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» 2009年09月17日 18時00分 公開

“出版馬鹿”の書籍名刺交換術樋口健夫の「笑うアイデア、動かす発想」

出版したら知り合いが増えた――。いやいや、筆者の場合は「増やした」のである。書籍を名刺として配ったら効果バツグンだったのだ。

[樋口健夫,Business Media 誠]

 「本を出版したら読者の知り合いが増えた」なんていうのは極めて常識的であるが、筆者の場合は「増やした」のである。ヨメサンも呆れかえったが、仕事のお客にどんどん本をプレゼントしてしまうのだ。

 本を1冊出版すると10冊ほど、出版社から著者に無償で送られてくるもの。しかし10冊程度では両親や兄弟などに配ったら、あっという間になくなる。それ以上欲しい場合は、自前で支払って購入するのが当然である。

 本をプレゼントするのに最初は慎重に人選していたが、意外と営業に効くことが分かってからはどんどん渡すことにしている。まったく初対面の顧客に、「名刺代わりです」と筆者の本を渡すと、2度目の訪問時には筆者の経歴を筆者以上に理解し、話が弾み、受注が決まったり、仕事の話がスムーズに進むことが何度かあったのだ。もちろん、渡した本を読んでくれないこともあったが、その場合はしようがない。最初から見込みがなかったと考えた。

 ビジネスは人と人の信用が重要であるから、ビジネスパーソンの出版は、出版物の理解がその人の理解につながるという意味で、一般人の出版よりもはるかに大きなビジネス効果を持っていると言えそうだ。

 というわけで「いっそのこと、もっとどんどこ本をあげてしまおう」と超積極的に営業戦略として自分の本を活用することにした。幸いにも筆者の顧客はまじめな人が多くて、読んでくれる人が多かった。するともっと調子に乗って、本を購入しては配ることを続けた。

 「あのう、これ私の名刺ですが……」(と言って本を差し出す)「あれ、本をお出しになっているのですか、わあ、サインがしてある」と客先のキーマンに1冊、2冊と渡す。すると、同行の課長が同じ会社なのに「樋口さん、わたしも読みたいなあ」と来ることもある。当然こちらにも「はいはい」と言いながらプレゼント。

 筆者はすでに出版歴26年だが、会社のお金で自分の本をまとめて買ってもらったことは一度もない。上司から「君の本をまとめて買おうか?」と言われたことはあるが断った。営業に効果はあるが、あくまで出版は個人でやっているものであり、会社とは直接関係がなかったからだ。これは筆者の絶対的な主義だった。

 印税で数十万円が手に入るが、そのお金でいつも、新しいPCと100冊程度の自分の本を買っていた。ヨメサンからは、「出版貧乏」「出版馬鹿」という言葉をいただいたが、会社の給料は家に入れていたので実際に貧乏だったということはない(馬鹿だったかもしれないが)。

今回の教訓

 この“名刺”はそうそう補充できないな。


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著者紹介 樋口健夫(ひぐち・たけお)

 1946年京都生まれ。大阪外大英語卒、三井物産入社。ナイジェリア(ヨルバ族名誉酋長に就任)、サウジアラビア、ベトナム駐在を経て、ネパール王国・カトマンドゥ事務所長を務め、2004年8月に三井物産を定年退職。在職中にアイデアマラソン発想法を考案。現在ノート数338冊、発想数26万3000個。現在、アイデアマラソン研究所長、大阪工業大学、筑波大学、電気通信大学、三重大学にて非常勤講師を務める。企業人材研修、全国小学校にネット利用のアイデアマラソンを提案中。著書に「金のアイデアを生む方法」(成美堂文庫)、「マラソンシステム」(日経BP社)、「稼ぐ人になるアイデアマラソン仕事術」(日科技連出版社)など。アイデアマラソンは、英語、タイ語、中国語、ヒンディ語、韓国語にて出版。「感動する科学体験100〜世界の不思議を楽しもう〜」(技術評論社)も監修した。近著は「仕事ができる人のアイデアマラソン企画術」(ソニーマガジンズ)「アイデアマラソン・スターター・キットfor airpen」といったグッズにも結実している。アイデアマラソンの公式サイトはこちらアイデアマラソン研究所はこちら


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