お金持ちには、回収するお金とあげるお金がある一生お金に困らない「華僑」の思考法則

常に読み通りに儲かるとは限らないのがビジネスというもの。想定した収益が上がらず、リターンを得られないケースも発生します。その場合はどうするのか?

» 2013年12月11日 10時00分 公開
[大城太,Business Media 誠]

集中連載『一生お金に困らない「華僑」の思考法則』について

 本連載は、2013年10月31日に発売した大城太著『一生お金に困らない「華僑」の思考法則』(日本実業出版社)から一部抜粋、編集しています。

 日本人だからこそ分かる華僑の行動法則。大物華僑の元で超実戦的な修行を積み、独立した初年度から年商1億円を稼ぎ出した著者が、自らが実践し、成果を出した「華僑の思考法則」を紹介します。

 破天荒な行動には理由がある。「スケジュールは常に空けておく」「とにかく“借り”をたくさん作る」「人を見るときは目ではなく、口を見る」「嫌いな人にこそ接近する」「ペットは好きでなくても飼う」──など、日本人にとっては「?」な華僑の常識。しかし、この思考法則や行動の由来をひも解くと、もうけにつながる驚くべき「人間の本質」が見えてきます。

 書籍では、門外不出といわれる華僑流の考え方をお金、仕事術、時間の使い方、コミュニケーション法、人脈術に分けて紹介している。華僑の元で修行をした著者だからこそ書ける、日本人には思いもよらない成功法則が満載。


 華僑のお金持ちは仲間への投資に積極的ですが、仲間といえどもリターンはしっかり計算します。私が医療機器メーカーを立ち上げる際に集まってくれた投資家たちも、さまざまなリターンを提示しました。

 ある人は投資経営ビザが欲しいと言い、ある人は利回り何パーセントで回せと言い、ある人は一緒にビジネスをやりたいと言う。中には「10年間は何もいらない、10年後に何を返してくれる?」と私を試す人もいました。このように求めるリターンは人それぞれですが、基本的には回収することを目的としてきっちりもうけを読んでいます。

回収が無理だと判断すれば即「損切り」

 しかし常に読み通りに儲かるとは限らないのがビジネスというもの。想定した収益が上がらず、リターンを得られないケースも発生します。その場合はどうするのか?相手の状況を見て回収困難であると判断すれば、あっさり損切りするのです。

 事実、お金を持っていない相手に返せと迫ったところで無理なものは無理。そんな相手を追い込めばパニックを起こして“窮鼠猫を噛む”となりかねません。無益な争いで傷口を広げるのはお互いに損ですから「もういいよ」と許して、お金をあげてしまうのです。

 許すことも想定に入っているため、華僑同士の取引において借用書や契約書を交わすことはまれです。お金を出すほうも出してもらうほうも、それを覚えているのだから問題なし。失敗して華僑社会から追い出されることもありません。とくにボスやお金持ちに気に入られている人は、何度でもリベンジのチャンスを与えられます。

 加えて華僑の常識として「お金で時間を買う」というものがあります。彼らにとって時間とお金の価値は同等。貴重な時間を費やして元を取りにいくより、なかったことにするほうが得。この損切りの潔さは、ビジネスに対する欲や覚悟と表裏一体です。

 華僑は皆が皆、成功を大前提として退路を絶つ覚悟でビジネスに取り組んでいるので、徒労に終わるような行動は一切しません。「むりやり取ろう」は「ムダな徒労」なのですね。

 対して、大半が会社員前提の日本人はどうでしょう? 損失をあきらめきれず元を取ろうと奮闘することが多いのではないでしょうか。それは自分の時間を売ってお給料をもらう、つまり「時間でお金を買う」感覚が浸透しているからではないかと私は思うのです。

元を取ろうとすればするだけ損失が増える

 損切りと聞けば株式や先物取引を連想するかもしれませんが、日常生活の中にも元を取るか損切りするかの分かれ道が多々あり、どちらへ進むかでビジネスセンスが分かってしまいます。

 例えば買物で失敗した時。写真が趣味の人がちょっと背伸びしてプロ仕様の画像処理ソフトを購入したものの、操作が難しくて使いこなせない。料理に目覚めた人が外国製の高級鍋を購入したものの、重い上に手入れが大変でどうも使い勝手が悪い。

 そこで「こりゃ失敗したな。でも高かったから使わないと損する」と不便さを我慢して使い続けるか、「あらら失敗した。もっと使いやすいものを買い直そう」とさっさと見切りをつけるか。

 どちらがビジネス上手かといえば、当然後者です。

 買物ならばまだしも、就職や転職先を間違えた場合でも、元を取ろうとする思考癖のある人はさっさと辞めて次へ行くことができません。自分に合わないと分かっていながら、もう少し我慢すれば得られるものがあるかもしれないとストレスを感じつつムダな時間を過ごすことになります。

 損失を認識してから損切りするまでの時間は短ければ短いほど得なのです。失敗した買物がもったいないと思うなら、人にあげてしまいましょう。それをちゃんと使いこなせる人にあげれば感謝されますしね。

 私もこれまでにたくさんの損失を出しましたが、すべて授業料だと割り切りバンバン損切りして、どんどん前進してきました。いちいち元を取ろうとこだわっていたら、きっと今ごろ路頭に迷っていることでしょう。

 気持ちを切り替えると同時に、怒ったり嘆いたりという負の感情も切り捨てることができるわけですから、さっさと損切りできる人のほうが豊かな人生を歩めることは間違いありません。

今回教え

「失敗しても損切りして前に進む」


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