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» 2018年06月27日 02時00分 公開

本田雅一のクロスオーバーデジタル:「macOS Mojave」パブリックβを試して分かったこと iOSとの連携強化、ダークモード、細かな改善点まで (1/3)

Appleが2018年秋に一般公開する予定の次期macOS「Mojave」。パブリックβの公開に合わせて、開発段階にあるMojaveを試用したレポートをお届けする。

[本田雅一,ITmedia]

 米Appleは米国太平洋時間の6月25日午前10時(日本時間の26日2時)、macOS最新版「Mojave(モハべ)」のパブリックβ版を公開した。パブリックβとは、一般ユーザーも参加できる先行テストプログラムだ。

 AppleはWWDC 2018において開発者向けにMojaveのβ版を提供していたが、開発者向けリリースのフィードバックへの対応版を一度リリースした後、今回の公開β版リリースへと踏み切った。macOS Mojave正式版の一般公開は2018年秋の予定だ。

 WWDC 2018の基調講演において予告されていた機能がどのように実装されているのか、今回はパブリックβ版リリース直前のバージョンを元にレポートしたい。

Mojave 1 開発段階にある「macOS Mojave」。筆者が試したバージョンは10.14 Beta(Build 18A314h)

 なお、インストールしたのは15インチMacBook Pro(Late 2016)とMacBook(Early 2015)だ。前者は筆者が使っているMacの中で最もパワフルでメモリの多いモデル、後者は最も非力でメモリも少ないモデルだが、いずれも現段階において現行の「macOS High Sierra」に比べて動作が重くなる印象はない。今後、開発が進めばパフォーマンスのチューニングもさらに進んでいくことが期待できる。

macOSとiOSの橋渡しはうまくいくか

 Mojaveで個人的に注目していたのは、iPad版アプリを再コンパイルすることでmacOS版アプリとしても利用可能にする新しい仕掛けだ。

 この仕掛けは現時点では一般公開されておらず、Apple自身が提供するアプリでのみ利用可能となっている。具体的にはiOSアプリのユーザーインタフェース機能をつかさどるUIKitと呼ばれるクラスをmacOSに移植している。

 このやり方がうまく機能するようになれば、あるいはうまく機能させるためのノウハウが十分に検討・周知されれば、iOSの開発者はiOSアプリとmacOSアプリを同じコードから生成できるようになる。

Mojave 2 macOSアプリは「AppKit」、iOSアプリは「UIKit」というクラスライブラリを通じてユーザーインタフェースが構築されている。Mojaveの世代では、macOS側にあらかじめUIKit対応のクラスライブラリを組み込んでおくことで、iOSアプリをmacOSに移植しやすくする(WWDC 2018基調講演より)

 そして、その試金石ともいえるのがMojaveに追加されている新アプリだ。いずれもiOS版(iPad版)のmacOS向けリコンパイル版であるとされており、これらの開発を通じて問題を洗い出し、2019年以降につなげようとしている。株価(Stock)、News、ボイスメモ、ホームといったアプリがそれだ(FaceTimeも同様かもしれない)。

Mojave 3 iOS版(iPad版)のmacOS向けリコンパイル版として搭載されている株価アプリ

 ただし、これらのアプリはiOS版(正確にはiPad版)を基礎にしているため、各国向けにローカライズされていないサービスに関してはmacOS向けにも提供されない。

 例えば、Newsはβ版には含まれているものの、iOS向けにNewsアプリが提供されている米国、英国、オーストラリアのみでの利用になる。また、株価は日本語版が提供されるものの、WWDC 2018の基調講演でデモされたようなNewsアプリとの連携はならず、銘柄に連動したニュース記事のリンクはYahoo!ニュースでの配信記事につながる。

Mojave 4 こちらはNewsアプリ。現状では、iOS向けにNewsアプリが提供されている米国、英国、オーストラリアのみでの利用に限られる

 気になるのはやはり、iOS版との差異だろう。2019年はこれらのアプリをmacOS上で動かす仕組み(macOSへのUIKitの移植)が一般開発者にも提供される。上記のアプリはいずれもビジュアル中心に情報を伝えるタブレットあるいはスマートフォン向けの典型的なアプリだが、ウィンドウサイズの変更などもスムーズで表示の破綻も見られなかった。

 macOSのウィンドウはAppleが提供しているAppKitを使って開発されている場合、スクロールバーは(デフォルト設定では)常時表示されないデザインとなっているため、iPad向けアプリと見比べても表示には違和感がない。

 プログラムを組む上で、表示領域の変化によりレイアウトが破綻しないよう配慮する必要はあるが、想像以上にスムーズにmacOSとiOSの橋渡しが行えるのではないか? という印象を受けた。

 なお、これらのウィンドウのストップライト(macOSにおけるタイトルバーのこと)には情報共有やお気に入りのチェック、あるいはナビゲーション領域の表示・非表示を切り替えるボタンなどがアプリごとに配置されていた。恐らくだが、タッチパネルのジェスチャーを行うような操作は、ストップライト上に配置するボタンで行う作法なのだろう。

 実際の開発現場で、どこまでmacOS向けの最適化を行う必要があるのかは未知数だが、macOSと(iPad向け)iOSとの間の橋渡しは、うまくいっているように思える。

 また、iPhone・iPadで日常的に使われることが多いと考えられるAppleの純正アプリがiCloudなどを通じ、Mac上でそのまま利用できるだけでも十分に利便性は高まる。例えば、iPhoneで録音したボイスメモが特別な操作なく、アプリを開くだけでMacで聴くことができる(なお、筆者がテストしたパブリックβ直前のバージョンでは、ボイスメモがうまく機能していなかったため、実際には利用できていない)。

 2019年、一般開発者向けに公開されれば、そうしたiOSデバイスとMacの間の垣根が取り払われる事例は数多く出てくるはずだ。

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