーミングキーボード (2024年04月24日)
  8. あなたのPCのWindows 10/11の「ライセンス」はどうなっている? 調べる方法をチェック! (2023年10月20日)
  9. ゼロからの画像生成も可能に――アドビが生成AI機能を強化した「Photoshop」のβ版を公開 (2024年04月23日)
  10. MetaがMR/VRヘッドセット界の“Android”を目指す 「Quest」シリーズのOSを他社に開放、ASUSやLenovoが独自の新ハードを開発中 (2024年04月23日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー