引き込まれるプレゼンはイントロダクションが優れています。冒頭のイントロで話の概要を伝え、聞き手の集中力を高めるからです。こうしたイントロの基本を押さえておきましょう。
プレゼンのイントロダクションに課せられた大きな役割は、テーマや話し手に興味を持ってもらい、本題へスムーズに誘導することです。
多くの人はプレゼンテーションの冒頭部分で、この提案内容を真剣に聞くかどうかを決めます。一度、興味を失うと集中力は途切れ、後から話に引き込むのは困難です。そのため、イントロダクションでは、短時間で「面白そうな人だな」「どんな話になるのか、気になるな」と思わせることです。
あいさつと自己紹介、本日のテーマ説明、注意を引くためのちょっとしたエピソード(私はフックと呼んでいます)は、そうした聞き手の関心をひきつけるためのトピックです。
イントロダクションには、もう1つ重要な役割があります。それは、プレゼンテーションの全体像を伝え、聞き手の理解を助けることです。
長いプレゼンでは、全体のどの部分を説明しているのか分からなくなることがあります。また、説明がいつまで続くのか分からないと、聞き手は不安やストレスを感じます。そのため、話し手は、プレゼンの冒頭に、どのような流れでどのくらいの時間プレゼンを行うのかを伝えておくのです。いわゆる「アウトライン」です。事前に、おおよその時間割を知ることで聞き手は心の準備と聞くための姿勢を作ることができるのです。
イントロダクションの所要時間はプレゼン全体の10%にも満たないでしょう。それでも、こうした重要な役割を持っているのがイントロダクションです。
プレゼンの冒頭で自己紹介(名前、所属、担当や役割)、あいさつが終わったら、本日のテーマを発表しましょう。あなたが今日、何の目的で何について話すのかを知らしめるのです。
「テーマ」はいわば、プレゼンのタイトルにあたる部分。タイトルはなるべく短く、分かりやすいものにしましょう。例えば、
「今日は、不良在庫ゼロによる利益倍増のご提案をさせていただきます」
といった感じです。タイトルだけ聞いても、プレゼンの内容がイメージできるものがベスト。商品販売やサービス導入の提案の場合は、商品名などが全面にくるよりは、その結果相手にとってどのようなメリットがあるのかをイメージできるようなテーマが望ましいでしょう。
そして、アウトライン。プレゼンの流れや時間の目安を事前に伝えることで、心がまえができ、聞き手が集中しやすくなります。
「今日は3部構成で話します。最初に……、次に……、最後に……です。所要時間はおよそ60分です」
このように、テーマとプレゼンの目的、アウトラインが伝われば、聞き手はしっかり提案内容を聞くための心構えができるはず。逆にこれを省略してしまうと、聞き手は大きなストレスを感じますから注意が必要です。
パワポの前に「図」で考える――。ベストセラー『頭がよくなる「図解思考」の技術』の第2弾となる本書は、プレゼンテーションの根幹とも言える「メッセージをどう作り、どのように伝えるのか」を図で整理する方法を解説しています。
「見栄えのいいスライドを作ること」や「説得力のある話し方をすること」も当然大事ですが、プレゼンの目的(メッセージ)そのものが洗練されていなくては、聞き手の心には届かないからです。営業プレゼンテーションや講演に限らず、ちょっとした説明や商談、または報告などにも応用可能で、あらゆるビジネスシーンで活躍するはずです。
知的生産研究家、新規事業プロデューサー。ショーケース・ティービー取締役COO。
リクルートで新規事業開発を担当し、グループ会社のメディアファクトリーでは漫画やアニメ関連のコンテンツビジネスを立ち上げる。その後、デジタル業界に興味を持ち、デスクトップパブリッシングやコンピュータグラフィックスの専門誌創刊や、CGキャラクターの版権管理ビジネスなどを構築。2005年より企業のeマーケティング改善事業に特化した新会社、ショーケース・ティービーを共同設立。現在は、取締役最高執行責任者として新しいWebサービスの開発や経営に携わっている。
近著に『知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100』『革新的なアイデアがザクザク生まれる発想フレームワーク55』(いずれもソフトバンククリエイティブ刊)、『頭がよくなる「図解思考」の技術』(中経出版刊)がある。
連絡先: nagata@showcase-tv.com
Webサイト: www.showcase-tv.com
Twitterアカウント:@nagatameister
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.