“安かろう”では済まない――Google本格参入でカーナビ市場はどうなる?:神尾寿のMobile+Views(1/2 ページ)

» 2009年10月30日 15時23分 公開
[神尾寿,ITmedia]

 10月28日、米GoogleがAndroid 2.0(※)を搭載した携帯電話向けのGPSナビゲーションサービス「Google Maps Navigation」のβ版を発表した。詳しくはニュース記事に譲るが、同サービスはまず11月6日に米国で発売されるMotorola製スマートフォン「Droid」に搭載され、その後もAndroid搭載機を手始めに、成長著しいスマートフォン向けサービスとして広がっていく見込みだ。ユーザーはこのサービスを使うことで、他のGoogleサービス同様に“無料”でカーナビゲーションサービスを利用できるようになる。

(※)Android:Googleが開発するモバイル端末向けOS。主にスマートフォンで利用されており、HTCやMotorolaのほか、ソニー・エリクソンやNECなども採用を表明している。

 カーナビゲーション市場はGoogleの本格参入でどのように変化するのか。Google参入による「クラウド型カーナビゲーションサービス」の影響について考えてみたい。

Photo Google Maps NavigationのUI
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Googleナビは最強のサーバー連携ナビ

 「Googleはこれからリアル(向けサービス)に向かう。次はモバイルフォン(携帯電話)とカーナビゲーションだ」

 2005年11月、サンフランシスコで開催されたITS世界会議の会場で、Googleの研究幹部がそう話した。当時、Googleはフォルクスワーゲンとともにカーナビゲーションの開発を行っており、Google MapとGoogle Earthを組み合わせた研究用プロトタイプを筆者も見せてもらった。Googleは2000年代前半から、人々の生活と行動に密着する「スマートフォン(携帯電話)」と「カーナビゲーション」を重要視していたのだ。

Photo 2005年にGoogleがフォルクスワーゲンと共同開発していたカーナビゲーションシステム。ITS世界会議にて撮影

 今回のGoogle Maps Navigationは、そうしたGoogleのリアル戦略が結実したもののひとつだ。同サービスでは、Google MapsのデータとスマートフォンのGPS機能を用いて、カーナビゲーションを実現。地図や施設データなどはGoogleのクラウドサービス(サーバ)側にあり、通信を用いて常に最新データを利用することができる。地図上には渋滞状況などの交通情報を表示でき、デスクトップ版と同様にサテライトビューとストリートビューに対応する。

 そして、もう1つ注目なのが、UI(ユーザインタフェース)の部分だろう。Google Maps NavitgationはAndroid端末の音声認識機能に対応するほか、目的地検索ではGoogleの強力な検索機能と膨大なデータベースが利用できる。Googleが公開したデモンストレーション映像を見るかぎり、目的地検索やルート計算はとてもすばやく、その精度も高そうだ。

 筆者は以前から、据え付け型・PND(※)を問わず、ネットにつながらない単体型カーナビゲーションの弱点は“検索機能の貧弱さ”だと考えていた。単体型カーナビは内蔵HDDやメモリー内にある情報しか検索対象にならず、地図や施設データがすぐに古くなる。さらに情報量や検索キーワードの柔軟性や探しやすさといった点では、ネット上に膨大な記憶容量と処理能力を持つクラウドサービスとは雲泥の差だ。Google Maps Navitgationの優位性は、カーナビの基本機能である「地図」と「検索機能」にあると言っていいだろう。

(※)PND:Portable Navigation Device。取り外し可能でクルマの自立センサーと直結しない小型のナビゲーション端末のこと。据え付け型カーナビより測位精度は劣るが廉価なため、世界中で普及している。
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