動き出す「電車+カーシェアリング」――鉄道会社が参入する3つのポイント神尾寿の時事日想(1/2 ページ)

» 2009年03月20日 06時00分 公開
[神尾寿,Business Media 誠]

著者プロフィール:神尾 寿(かみお・ひさし)

IT専門誌の契約記者、大手携帯電話会社での新ビジネスの企画やマーケティング業務を経て、1999年にジャーナリストとして独立。ICT技術の進歩にフォーカスしながら、それがもたらすビジネスやサービス、社会への影響を多角的に取材している。得意分野はモバイルICT(携帯ビジネス)、自動車/交通ビジネス、非接触ICと電子マネー。現在はジャーナリストのほか、IRIコマース&テクノロジー社の客員研究員。2008年から日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)選考委員、モバイル・プロジェクト・アワード選考委員などを勤めている。


 東日本旅客鉄道(JR東日本)は3月19日から、新たにカーシェアリング事業に参入した(参照記事)。サービス名称は「ecoレン太」で、19日からサービス開始。まずは東京駅、川崎駅、八王子駅の3カ所に計6台のカーシェアリング車両を配置する。今後2年間で、十数カ所にカーシェアリング拠点を展開していくという。利用料金は30分あたり630円で、これとは別に月額基本料が毎月2000円かかる。

 ecoレン太の運営はジェイアール東日本レンタリースが行い、利用予約とユーザー認証の“鍵”としてSuicaを用いる。利用時は「Suicaをかざす」ことでドアロックを解除し、車を利用する。このあたりの運用は、カーシェアリング事業で先行するオリックス自動車の「プチレンタ」と同様である(参照記事)

鉄道会社のサービスに「クルマ」が取り込まれる?

 筆者は今年2月、JR東日本 IT・Suica事業本部副本部長企画部長の椎橋章夫氏に単独インタビューを行った(参照記事)。その席で椎橋氏は、Suicaを用いたカーシェアリング事業への進出に前向きであると語ったが、今回の「ecoレン太」はそれが正式に発表されたものだ。

 カーシェアリングは、都市部を中心に広がる“消費者のクルマ離れ”や、一昨年から昨年前半まで急激に進んだ“原油価格の高騰”と“エコ指向の広がり”などもあり、ここにきて注目度が高くなっている新たな交通サービス/ビジネスだ。特に昨今は、クルマの社会的ステータス性が絶対的ではなくなり、維持費や駐車場代の高さなど経済合理性の観点から、無理にクルマ所有にこだわらない新しい価値観が若年層や都市生活者の間で広まってきた。こうした背景から、クルマ利用型のサービスであるカーシェアリングが注目されている。

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