なぜ5Gのデモは「VR・ARが人気」なのか特集・ビジネスを変える5G(2/2 ページ)

» 2019年01月10日 15時00分 公開
[西田宗千佳ITmedia]
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「テレイグジスタンス」実現こそが5G×VRの価値

 もちろん、5Gがデモの段階を過ぎ、実用段階に至った場合にも、VR・ARと5Gの関係は続く。最も可能性が大きいのは、低遅延を生かした「テレイグジスタンス」(遠隔臨場感)の実現だろう。

 VRでは、現実にその場に行っていないのに、「そこに行っている」「そこにいる」感覚を得ることが可能になる。そのためには、目的地と現在地を「高速かつ低遅延なネットワーク」でつなぐ必要が出てくる。

 従来、そうしたことは有線ネットワークで実現されていた。だが、ケーブルのある場所にしか行けないのでは限界がある。一方、ドローンに5Gのモジュールと360度カメラやリモートハンドを搭載すれば、「遠隔地で空を飛びながら、その場を確認する」「その場でリモートハンドを使ってコミュニケーションする」といったことが十分に可能だ。

KDDIが出資しているTelexistenceの遠隔操作ロボット「MODEL H」(量産型プロトタイプ)のデモ

 4Gで同じことをする場合、映像の解像度はかなり低くなるし、遅延も大きいので自然な操作や視界を得るのが難しい。だが、5Gならば、少なくともネットワーク側が制約になるわけではない。こうした要素は、遠隔医療やロボットなどの分野で注目されることが多いのだが、それらとVRを構成する技術の間に、あまり差はない。

遠隔医療の分野でも注目されている

 何よりVRやARは、これからより一般向けの、完成度の高いデバイスが世に出て行くタイミングである。通信規格が普及するには、その規格にふさわしい、それを象徴するようなデバイスが必要だ。3Gと4Gの時代、それはスマートフォンだった。

 VR機器やAR機器がスマホほど普及するかは未知数だが、同じタイミングで世の中に広がることは、ある意味象徴的なことだ。同様に、センサーを搭載したIoTデバイスが多数(数百・数千のレベルではなく、世界中で数億台というレベルで)広がろうとしているのも、やはり5Gを象徴している。だからこそ、5Gでは「スマホが速くなる」レベルで止まらない発想が求められるのである。

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