大学全入時代、必要なのは学歴よりもビジネスセンス?一生お金に困らない「華僑」の思考法則

お金持ちは将来子どもから受け取るリターンもしっかりと計算した上で進路指導をします。よって進学についても、時には最終学歴よりも就職後に儲かる道を勧めるのです。

» 2014年02月05日 10時00分 公開
[大城太,Business Media 誠]

集中連載『一生お金に困らない「華僑」の思考法則』について

 本連載は、2013年10月31日に発売した大城太著『一生お金に困らない「華僑」の思考法則』(日本実業出版社)から一部抜粋、編集しています。

 日本人だからこそ分かる華僑の行動法則。大物華僑の元で超実戦的な修行を積み、独立した初年度から年商1億円を稼ぎ出した著者が、自らが実践し、成果を出した「華僑の思考法則」を紹介します。

 破天荒な行動には理由がある。「スケジュールは常に空けておく」「とにかく“借り”をたくさん作る」「人を見るときは目ではなく、口を見る」「嫌いな人にこそ接近する」「ペットは好きでなくても飼う」──など、日本人にとっては「?」な華僑の常識。しかし、この思考法則や行動の由来をひも解くと、もうけにつながる驚くべき「人間の本質」が見えてきます。

 書籍では、門外不出といわれる華僑流の考え方をお金、仕事術、時間の使い方、コミュニケーション法、人脈術に分けて紹介している。華僑の元で修行をした著者だからこそ書ける、日本人には思いもよらない成功法則が満載。


 続いて教育がらみのお金の話です。今度は親の立場で華僑の教育投資思考を紹介します。

 前回「お金持ちは、子どもの養育費も投資の1つ」で華僑は高学歴にこだわっているようなことを述べましたが、学歴にこだわるのは子どもにビジネスの才能がない場合です。学歴がなくてもお金があれば人も運も寄ってきますから、ビジネスの才能があるなら中学校を出てすぐにでもビジネスを始めさせたほうがよいと考える親も大勢いるのです。

 これは親に学費を返済することよりもさらに、日本人にとっては驚きの発想でしょう。しかし日本でもかつて松下幸之助や田中角栄が活躍した時代は、優秀な者こそが早く社会に出たものでした。高学歴を必要とするのは、ルールにのっとった仕事を行う国家公務員など一部の人だけだったのです。

 ビジネスを本領とする華僑も、基本的には学歴よりもビジネスの才能を優先し、子どものビジネスセンスを早い段階で見極めようとします。そのために子どもが幼いうちからテストを始めるのですが、テストといっても計算問題などではありません。三国志や中国の古典を読ませて、そのとらえ方でビジネスセンスをはかるのです。

 そこで、うちの子にはビジネスの才能がないかもしれないと判断した場合には、将来高い賃金で雇ってもらえるように教育費を投じてひたすら勉強させるわけです。ちなみに私は3人の子どもを持っていますが、長男にはビジネスの才能を見い出せなかったため、学校の勉強に集中させました。長女と次男にはビジネスの才能があるので、勉強よりもお金儲けの仕組みについて熱心に教えています。

親子の合意なくして勝手な投資はあり得ない

 どちらにしても子どもの幸せを考えてのことではありますが、華僑は将来子どもから受け取るリターンもしっかりと計算した上で進路指導をします。学費はもちろん、子どもが就職する時や起業する時の援助もすべて投資と考えています。

 とはいえ、投資というものは相手の合意なくして勝手にするものではありません。よく話し合い、子どもが納得して初めて親はお金を出すことができるのです。

 「あなたが将来こうなりたいのであれば、こんな方法やこんなルートがある」

 「将来まで見据えると、あなたが考えている進路よりもこちらの道のほうがよい」

 説得材料としての知識や情報が間違っていれば、投資に対するリターンも得られないわけですから、親も真剣に勉強します。

時には名より実を取るほうが子どものため

 ある華僑親子のケースを紹介しましょう。

 あるお金持ちの華僑の娘さんは、子どもの頃から勉強が得意でした。ビジネスの才能もあるのですが、お金には余裕があるし女の子だしということで進学路線となりました。しかしその娘さんが大学へ進む際、難関の国立大学工学部に合格したにもかかわらず、親御さんは私立大学薬学部への入学を勧めたのです。

 なぜかと言えば薬局チェーンを展開して成功している華僑が多いため、娘さんにも薬局を商うことを勧めたかったのです。工学部で研究をするよりも、私立大で薬剤師の資格を取って自分で商売をしたほうが確実に儲かる。そうしてビジネスを広げていけば、人を雇って店舗の運営を任せることもできる。将来結婚して子どもができた時に、子どもとの時間もたっぷり取れる。

 華僑は、よほどの大富豪でない限り女性も生涯働きますので、職業の選択は大変重い意味を持ちます。いずれ結婚して母となっても楽をして儲けられるように、娘さんの将来を見据えて私立大学を勧めたのですね。もちろんこの提案には、子どもが儲けてくれたら自分の老後も安泰だという計算も含まれています。

 あなたが子どもを持つ親だとして、これほど真剣に自分へのリターンまで計算して進路指導をするでしょうか? かく言う私も子どもへの助言や手助けはするものの、華僑のような投資思考には至っていません。

 だからこそ、子どもの教育には多少なりとも親のエゴが含まれているという事実は認めるべきでしょう。その上でお互いの合意なくして勝手な投資を押しつけないよう、正しい問題提起や進路指導ができるよう、親としての努力も必要だと肝に銘じています。

 大学全入時代においては、学歴よりもビジネスの才能を伸ばすほうが子どものためになる可能性もあります。高学歴なら何とかなると決めつけずに、子どものビジネスセンスに注目する柔軟性は、大いに学ぶべきではないでしょうか。

今回教え

「親子ともに有利な進路を考えて投資する」


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