「あの人ニガテだなぁ」を攻略する方法明日の私を強くするビジネス元気ワード

人は誰しも苦手な人がいるもの。しかし怖い、苦手……で自分が取りたくない態度でその人とかかわるのは、苦しくないですか? 自分がこの人とこうありたいと思える態度を“自分のために”取ってみても良いのではないでしょうか?

» 2013年06月24日 14時20分 公開
[岩淺こまき,Business Media 誠]
誠ブログ

 この記事では、某企業の若手社員「私」の“困った”“悩んだ”を例に挙げ、仕事や物事がより円滑に進むようなコミュニケーションのヒントを紹介します。

 以下、私を自分に置き換えてもよし。私にアドバイスをするつもりで読んでもよし。「ちょっと試してみようか」と思っていただければうれしいです。

 私は現職の人材教育コンサルタント会社で入社3年目の女性社員。学生時代は女子ラクロス部の主将で、基本的には前向きな性格です。仕事にも慣れ自信も付いてきたころ、希望と違う部署に異動になりました。私はややヒューマンスキルが未熟なこともあり、自分とうまく向き合えず、周囲や仕事とうまくかみ合わず、少々悩み気味です。

良い関係に持っていくには

 この間から、自分の現状を客観視するために多くの人にフィードバックをお願いしている。

 そんな中、チームの先輩で私の苦手な「異様に怖い雰囲気でキツイモノ言いをする人」がいることに気付いた。一度先輩をそんな風に思ってしまうと、フィードバック以外の日常業務においてもその先輩の怖い部分ばかりが目に付く。

 私は学生時代から人に不要な威圧感を与える人は苦手なのだ。だから先輩からどんなに良いことを言われていても、怖さや理不尽さが先に立って気持ち的に受け入れられなくなってしまう。このままではよくないのは分かる。同じチームだから成果にもかかわりそうだ。どうしようか……。

 というわけで、ここまでは客観視できてるんですけど……。

 同じ部署だと利害関係があると思い、今回は以前相談した前の部署の先輩に相談を持ちかけた。場所はいつもの会社近くのカフェだ。

先輩 結局、相手を受け入れられない気持ちが表に出るわけだ。

 はい

先輩 どんな風に出るの?

 うーん、まず何か言われても怖いし、なんでもハイって言いたくなります。反対意見は言えないですね。フィードバックを受けても質問なんてできる雰囲気じゃないし、そもそもフィードバックも他の人に求めますね。できるだけかかわりたくないから、行動もおっかなびっくりになってると思いますし……。

先輩 あはは、すごく表に出てるよなあ。

 笑いながら先輩は、いつもの決めゼリフを言った。

先輩 1つ、感じたこと言ってもいい?

 はい。

先輩 そのままだと、あなたたちの関係はどんどんどんどん悪い方に転がっていくよね。それは、なんとなく分かってるんでしょう?

 ……。

先輩 「返報性」って言葉の意味は分かる?

 教えてください。

先輩 だいぶ復活してきたねえ。知らないことを知らない、と言えるのはある程自分に自信がないと難しいからね。

 一呼吸おいて、先輩は言った。

先輩 返報性というのは「人は相手からされた行動を返しやすい傾向がある」ことなんだよね。

 例えば誰かから出張のお土産をもらったら、次に自分がどこかに出かけたとき、何か買って帰ろうと思ったりしない? 困ったときに助けてもらったら、今度は自分がしてあげなきゃ、と思ったりする。それも返報性が関わってるんだよね

 なんとなく、分かります。

先輩 で、それを踏まえて今のあなたがやってる行動を考えると、どんなお返しが帰ってくると思う?

 確かに、私のかかわり合いたくない行動が伝わって先輩が余計に私にかかわりにくくなっている部分もあると思う。よくよく考えると自分が嫌いな人は相手だって自分のことが嫌いだし、好意や尊敬を示せる相手は自分をかわいがってくれるものだ。

 それは分かりますけど、だったら先輩から私に接しやすい行動を示してくれてもいいんじゃないですか? そしたら私だって応じやすいです。

先輩 気付いたほうからやればいいんじゃない? 待ってたら、いつまで経ってもこのままだよ。

 いつも通り先輩は、ハードルの高いことをサラっと言う。

 私はちょっとだけ、今までのことを振り返った。怖いからといって目も合わさずあいさつする私に対して、どう思ったろうか。先輩からすれば失礼だなと思うだろうし、私に好かれていないと感じるのは当たり前だろう。フィードバックの意見を積極的に聞こうとしない私に対し、聞く気がないなら丁寧に教える気持ちになれないのも、当然の結果といえる。

 私も先輩から好かれてない、丁寧に教えてもらえないと思ってまた萎縮した態度になってしまった……。確かに悪循環だ。

先輩 まあ、人の行動を変えようなんてことは、ものすごく時間がかかることだから、すぐそのチームの先輩が変わるのを期待しないで。すぐにあきらめないこと。それにね、怖い、苦手……でずっと自分が取りたくない態度でその先輩とかかわるのは、苦しくない? だから「自分がこの人とこうありたいって思える態度を“自分のために”取る」っていうスタンスでも、良いんじゃないのかな。

 そう言って先輩はコーヒーを飲んだ。

 この悪循環を断ち切って、良い循環に変えるのは私から。さて、何から始めたら良さそうだろうか。始めること、やめること、続けることを考えようと思う。

今日の元気ワード:人の心には「返報性」があることを知っておこう。相手にも自分にも

 こういうことを考えてまで、なんで仕事しないといけないのかと思うこともあるでしょう。なぜか。それは仕事だから。人と一緒に仕事してるから。プライベートや責任のない集まりなら、嫌いな人、苦手な人は疎遠にしても支障がないはず。仕事だからこそ、いろいろなことを考えて成果が出せるようにかかわることを考えなくてはいけないんですね。

※この記事は、誠ブログ明日の私を強くするビジネス元気ワード:「あの人ニガテだなぁ」を攻略する方法より転載、編集しています。

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