24コアと12コア、買うならどちら? 第2世代「Ryzen Threadripper」性能比較(3/3 ページ)

» 2018年11月21日 18時26分 公開
[石川ひさよしITmedia]
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WXに組み合わせる電源は1000W以上、できれば1200W級を

 消費電力は、4パターン計測している。アイドルの時点で2970WXは2920Xに対して15Wほど高く、ベースとしてその程度の差はあるようだ。そして、比較的CPU負荷が小さいゲームの2パターンにおいても、22.7〜43.1Wの差が出ている。そしてCPU負荷の高いCINEBENCH R15では91.7Wとかなり大きな差が現れた。TDP的に両者の差は70Wだが、実際にはそれ以上に消費電力が違うようである。

 ほとんどの方は、TDP 250W級のCPUはWXシリーズが初めてだろう。また、2920XについてはSocket TR4プラットフォームのエントリーということで、これでThreadripperに挑戦しようと期待している方も多いのではないだろうか。そこでハイエンドプラットフォームにおける電源出力を選ぶポイントをまとめておこう。

 今回の2970WXとGeForce GTX 1080 Tiの場合、計測した最大消費電力はおよそFINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク時の489.9W、およそ500Wだ。2920Xも450W近いので、同じGPUを搭載したメインストリーム向けプラットフォームと比較しても100W以上大きい。その上で、FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークが必ずしもCPU&GPUに100%の負荷がかかるテストではないため、システム全体の最大消費電力としてはプラス100Wほど最低でも見積もった方がよいだろう。この時点で550〜600Wだ。

 電源の出力は、計算上の最大消費電力が電源の最大出力に対して50〜75%程度に収まるように選ぶ。一般的に電源の変換効率は50%負荷を頂点に山を描くためだ。そして変換効率がよいということは、電源内部部品の発熱がより少ないことを意味する。電源内部温度が上昇しすぎると、たとえ高熱に耐える設計のコンデンサーでも、確実に劣化を早めてしまうことになる。

 この点から、あくまでGeForce GTX 1080 TiのようなTDP 250W級のGPUとRyzen Threadripperを組み合わせる場合、最適な出力は800〜1200Wというところになるだろう。もちろん、出力が大きい方がより安心でき、変換効率(80PLUS認証グレード)が高いほど安心できる。

 今回検証した際に最も気になったのがクーラーの排気の暖かさだ。Ryzen Threadripperを選ぶ場合、CPUはもちろんだがマザーボードも高価であるし、メモリも4チャンネル分必要となるため価格を抑えることが難しい。その上、電源も大出力が求められるのでこの部分も手を抜くことが許されない。この点も考慮した予算を組むことが、長く安定したRyzen Threadripperシステムを組むポイントに挙げられるだろう。

AMDの主張通り、ゲーマー向けなら2920X。WXシリーズは複数同時処理向け

 ここまで第2世代Ryzen ThreadripperのWXシリーズ、Xシリーズの下位モデル2製品を試してきたがいかがだろうか。筆者としては、AMDはWXシリーズをゲーマー向けではなくクリエイター向けとした理由がベンチマーク結果として現れたように思う。ゲーマー向けならば確かにXシリーズの方がよりよい選択肢といえそうだ。

 もちろん、WXシリーズの方がより高性能なCPUであることは確かである。ゲーマーでもプレイと同時に配信&チャットもしたい……となればWXシリーズだろう。高価なWXシリーズ中でも2970WXなら10万円台後半なので、20万円超する2990WXよりは現実的な選択肢かもしれない。ただ、比類なきパフォーマンスを求める方の多くは最上位の2990WXを選ぶのではないかとも思う。

 DLMについては、あくまでレビュワー向けバージョンでのテストだがFINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークの結果を見ると「効果あり」の印象だ。基本的にはオンのままでよいと思われるが、TMPGEnc Video Mastering Works 6のように、もう少し調整が必要かもしれない。同社ブログによれば、UI完成時点でRyzen Master上からオン・オフを切り替えられるようだが、できればプログラムを自動検出してオン・オフを切り替えられた方が利便性がよいのではないだろうかと感じた。

 2920Xについては、現状のメインストリームプラットフォームでは得られないコア数を実現でき、(システム全体のコストは高いものの)CPUの価格は10万円内に収まる。この点から“初めてのThreadripper”に適している。また、まだ12コアを使い切るアプリケーションはゲームを含めて少ないので、余ったコアを実況配信に回すことも可能だ。Threadripper環境に移行して新しいことにもチャレンジしてみたいという方にオススメできると思う。

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