マスメディアが競って日本財政の破綻を揶揄(やゆ)しています。ですが、本当に日本は破綻するのでしょうか。かなりざっくりではありますが、今回は日本の財政問題を身近に感じる図解思考を紹介しましょう。
前回からちょっと思考を変えて、お金と図解の話をしています。マスメディアが競って日本財政の破綻を揶揄(やゆ)していますが、今回は「本当に日本は破綻するのか」をかなりざっくりした図解で身近に感じてもらいます。
国家財政というと額が大きいので、まずは家計簿的に押さえます。毎月40万円の収入のあるサラリーマンがいるとして、支出が30万円であれば、10万円の利益。支出が50万円であれば、10万円の損失です。ここまでは当たり前ですね。
続いて財務省の発表した23年度の予算を「○○兆円」を「○○万円」と“超変換”。サラリーマンの年収並みのPL(損益計算書)にすると、こんな具合です。
収入の倍以上に支出がある問題児であることは分かります。足りない分は、借金(国債発行)でまかなっており、その残高は収入の15倍以上にものぼります。このPLを見て、収入を増やすべきなのか、支出を減らすべきなのか、議論は分かれるところですね。
ただし支出を減らすというのも限界があり、基本的には収入を増やせるように未来を見据えて手を打つべきだと思います。いわゆる「コスト削減」は、全体をシュリンクさせるだけ。あくまで短期的な施策でしかありません。
多くのマスコミの「日本破綻」ストーリーは、この借金の大きさをもてはやしているようです。しかし、収入に対して支出が多すぎるのはNGとしても、年収481万円のサラリーマンが6680万円の家を買うことは十分あると思うんですが……。
次に、PL(収入と支出)ではなく、BS(資産と負債)で見てみます。中小企業診断士で経済評論家の三橋貴明さんなんかもよく言っていますが、誰の資産と負債なのか、がポイント。日本政府の「資産」と「負債」で見れば、次の通りです。
これだけ見ると確かにまずい状況です。債務超過ということは、資産よりも負債が多く、純粋な資産がマイナスになっている状態(実際には、資産よりもはるかに債務超過が多いです)。これが企業であれば、もうお金は借りることはできません。まさに赤信号。ところが日本政府は、バンバンお金を借りています。国債が発行できているんですね。それはなぜでしょうか?
日本政府としては債務超過なのですが、借金の貸主は実は個人です。個人が銀行や郵便貯金にお金を預け、金融機関はそれを元手に国債を買っています。つまり、個人の資産1500兆円は、日本政府の債務超過の穴埋めに使われている! そして、それを補ってもまだ、純資産はプラスなんですねえ。
会計や財務というと細かい数字の羅列と専門用語ばかりです。でも、そうした世界もレゴブロックを組むように、単純モデル化すると、意外な真実が見えてくるものです。
日本の問題は、借金ではなく「デフレ」です。モノの値段が下がっていくから、お金を貯め込んで使わない。だから、景気がよくならない。その結果、税収があがらなくて、国債を発行するはめになる。そして、国債の購入に充てられているのは、結局、貯め込んだ個人のお金という図式なんです。
貯めるだけでなく、どう使わせるか? これが日本財政の一番の課題なんだと思います。
パワポの前に「図」で考える――。ベストセラー『頭がよくなる「図解思考」の技術』の第2弾となる本書は、プレゼンテーションの根幹とも言える「メッセージをどう作り、どのように伝えるのか」を図で整理する方法を解説しています。
「見栄えのいいスライドを作ること」や「説得力のある話し方をすること」も当然大事ですが、プレゼンの目的(メッセージ)そのものが洗練されていなくては、聞き手の心には届かないからです。営業プレゼンテーションや講演に限らず、ちょっとした説明や商談、または報告などにも応用可能で、あらゆるビジネスシーンで活躍するはずです。
知的生産研究家、新規事業プロデューサー。ショーケース・ティービー取締役COO。
リクルートで新規事業開発を担当し、グループ会社のメディアファクトリーでは漫画やアニメ関連のコンテンツビジネスを立ち上げる。その後、デジタル業界に興味を持ち、デスクトップパブリッシングやコンピュータグラフィックスの専門誌創刊や、CGキャラクターの版権管理ビジネスなどを構築。2005年より企業のeマーケティング改善事業に特化した新会社、ショーケース・ティービーを共同設立。現在は、取締役最高執行責任者として新しいWebサービスの開発や経営に携わっている。
近著に『知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100』『革新的なアイデアがザクザク生まれる発想フレームワーク55』(いずれもソフトバンククリエイティブ刊)、『頭がよくなる「図解思考」の技術』(中経出版刊)がある。
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