導入進むiPad利用のカード決済システム、「もっと日本のニーズに根ざしたものに」――フライトシステムの片山氏(1/2 ページ)

» 2012年08月23日 17時30分 公開
[鈴木淳也(Junya Suzuki),ITmedia]

 iPhoneなどのモバイルデバイスをPOSシステムに活用する例が増えている。著名な例の1つが米国のApple Retail Storeだ。各々の店員がiPhoneをベースにした決済端末を持っており、カード決済であればその場でiPhoneカバーの側面にあるカードリーダーにクレジットカードを通して決済処理を行う。来店者はレジに向かうことなく、その場ですぐに商品を手にすることが可能。店舗側は素早く商品を捌くことができ、商機を逃さず販売活動を行えるというわけだ。

ペイメント・マイスターに日本向け機能、MFiの取得へ

Photo フライトシステムコンサルティング 代表取締役社長 片山圭一朗氏

 こうしたモバイル決済システムを日本で展開しているベンダーの1つがフライトシステムコンサルティングだ。同社は「ペイメント・マイスター」と呼ばれる決済ソリューションを展開しており、「iPhoneに装着するカード読み取り機能付きジャケット」「モバイルプリンタ」といったハードウェア製品と、iPhone/iPad向けアプリと決済サービスで構成されている。前者のiPhoneジャケットは米Mophie、後者のモバイルプリンタは中国Blue BambooからのOEM供給となっているが、今後はより日本に根ざした製品の提供を目指し、同社自らが「MFi」(Made for iPhone)の取得を目指していくという。

 MFiとは、Appleが周辺機器ベンダーに提供している認定プログラムだ。iPhoneやiPad、iPodでは共通のDockコネクタを採用しており、外部スピーカーにしろデータ転送ユニットにしろ、Bluetooth以外のハードウェア的な通信にはこのDockコネクタを介する必要がある。もしDockコネクタに接続する周辺機器をリリースする場合、このAppleのMFiの認証を受ける必要があるというわけだ。これまではMophieやBlue Bambooといった企業がMFiを取得して製品をリリースしていたため問題なかったが、もしフライトシステムコンサルティングが自社独自のハードウェアを開発してリリースしたいと考えた場合、MFiの認定が必要となる。

 「日本独自のニーズがあり、こうしたニーズをくみとっていくにはわれわれ自らが独自の製品開発を行っていく必要があった」――。こう説明するのはフライトシステムコンサルティング 代表取締役社長 片山圭一朗氏だ。単純にクレジットカードというと世界共通なようにも思えるが、例えば日本で使われている銀行カードはJIS-IIと呼ばれる独自規格であり、他国のものとは互換性がない。最近、日本でも利用者が増えている中国の銀聯カードは、クレジットカードの体裁を採りつつも、実際には銀行口座から直接引き落としが行われる「デビットカード」であり、さらに決済時には認証のためにPINコードの入力が求められる。また、日本独自という意味ではFeliCaという非接触通信規格の決済カードが存在し、これを導入する店舗も多い。非接触通信ではNFC(Near Field Communications)という世界規格があるが、海外ベンダーが提供するNFCリーダー装置はFeliCaをサポートしておらず、もしFeliCaサポートが必要であれば日本独自のハードウェアが必要となる。

 片山氏によれば、具体的な時期は公表できないものの、将来的に同社がMFiに準拠した形で提供するハードウェアは、日本の商店主が必要とする機能を盛り込んだものになるという。具体的には日本の銀行が発行するデビットカード(ATMカード)決済への対応、銀聯カードのサポート、そしてFeliCa対応などだ。NFCを使うMasterCard PayPassやVisa payWaveなどの規格に対応する端末となるかは不明だが、「日本でのニーズに根ざしたもの」(片山氏)を目指すという。

Photo フライトシステムコンサルティングがiOSデバイス向けに提供しているペイメントマスターのカードリーダージャケットやプリンタ製品

さまざまなシーンで活用が進むモバイル決済ソリューション

 フライトシステムコンサルティングは、MFi認定プログラムの取得を目指すという発表と同じタイミングで、決済ソリューションの最新版「ペイメント・マイスター Ver3.1」も発表している。ペイメント・マイスターとは、小売店のPOSレジや店舗裏に設置されたカード会社の決済ターミナルをiPhoneやiPadといった端末で代替するもので、前述のハードウェア装置に加え、iOSデバイス向けのアプリ、さらにバックエンドのクラウド型決済サービスで構成されている。アプリの動作は個々の業務に合わせてカスタマイズ可能なほか、クラウド側のシステムを社内の業務システムと連携させることも可能で、柔軟な運用が行えるようになっている。

 ペイメント・マイスターの利用シーンは幅広く、宅配業者や訪問販売でのハンディターミナルとしての活用のほか、イベント会場などでの物品販売、高級ブティックのVIPルームでの対応、そして意外なところではホテルでの採用例もある。イベント会場の事例では、リズメディア所属のアーティストであるMISIAがコンサート会場での物品販売に活用しているほか、野球場などでのグッズ販売にも活用されているようだ。

 これらの用途では、3G接続さえできれば電源や電話回線なしにクレジットカード決済が行えるため、可搬性が高い点がメリットになっているようだ。高級ブティックの例では、VIPルームでの対面販売で、その場にいながら商品の決済を行える点がメリットになる。特に銀聯カードではPINコードの入力が必須となるため、決済端末が手元にないと顧客をわざわざレジまで誘導してキーパッドを手渡す必要があるなど効率が悪い。こうした場合でもペイメント・マイスターなら、その場でPINコードの入力が可能になる。

Photo カード読み取り機能をもったプリンタとiPadを組み合わせた例。ペイメントマスターのアプリは画面左下にある「カード決済」のアイコン
Photo PINコードを入力してアプリ起動後、まずカード契約種別を選んで決済金額を入力。次にカード情報を読み込ませて支払い回数を選択し、必要であれば顧客番号などの追加情報を入れる。銀聯カードの場合、この途中でPINコードを入れるプロセスが入る

Photo すべての入力が終わるとプリンタで明細が出力される。最大4枚まで出力可能(顧客控え、店舗控え、売上伝票用×2)

 ホテルでの活用事例については、宴会場などで追加決済が発生するケースがあり(例えば結婚披露宴でのパッケージ料金以外の追加料金発生など)、支払いのために親族を宴会場フロアから決済端末があるフロントまで誘導せずとも、その場で決済を済ませることができるのがポイントだ。

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