どう作る、どう使う――「社員手帳」活用のすすめ

ここ数年、社員手帳を含む法人手帳市場が拡大しているという。企業は「使ってもらえる」社員手帳を作るためにどんな工夫をするべきなのか。社員が与えられた社員手帳を使いこなすためのポイントはどこにあるのか。日本能率協会マネジメントセンター(JMAM)BT法人営業本部の高梨文明副本部長に聞いた。

» 2009年06月24日 20時11分 公開
[杉本吏,Business Media 誠]

 各企業が作成し、年度初めなどに従業員に配布する社員手帳個人向け手帳ブームやWebスケジューラーなどの普及により、「(社員手帳は)持っているけれどほとんど使っていない」「そもそも持っていない」という人が多そうな印象も受けるが、実はここ数年、社員手帳を含む法人手帳市場は拡大しているのだという。

 企業は「使ってもらえる」社員手帳を作るためにどんな工夫をするべきなのか。社員が与えられた社員手帳を使いこなすためのポイントはどこにあるのか。日本能率協会マネジメントセンター(JMAM)BT法人営業本部の高梨文明副本部長に聞いた。

相次ぐ不祥事と経営層の懸念

日本能率協会マネジメントセンターBT法人営業本部の高梨文明副本部長

 2008年のJMAMの手帳発行部数は1430万冊。そのうち810万部を市販手帳が占め、残りの620万部が法人市場向けの製品だ。法人手帳はさらに、顧客などに配る贈答手帳と、従業員に配る社員手帳に分けられるが、社員手帳の発行部数は70万部に過ぎない。しかし、一昨年の60万部からは10万部拡大し、今後も成長のきざしが見られるという。

 社員手帳市場の拡大の背景には、「企業で相次ぐ(情報漏えいをはじめとした)不祥事発覚など、コンプライアンス低下の問題がある」と高梨氏は言う。「会社の経営理念や行動指針が現場の社員に浸透していないのではないか。経営層にはそういった懸念があった」(高梨氏)

 もちろん、集合研修などの社員教育を通して会社のポリシーを周知徹底するという方法もあるにはあるが、「研修などはどうしても一過性で終わってしまいがち。現場に戻った途端に業務に追われて忘れてしまったり、覚えていても続かなかったりする。理念を浸透させ、行動を変えていくためには、普段から肌身離さず持ち歩く手帳を活用することが効果的」だという。

手帳サイズのツールを作成、社長自らお手本に

 しかし、「表紙に企業のロゴマークが入っただけの、単なるノベルティのような」社員手帳を作ったところで、社員は使ってはくれない。真に社員にとって有用な手帳とするためには、企業独自の工夫が必要となる。住友林業の事例を見てみよう。

 住友林業では、社員手帳の配布と同時に、手帳サイズに合わせたグッズを多数作成した。社員に携帯が義務付けられている情報・コンプライアンス資料などを、挟み込み式のツールとして事業部ごとに作成。手帳の追加ページには、業務上知っておくべき建築用語の一覧や業界知識を掲載し、実用性を高めた。

JMAMが提供している法人向け手帳の展示例。「従来は黒一色の武骨なデザインが多かったが、近年は若手社員や女性向けにカラフルなデザインが増えてきた」(高梨氏)という

 また、新入社員の入社式で社長が手帳を持ちながら経営理念を説明したり、社員会議、朝礼、社内報、イントラネットなどあらゆるコミュニケーションツールを通じて手帳の利用法を解説するなどのアピールも行っているという。

 このほか、若手社員や女性社員が携帯したくなるようなデザインになるよう気を配ったり、環境に配慮した素材を使用したりと、手帳自体の魅力を高める試みも行っている。定期的に社員手帳に関するアンケートも実施し、それを基に表紙や中身のコンテンツも改良するのだそうだ。

目標管理ツールとしての利用法も

 高梨氏は、「多くの会社は目標管理制度を導入しているが、進捗管理はどうしても個人任せになりがち。社員手帳に半期ごとの目標を記入するページがあれば、常に“振り返り”に役立てることができる」と提案する。

 スケジュールと目標を連動させることで、“書く”こと自体を、ひいてはPDCAのマネジメントサイクルを習慣化する。「1年のサイクルの中で、『去年の自分はこんな業務をしていて、こんな苦労をしていて、こんな風に解決したんだ』といった流れを振り返ることが重要。書いた時の文字の大きさや丁寧さなどからも、そのときの自分の気持ちが見えてくるはずだ」(高梨氏)

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