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» 2018年10月26日 08時00分 公開

本田雅一のクロスオーバーデジタル:「iPhone XR」は「XS」よりオススメ 使い比べた結論 (1/4)

2018年の「iPhone X」ファミリーを使い比べて感じたのは、「フル機能のiPhoneはXSシリーズだが、個人的に購入するならばXRを選ぶだろう。また、どのiPhoneを選ぶか迷っている人がいるならば、まずはXRをすすめる」ということだ。

[本田雅一,ITmedia]

 テック系メディアは「iPhone XR」発売の話題でもちきりだが、新情報はさほど多くないというのも事実だろう。既に先月の発表会から時間が経過している上、搭載するプロセッサを中心としたシステム回りや、シングルカメラとはいえ広角側の性能が上位の「iPhone XS」シリーズと同じであることなどは明らかになっている。

 しかし、実際に使ってみなければ、「本当の違い」は見えてこないものだ。そして、先に発売された「iPhone XS」「iPhone XS Max」と使い比べて感じたのは「フル機能のiPhoneはXSシリーズだが、個人的に購入するならばXRを選ぶだろう。また、どのiPhoneを選ぶか迷っている人がいるならば、まずはXRをすすめる」ということだ。

iPhone XR ついに発売された「iPhone XR」。6つのカラバリがあり、写真は「(PRODCUT)RED」だ

 実際の販売比率がどうなるかは分からない(筆者はあまり興味もない)が、iPhone XRはiPhone XS/XS Maxが魅力的と思える部分を上手に抜き出し、2017年の初代「iPhone X」で始めた「iPhoneという製品の再構築」になくてはならない要素をほとんど網羅的に盛り込んでいる。

 登場前のiPhone XRは、iPhone Xファミリーの廉価版に位置付けられるモデルとうわさされていた。ところが、実際に登場したiPhone XRは、最上位のiPhone XSシリーズと全く同じプロセッサの「A12 Bionic」を搭載し、進化したAR体験やカメラ画質、動作速度、高速化された顔認証の「Face ID」などの要素もそのまま引き継いでいる。iPhone XSシリーズの「おいしいところ」を上手に抜き出しつつ、価格を抑えているのだ。

 発売からまだ1年も経過していないiPhone Xよりもずっと進化した部分が多くあることからも、「iPhone Xファミリーにおける廉価版」という推察は誤っている。もし、あなたが安価になった流通在庫のiPhone Xを目撃しても、手を出すことはオススメしない。

意外に違いが多いiPhone XRとXSだが……

 前述したようにiPhone XRには、最上位モデルと同じSoC(System on a Chip)が搭載されており、そのパフォーマンスや将来性において(つまり将来、新しいSoCに搭載されたよりパワフルな「Neural Engine」が必須の機能が出てくるなど……の状況が訪れても)、差異を感じることはない。

iPhone XR SoC(System on a Chip)は、「Neural Engine」を搭載した「A12 Bionic」。最上位のiPhone XSシリーズと全く同じだ

 繰り返し、別の角度から述べることになるが、コンピュータプラットフォームとしての差異は(恐らく意図して)付けられていない。しかし、一方で上手にそぎ落としている部分も多数ある。iPhone Xファミリーとして落とせない部分は盛り込み、代替できる部分は代替する。そうした「取捨選択を丁寧に行った、iPhone Xファミリーのエントリーモデル」と表現するのが一番分かりやすいだろうか。

 例えば、Face IDを実現するための赤外線プロジェクターやセンサーなどは、iPhone XSと全く同じだ。Face IDやAR、画像処理などのニューラルネットワーク処理も重要であるために、SoCも最新のA12 Bionicを採用した。

 色温度を検出して画面のホワイトバランスを最適化する「True Tone」も搭載している。画面をタップするとスリープから復帰する「Tap to Wake(タップしてスリープ解除)」も液晶パネル搭載のiPhoneとしては初めて搭載された。

 画面を横にすると音声がステレオになる機能があるが、iPhone XSでは音場が自然に広がるよう音声処理が入るようになった。これはiPhone Xにはない要素なのだが、iPhone XRでは(恐らくA12 Bionicの信号処理機能にも依存するのだろう)動作する。

 では、どんなところを“捨てて”いるのだろうか。

 まず「Liquid Retina HDディスプレイ」と名付けられた6.1型の液晶パネルは、解像度が1792×828ピクセル。画素密度は326ppi(1インチに326画素が並ぶ密度)で、「iPhone 7」や「iPhone 8」と同じだ。「Super Retina HDディスプレイ」と名付けられたOLEDを搭載するiPhone XSシリーズの458ppiに比べると、画素密度は低く、液晶であるため、黒の締まりや暗部の色再現範囲など敵わない部分もある。

 すなわち、OLEDではないことが捨てた部分なのだが、解像度が粗いというわけではなく、また色再現範囲も暗部を除けば大きな違いを感じる人はいないだろう。よく調整されたiPhone XRのディスプレイは、明るい場所で使っている限りにおいて大きな不満を感じるようなものではない。

iPhone XR ディスプレイは液晶を採用。暗部の色再現性はiPhone XSシリーズのOLEDが勝るが、明るい場所で使っている限り大きな違いは感じない

 しかし、画面回りの違いは液晶かOLEDかだけではない。「iPhone 6s」から導入されてきた「3D Touch」(タッチの強さをアナログ的に検知するインタフェース要素)はiPhone XRには搭載されない。

 iOSの操作に関しては長押しで代替(例えばロック画面からのダイレクトなカメラの呼び出しなど)されており、繊細なフィードバックを再現する「Taptic Engine」とも相まって違和感なく利用できるが、この機能を応用したゲームなどのアプリや、音声、画像、動画編集などのアプリを使っている場合は意識が必要だろう。

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