ソフトバンクモバイルは6月9日、NTTドコモとの接続料問題に関する方針を発表した。同社は電気通信事業紛争処理委員会に、接続料の算出根拠となる情報を開示する考えで、同日、委員会に対し妥当性の検証を依頼した。
また、同社はNTTドコモに対して過去の接続料の再精算を求め、委員会にあっせんを申請。これにより、両社がお互いに紛争処理を申請する事態に発展した。
接続料とは、事業者をまたぐ通信サービスを行う際に、事業者間で精算されるネットワーク利用料のこと。ドコモは、同社より高い接続料を設定しているソフトバンクに対し、妥当性検証のための情報開示を求めて電気通信事業紛争処理委員会にあっせんを申請していた。
ドコモがあっせん申請に踏み切った背景には、2010年3月に総務省が接続料の算出手法などを記したガイドラインを策定したことがある。ガイドラインに従う義務があるのは端末シェア25%以上のドコモとKDDIだけだが、他社もガイドラインに従うのが望ましいとされており、ソフトバンクもこの考えにのっとって2010年度の携帯電話接続料を算出したとしている。
しかし、ドコモはソフトバンクの提示した接続料の水準を疑問視。ガイドラインでは、事業者間で接続料の水準が争点となった場合、算出に必要な情報をできるだけ開示するのが適当とされており、ドコモは情報開示を求めた。これにソフトバンクが応じず、あっせん申請へと発展した。
ソフトバンクに情報を開示する意思はある。しかし、「ライバル会社に直接情報を開示することは避けたい」(同社常務執行役員 渉外本部長の弓削哲也氏)。そこで、ドコモではなく紛争処理委員会に情報を開示し、同委員会に正当性を検証してもらう考えだ。開示するデータは、ドコモが求めていた「第二種指定電気通信設備制度の運用に関するガイドラインの別表第2」に当たるものだという。なお、あくまでも依頼を申請した段階にあり、同社の提案を委員会やドコモが認めるかどうかによって、交渉の展開は変わってくる。
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