宇宙ベンチャーのインターステラが「ねじのロケット」の打ち上げを延期

» 2020年07月20日 17時59分 公開
[今野大一ITmedia]
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 ホリエモンこと堀江貴文氏が取締役を務める宇宙ベンチャー、インターステラテクノロジズ(北海道大樹町)は7月19日、観測ロケット「ねじのロケット」の打ち上げを延期すると発表した。19日に同機を打ち上げようとしたものの、直前にメインエンジンの点火機の温度上昇が見られなかったため、制御プログラムが自動停止した。

photo 「ねじのロケット」打ち上げ準備時の様子(インターステラテクノロジズ提供)

 同機はもともと18日に打ち上げが予定されていたものの、上空の雲に含まれる「摂氏0度から摂氏マイナス20度の層」である氷結層が基準より厚かったため、発射が19日に延期されていた。19日午後4時5分ころに打ち上げを試みたものの、射場から発射させられなかった。

 同社は6月に、小型観測ロケット「えんとつ町のプペル MOMO5号機」を打ち上げたものの、エンジンノズルに異常が出たために高度100キロの宇宙空間には到達しなかった(「えんとつ町のプペル MOMO5号機」、打ち上げ実施も宇宙空間に到達ならず参照)。

photo 打ち上げ後に姿勢を崩した小型ロケット「えんとつ町のプペル MOMO5号機」(堀江貴文氏のYouTubeチャンネルより)

 6月に同社が開いた記者会見で、取締役の堀江貴文氏は記者の取材に対し「定常的に観測ロケットが打ち上がるのはわれわれのビジネス上、非常に意義のあること。連続して打ち上げが成功するようになると商用的、実用的に使えるという評価を受けることになる」と答えていた。ロケットの打ち上げを連続して成功させることによって信用を得ることが同社のビジネス上は不可欠であるものの、2度目の宇宙空間到達はならなかった。

photo オンライン記者会見で話す堀江貴文氏(背景の写真は2018年6月に打ち上げに失敗して爆発したMOMO2号機)

 同社の稲川社長に、ビジネスとして軌道に乗せていくことの難しさを実感しているかを問うと「機体の喪失もなかったため、部品の交換などの対策をした上で次の打ち上げができる。前向きに捉えている」と答えた。

 その上で「もし(ねじのロケットが)自動で止まらなかった場合、より大きな失敗につながった可能性もあった。ただ今回はコンピュータによって早めに(発射を)止められた。ロケットの健全性を検証する意味では成果だと考えている。次の打ち上げに向けて最大限の準備をしていきたい」とし、7月中の再挑戦を目指したいと語った。

photo 打ち上げ実施で起きた事象(以下、インターステラテクノロジズ提供)
photo エンジンの点火機の説明
photo ねじのロケットにねじを打ち込む様子

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