「1アプリ1単価に限界」――ハドソンに学ぶiPhoneアプリの難しさと“次の手”(1/2 ページ)

» 2009年12月22日 21時53分 公開
[山田祐介,ITmedia]
photo ハドソン 執行役員 新規事業本部本部長の柴田真人氏

 「やっと海外でも“モバイルコンテンツ”が注目されるようになった。日本のデベロッパーやコンテンツプロバイダーにはものすごいチャンスがあると実感している」――。

 2000年代初頭からモバイルコンテンツ事業を海外でも展開してきたハドソン。日本の大手ゲームメーカーとしてiPhoneアプリにもいち早く着手し、27タイトルをリリースしてきた。そんな同社でモバイルコンテンツ事業に長年携わってきた柴田真人氏(執行役員 新規事業本部本部長)が、12月18日に開催されたIGDA日本主催のセミナーでiPhoneアプリやスマートフォン向けコンテンツビジネスの戦略を語った。


モバイルコンテンツに「大きなチャンス」 ただし課題も

 携帯電話の販売が伸び悩む中、スマートフォンのシェアがじわじわと上昇している。柴田氏もこうした状況に注目しており、「日本はやや特殊だが、世界的には今後3年間で携帯電話はスマートフォンが中心になる」と予想。「少なくとも、この1、2年で30パーセント前後のシェアになるのはほぼ間違いない。スマートフォンはインターネットの利用頻度が圧倒的に高いので、30パーセントのシェアでもモバイルインターネット全体を左右する」と、スマートフォンにコンテンツを提供する重要性を説いた。

photophoto 柴田氏がまとめたスマートフォンの状況(写真=左)と、今後の予想と課題(写真=右)

 また、スマートフォンの広がりや通信網の整備により、国外であまり重視されていなかったモバイルコンテンツが、「やっと世界規模で注目されてきた」という。今後はiPhoneやAndroid端末向けの「モバイル勝手サイト」ビジネスが世界規模で飛躍的に拡大すると柴田氏はみている。「日本で成功したモデルは、かなりのレベルで海外にも展開できるのではないか」とも語り、海外市場の変化に大きな期待を寄せた。

 とはいえ、海外進出には大きな課題も残っており、国内の成功モデルをそのまま展開することは難しそうだ。まず同社が「直面している」というのが、ローカライズやカルチャライズの問題。「iPhoneアプリを27個リリースし、いろいろなことで海外のお客様から叩かれ、胃を痛くしながら直している。その際に、ローカライズやカルチャライズの重要性を強く感じる」(柴田氏)。

 さらに勝手サイトビジネスを展開する上では「課金スキーム」もボトルネックになるという。海外キャリアが提供する課金モデルは中間マージンを多く取られ、収益に結びつきづらい。一方で独自の課金スキームを設けるにもノウハウがなく手間がかかる。同社は、BlackBerry向けのアプリストア「BlackBerry App World」が登場する以前に独自マーケットを用意しようとした際、「課金をどうするのか調べるだけで、非常に苦労した」のだという。「いかにやりやすい課金スキームを見つけるか、ノウハウを手に入れるかが海外展開のキーになる」(柴田氏)

iPhoneアプリはゴールドラッシュだが……

 こうした状況の中、端末の操作性やビジネスモデルにおいて「どの端末メーカーもキャリアも追いついていない」と柴田氏が評価するのがiPhoneだ。同氏の予想より半年早くアプリ内課金が導入されるなど、進化のスピードにも舌を巻く状態だという。App Storeの登録アプリも増加の一途で、その数は今や10万本を突破。「まさにゴールドラッシュ」と同氏は表現する。

photophotophoto 27アプリをリリースしたハドソン。最も成功したアプリは「ボンバーマン TOUCH」で、「900円でリリースし、10万ダウンロードを超えた」(柴田氏)。そのほかにも「Cake Mania」、「クレヨン・フィジックス」といったタイトルが成功したという。
photo タイトルの“強さ”か価格の“安さ”か、といった競争に陥りがちだと柴田氏は指摘

 しかし、ライバルの増加によってビジネスは厳しさを増しており、「当たった時の売り上げの規模は非常に大きいが、当たる“幅”は狭くなってきている」のが実情だという。App Storeではアプリの価格が自由に設定できるため、「すべてが価格競争に流れてしまう」傾向も顕著だ。同氏の調べによれば、アメリカのApp Storeにおけるある週のトップ10のアプリ平均価格は1.29ドル――。同社のアプリにおいても、「『ネオサメガメ』は有料では1万ダウンロードを超えなかったが、無料にすると200万ダウンロードに伸びた」と柴田氏は苦笑いする。さらに、個人や小規模な開発メーカーが低価格なアプリを出す中で、大手企業がコストを管理しながら戦う難しさもつきまとう。「1アプリ1単価のモデルには限界があるというのが、我々の結論」(柴田氏)


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