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» 2018年03月14日 15時00分 公開

勝手に連載!「海で使うIT」:艇載ドローンで落水者を救え! ボートショー2018レポート (1/3)

ボートショー2018の目玉展示をレポート

[長浜和也,ITmedia]

 パシフィコ横浜(屋内展示)と横浜ベイサイドマリーナ(屋外展示)で開催された「ジャパンインターナショナルボートショー2018」(以下、ボートショー2018)では、パワーボートやセーリングクルーザーなど、レジャーで使用する小型船舶に関連した製品を取り扱う日本で最大規模の展示会だ。

 その種類は、小型船舶そのものからエンジンやレーダー、魚探といった周辺機器、マリンウェアに小型船舶を係留するマリーナ、さらには、(ごくごく一部のリッチな)オーナーのライフスタイルを彩る外車にワインにヘリコプターと、実に多彩。

 その展示品の中には、電子海図を利用する航法支援ソフトウェアをはじめとして、AIS、耐衝撃防水ハンディデバイス、そして衛星電話など小型船舶でも導入が進んでいるIT関連製品も多い。

 この一連の連載でも2004年から2015年にかけて紹介してきたが、これらの製品は、IT技術とデジタルガジェットの常として現在も進化し続けている。ここでは、ボードショー2018の参考出展をはじめとして、これら「海で使うIT」の最新動向を紹介する。

ジャパンインターナショナルボートショー2018はパシフィコ横浜と横浜ベイサイドマリーナで3月8日から11日まで開催された

オートパイロットの「Raymarine」が提唱する「ドローン&赤外線カメラ」

 Raymarineは、セーリングクルーザーやパワーボートなど小型船舶の必須機器ともいえるオートパイロット(指定した針路を維持するように自動で操船できる機器。ナビゲーションアプリで設定した航路通りに操船することも可能)では、ほぼ唯一ともいえる最大手のメーカーだ。

 そのRaymarineは、2010年に赤外線センサーによる温度監視技術を活用した計測機器や監視システムを開発するFLIR Systemsに買収された後も、オートパイロットやレーダー、そして統合操船システムに相当するオペレーションシステム「LightHouse3」を組み込んだマルチファンクションディスプレイ「AXIOM」シリーズを出荷し続けている。この他、FLIR Systemsの技術を活用した小型船舶用赤外線暗視鏡の「FLIR Ocean Scout TK」シリーズや暗視カメラシステムも投入している。

 ボートショー2018では、新たに赤外線カメラ搭載マルチコプタードローンを小型船舶からコントロールできる製品「AXIOM UVA Integration」を参考展示していた。これは、AXIOMシリーズに組み込んだLightHouse3にマルチコプタードローンを操縦する機能と、ドローンに搭載したカメラの映像を入力して表示する機能を組み込んだものだ。利用できるマルチコプタードローンにはDJIの「Spark」「Mavic」を推奨している。

「LightHouse3」を組み込んだ「AXIOM」シリーズで赤外線カメラ搭載マルチコプタードローンをコントロールできる「AXIOM UVA Integration」

 ドローン操作機能では、航行する小型船舶からコマンド1つ(操作的にはボタン1つ)で“発艦”できる他、母船からの距離と高度を指定した値に保ったまま追尾するモードや、事前に指定した飛行コースを巡回するモードなど、GPSデータをリンクした多彩なフォローモードを用意する。

 ボートショー2018の展示ビデオでは上空からの「自船撮り」を利用目的として紹介していたが、フリアーシステムズジャパンのビジネス ディベロップメント セールスマネージャーで北東アジア地域を担当する増田 潤氏は、赤外線カメラを搭載したドローンとの連携で、霧中や夜間航海の安全性向上や落水者救助で大きな効果があると訴求する。

 落水者発生は小型船舶で最も深刻な事故だ。これは、夜間だけでなく日中でも同様で、多くの場合、落水者を見失って救助できないまま溺死、もしくは低体温症で死亡する。どんなに晴れていて波が穏やかでも、落水者を見失ってしまうことが多いのだ。

 このようなとき、赤外線カメラを搭載したドローンなら上空から広範囲をカバーできるだけでなく、海面と体温の温度差から落水者を容易に識別できるという。これは夜間でも同様だ。小型船舶で事故が発生した場合、海上保安庁の救難活動と合わせて、近隣のマリーナやヨットクラブが初動として駆けつけることも多く、増田氏はマリーナ単位での導入を進めていきたいと語る。

フリアーシステムズジャパン ビジネス ディベロップメント セールスマネージャー 北東アジア地域担当の増田 潤氏
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