“打てば響くMR”を目指し、スマートフォンを処方――3000台のWindows phoneが活躍するファイザー(1/2 ページ)

» 2009年12月28日 09時00分 公開
[神尾寿,ITmedia]

 iPhoneやWindows Mobile(Windows Phone)、Androidなど、スマートフォンのコンシューマー市場が注目される中で、これらを導入し活用する企業ユーザーも急増している。しかも、これまでのように一部の部署や管理職の利用のみならず、多数の従業員が利用するケースが増加。これがスマートフォン需要を下支えする1つの要因になっている。

 企業におけるスマートフォンの大規模導入の現状はどのようになっているのか。今春、ソフトバンクモバイルのWindows Mobile端末を3000台導入したファイザーに話を聞いた。

Photo Windows Mobile端末の導入に携わったファイザーのスタッフ。左からビジネステクノロジー・ジャパン BTセールス&マーケティング部 統括部長の岡崎昌雄氏、WTI プログラム&プロジェクトマネージメント部 CISA PMPの福崎巧氏、WTI ソリューション&エンジニアリング部の杉山朋可氏

日本でWindows Mobileが採用された理由

ITmedia(聞き手:神尾寿) Windows Mobile搭載機の採用事例として、ファイザーは国内で最大級のものになります。スマートフォンの選定プロジェクトはいつからスタートし、その後、どのように進んだのでしょうか。

ファイザー 選定は2007年11月から始まりました。モバイルソリューションの必要性は我々医薬品のMR(Medical Representative=医薬情報担当者)業界において以前から強く感じていました。MRは(各病院の)ドクターとのコミュニケーションが大切なのですが、ドクターは忙しく面会が難しい。そのような中で“いかにMRがドクターからのお問い合わせに迅速にお答えできるか”というところで、モビリティというのは非常に大きな課題だったわけです。

ITmedia 海外でも医薬品業界はスマートフォンの活用が進んでいると聞いています。ただ、あちらはBlackBerryが中心のようです。

ファイザー ファイザーでも米国ではBlackBerryをベースにモバイルソリューションを運用しています。我々もBlackBerryというのは1つの選択肢としてありました。どういったソリューションが良いのかという点でグローバルエンタープライズとしては、グローバルの意向というのは非常に強かったのです。

ITmedia にもかかわらず、Windows Mobileを採用した理由は?

ファイザー 例えば、Windows Mobile 6.1からのSCMDM(System Center Mobile Device Manager)は、実はマイクロソフトとともにファイザーが開発を進めてきたという経緯があります。そういったデバイスを使うには、かなりセキュアな環境を維持していく必要がある。逆に言えば6.1 SCMDMの環境下ならばWindows Mobileで展開しても良いだろうという考えだったのです。

Photo ファイザーが3000台の導入を決めたHTC製の「X05HT」。タッチパネル液晶とQWERTYキーを装備する

ITmedia なるほど。日本法人の動きはグローバルでの導入計画を先行した形になるのでしょうか。

ファイザー 実は日本よりも少し小さなアジアの国で、PDAを使ったSFA(sales force automation=営業支援)を進めていく計画があり、ここでスマートフォン導入の議論があったのです。それなら、日本も先行導入プログラムにいれてほしい、というのが導入の経緯でした。

 結果として、ファイザーの日本法人は、Windows Mobileの導入で一番規模が大きいものになりました。

ITmedia スマートフォンの導入にあたってセキュリティを重視したというお話ですが、iPhoneなどのほかのスマートフォンはファイザーのセキュリティポリシーから見て不十分だったのでしょうか。

ファイザー 2008年にiPhone 3Gが発表された時に、我々としてはiPhoneのユーザービリティというものを高く評価して、グローバルでも検討はしました。しかし、検討時にはデバイスマネージメントができないとか、いろいろな国でデバイスのハッキングをして不正を行っている人もたくさんいるということで、ファイザーグローバルとしては当時のiPhoneをファイザーのネットワークに接続することは認められないという結論に至りました。

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