携帯ゲームのSNSで急成長するグリー。その経営状況を図解思考で確認してみましょう。
前々回の連載で、会計の“基本の基本”を図解で紹介しました。そのときに「会社の経営というものは、資産増やしゲーム」だと説明しました。つまり、資産を増やして、それを回転させ、利益を出す。利益を出したら、それで資産をさらに増やして、さらに利益を出す――。この繰り返しです。
今回は、実在の企業でそれを説明しましょう。携帯ゲームのSNSで人気のグリーです。グリーの決算によれば、2009年度の総資産は156億円。そのうち、固定資産は4億しかなく、ほとんどが流動資産、つまり現金か有価証券でした。
また非常に純資産が多く、約60%が自己資本。このBS(バランスシート)をレゴブロックのような感覚で表すと、以下のような感じ。余裕のお金持ちBSです!
次にPL(損益計算)です。BSに大きさを合わせて、ブロック式に売上からコストを差っ引いていきます。まず、売上に対して原価がちょっとしかかかっていません。とても儲かるビジネスであることが分かります。
コンサルティングなど労働集約的なビジネスではこうした原価の少ない企業はありますが、通常はかなりの部分が販売費と一般管理費(いわゆるハンカン費)になるはずですが、グリーの場合はそれをのぞいても、195億、売上に対して55%も営業利益が残っています。こんな業界、ほかにはないですよね。
ちなみに日本は法人税が高いです。利益に対して税金が引かれますので、儲かれば儲かるほど、海外に逃げちゃう企業がいてもしようがないかもしれません。
BSとPLの関係は「資産増やしゲーム」ですから、ある時点のBSに、そのあとの期間で得たPLの利益がのっかり、次の期のBSに反映します。グリーの場合、純利益はそのまま純資産にのっかります。また売上拡大にともなって未払い金が増え、それが負債にのっかります。
BSの右部分が増えますので、当然ながら左の資産も同じ金額増えるのです。ちなみに利益は現金ですし、未払い金も現金で払うでしょうから、資産の部では「流動資産」ということになります。
その結果、負債は116億、純資産は205億となり、トータル資産321億となりました。こうやって毎年利益を出し、資産を増やしていくわけです。
どの上場企業も、決算に関してはホームページで詳細なデータが手に入ります。細かい数字の羅列ではピンとこないかもしれません。しかし、こうやって自分なりにレゴブロックのようにブロックで図解にしてみると、その企業が順調かどうか、うまく資産を増やしていっているのかどうか――が分かります。
自分の会社、気になる会社を自分なりに、分析してみてはどうでしょうか?
パワポの前に「図」で考える――。ベストセラー『頭がよくなる「図解思考」の技術』の第2弾となる本書は、プレゼンテーションの根幹とも言える「メッセージをどう作り、どのように伝えるのか」を図で整理する方法を解説しています。
「見栄えのいいスライドを作ること」や「説得力のある話し方をすること」も当然大事ですが、プレゼンの目的(メッセージ)そのものが洗練されていなくては、聞き手の心には届かないからです。営業プレゼンテーションや講演に限らず、ちょっとした説明や商談、または報告などにも応用可能で、あらゆるビジネスシーンで活躍するはずです。
知的生産研究家、新規事業プロデューサー。ショーケース・ティービー取締役COO。
リクルートで新規事業開発を担当し、グループ会社のメディアファクトリーでは漫画やアニメ関連のコンテンツビジネスを立ち上げる。その後、デジタル業界に興味を持ち、デスクトップパブリッシングやコンピュータグラフィックスの専門誌創刊や、CGキャラクターの版権管理ビジネスなどを構築。2005年より企業のeマーケティング改善事業に特化した新会社、ショーケース・ティービーを共同設立。現在は、取締役最高執行責任者として新しいWebサービスの開発や経営に携わっている。
近著に『知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100』『革新的なアイデアがザクザク生まれる発想フレームワーク55』(いずれもソフトバンククリエイティブ刊)、『頭がよくなる「図解思考」の技術』(中経出版刊)がある。
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