水冷? 空冷? 冷蔵庫の節電対策を“自作”する:節電DIY(3/3 ページ)
いよいよ節電の夏がやってきた。台風以降涼しい日が続いたが、これから9月までが暑さの本番だ。夏本番の節電対策を“自作”しようではないか。
空冷、水冷で46%の節電に成功
側面にブロアーファン、上部にUSB扇風機(改)、水冷用障子紙の大型化、給水システムの改良を行った今年バージョンの節電効果を検証してみよう。実験は6月末の猛暑日に行った。というか猛暑日が来るのを待って実験した。
最初は冷却なしの素の状態で測定、その後水冷、空冷システムの設置を行い、障子紙に水が行き渡ったタイミングで測定を行った。実験方法は冷蔵庫の側面に温度計のセンサーを粘土で固定しガムテープを被せるように貼り側面温度を計測、冷蔵庫の10センチほど上の空間の温度を測定、キッチンの床から85センチの位置で室温を測定、冷蔵庫の消費電力をワットチェッカーで測定した。温度計、ワットチェッカー、時計を並べ、デジカメのインターバルタイマー機能で2秒ごとの動画を1時間撮影し1分ごとの各数値を記録しグラフ化した。
グラフを見てみよう。グラフの横軸は時間、左の縦軸は温度、右の縦軸は電力となっている。冷却なしでは赤線の消費電力は130ワットほどで推移、青線の冷蔵庫側面の温度は41度ほどで推移した。これに対し水冷、空冷を行った状態では赤線の消費電力は88ワットから117ワットまで上昇した後コンプレッサーが停止し9ワットに減少。20分後にコンプレッサーが再稼働し100ワットほどに急上昇した。青線の冷蔵庫側面の温度は30度ほどで推移した後、コンプレッサーが停止すると気化熱で26度まで急激に下がり、コンプレッサーが再稼働すると30度まで上昇した。
緑線の室温は冷却なしの測定を開始した14時半には33.9度(この日の外気温は36度ほど)、冷却ありの測定を開始した16時には33.7度、測定が終わった17時には33.4度となった。紫線の冷蔵庫上部10センチの温度は冷却なしでは35度で推移したが、冷却ありでは33.6度から32.4度へ降下した。
側面の温度は冷却を行うことでコンプレッサーが稼働時で10度前後、コンプレッサーが停止すると15度も下がった。実際に手で触れると熱かったものが冷たいと感じるほどの大きな変化が確認できた。消費電力も1時間の累積で冷却なしは毎時0.13キロワット、冷却ありは毎時0.07キロワットと46%ほど節電となった。冷却ありのグラフを見るとコンプレッサーが次に停止する間隔が分からないので、もう少し長時間の測定を行うとより正確な節電効果を検証できそうだ。細かなところでは冷蔵庫上部の温度が2〜3度下がっており、室温より下がっている理由は不明だが、USB扇風機(改)の効果が出ていると思われる。
この結果は正直言って予想以上だ。その後も冷却システムはこの状態で稼働していて、冷蔵庫に近付く度に障子紙の濡れ具合を確認、側面の温度を手で触れて確かめている。側面はほんのり暖かい状態と冷たい状態を繰り返していて、熱いと感じたことはない。改良の効果が実感できニンマリしている毎日だ。
昨年の給水方法では1回に500ミリリットルくらいしか給水できなかった。そのため水冷できていない時間がかなりあったと思われる。今回は3リットルの給水が可能となったが、それでも24時間は持たない感じで、半日ごとに2リットルほど給水を行っている。1日4リットルは少なくないが、トイレが1回十数リットルの水を流すのと比較すればまぁ我慢できる範囲だと思っている。
水冷システムを改良してから、短冊の選択を間違えると給水過剰となり障子紙から水がしたたり床が濡れることが多くなった。あふれた水の受け皿になるものをホームセンターをハシゴして探したが5センチ+αの幅に収まるトレイは見つからなかった。食品トレイを見つけたがサイズがNG、加えて100枚単位での販売。だがこれがヒントとなりスーパーでウナギの蒲焼きを購入。欲しかったのはウナギではなくトレイだったので速攻でウナギを食べ、空いたトレイを壁側の隙間に水受けとして設置、吸水スポンジも保険として敷いて水漏れ対策も行った。
今年の冷蔵庫の節電はこれでほぼ終了。細かな実験やカウンターキッチンの室温を下げる工夫は現在試行錯誤中なので、この連載の後半で紹介できればと思っている。3月の記事を読んだ方がTwitterなどで「水冷やってみようか」とつぶやいているのを見た。筆者としては効果はあるはずだがお勧めはしない。もしかすると冷蔵庫に悪影響があるかもしれないと危惧している。空冷、水冷と自作PCマニアみたいな方法なので、もし試す人は自己責任でトライしていただきたい。次回はエアコンの節電に関して考えてみたい。
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