「NIHONMONO LOUNGE」を主催するJ-WAVEにとっても、準備に2年をかけた待ちに待ったオープンだった。延期の期間には、会場のステージを使ってアーティストの無観客ライブを放送する「♯音楽を止めるな」キャンペーンを展開。69組のアーティストが参加した。
レストランはオープン期間が55日間に短くなったものの、総支配人を務めるコンテンツマーケティング局の久保野永靖エグゼクティブプロデューサーは、「飲食業はJ-WAVEとしても初めての試み」と意気込む。
「中田英寿さんをディレクターに迎えて、清酒の一本一本も、食事の一膳一膳も、完成度と純度の高いものを用意しているのが、このNIHONMONO LOUNGEだと思います。食というエンターテインメントをプレゼンテーションする場です」
レストランは新型コロナ対策により、席数を当初の半分となる約100席に絞った。入り口では検温を実施し、パーテーションや消毒液も至るところに設置している、
ユニークなのは、予約も注文もオンラインでできる運営方法だ。入場は事前予約制で、「TableCheck」のアプリで予約する。会場では受付でコインを購入して席に着く形で、テーブルにメニューはない。受け取ったQRコードをモバイルオーダーシステムで読み取ってメニューを確認し、注文する。予約から注文まで全て自分のスマートフォンでできる。あとは酒や料理と引き換えにコインを渡す仕組みだ。
予約も注文もオンラインでできるユニークな運営方法。入場は事前予約制で「TableCheck」のアプリで予約。会場では受付でコインを購入して席に着く。テーブルにメニューはなく、受け取ったQRコードをモバイルオーダーシステムで読み取ってメニューを確認し、注文する「オーダーを取る必要がなく、決済も楽になるということで、既存のオンラインシステムを取り入れました。出店しているレストランは飲食の料金が通常数万円ほどかかるレストランも多い一方、ここなら少し高めのランチくらいの価格で高級店の一皿を食べることができます。日本の素晴らしさを再認識できる、いろいろな間口を広げるレストランになればと思っています」(久保野永靖エグゼクティブプロデューサー)
『ミシュランガイド 2017』でも 2 つ星を獲得している東京・西麻布「L’Effervescence」のマグロ豚骨ラーメン、ホワイトレバーと半熟卵のタルティン(上)、東京・学芸大学「件」の福島県産めひかりのカツオ節風味南蛮漬けと、おでん7種盛り合わせオープン前日には、ディレクターの中田英寿氏が会場に姿を見せた。中田氏は「J-WAVE NIHONMONO LOUNGE」を開く大きな目的は、「自分が全国をまわって出会ってきた、蔵元や生産者、シェフらを消費者とつなぐこと」だと説明する。
生産者もまた新型コロナの影響に苦しんでいる。ITmedia ビジネスオンラインは中田氏に、いまだからこそ「JーWAVE NIHONMONO LOUNGE」をオープンすることの意義を聞いた。
――新型コロナの影響が、生産者にどれくらい及んでいると把握していますか。
「農業や工芸品の細かいところまでは分かりませんが、親しい日本酒の蔵元からは、出荷が5割から6割減と聞いています。酒は米の収穫ができて、その米を買ってから生産が始まるのですが、米を買えるかどうか分からない蔵もあるなど、いろいろな話は聞いています」
――この場所でどのような支援をしたいと考えていますか。
「どうにか生産者と消費者をつなげられる場にしたい。いままでは、レストランがその役割を担う部分が非常に大きかったと思います。レストランなら日本酒を飲むけれども、家だと選び方が分からないから飲まないという人もいますよね。そのつなげ方をいろいろ工夫できるようになればいいのかなと思っています」
――中田さんは自身の会社「JAPAN CRAFT SAKE COMPANY(東京・港)」を設立して、酒や工芸品などの日本文化を世界に発信しています。日本酒や和食に、どのようなビジネスの可能性を感じていますか。
「可能性は非常に大きいと思います。ワインやシャンパンが広がったのは、フレンチやイタリアンといったそれぞれの業態が世界中で伸びた結果、食と一緒にワインも伸びてきたという前提がありますよね。
では、いま世界中で伸びているレストランの業態といえば、和食です。昔は海外で日本食を食べに行こうというと、『ちょっと変わった料理だな』と思う人が多かったのですが、いまでは日本食は当たり前のようになっています。大きなマーケットを持っていますし、世界的に見ても非常に大きなポテンシャルを秘めていると思います」
以上が中田氏へのインタビュー内容だ。中田氏はパーソナリティーを務めるJ-WAVEの番組「VOICES FROM NIHONMONO」(毎週土曜日午後10時)で、「J-WAVE NIHONMONO LOUNGE」で楽しめる日本酒や料理を紹介し、旅で出会った生産者とのエピソードなどを語る。
新型コロナの影響によって生産者も飲食店も苦境に立たされているなか、中田氏は高輪ゲートウェイ駅を舞台にしたレストランとメディアによって、日本の魅力と文化の情報発信を続けていく。
田中圭太郎(たなか けいたろう)
1973年生まれ。早稲田大学第一文学部東洋哲学専修卒。大分放送を経て2016年4月からフリーランス。雑誌・webで警察不祥事、労働問題、教育、政治、経済、パラリンピックなど幅広いテーマで執筆。「スポーツ報知大相撲ジャーナル」で相撲記事も担当。Webサイトはhttp://tanakakeitaro.link/。著書に『パラリンピックと日本 知られざる60年史』(集英社)
ITmedia ビジネスオンラインで連載中の「パラリンピックで日本が変わる」。
だが、そのパラリンピックがいつどこで始まったか、知る人は少ない。
そして、パラリンピックの発展に、日本という国が深く関わっていることも、ほとんどの日本人は知らない。
パラリンピック60年の歴史をひもときながら、障害者、医師、官僚、教師、そして皇室の人びとといった、パラリンピックの灯を今日までつなげてきた人日本人たちのドラマを、関係者の貴重な証言から描く。
日本の障害者スポーツ史の決定版。
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