居酒屋・パブレストラン業態の3月売り上げは「前々年比32.1%」 業界団体「今年中は厳しい状況が続く」経営危機は不可避(2/2 ページ)

» 2021年04月28日 16時56分 公開
[田中圭太郎ITmedia]
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業界団体が「休業要請避けて」要望も……

 飲食店に対して時短営業の要請が続く中、3度目の緊急事態宣言が検討されていた4月19日、日本フードサービス協会は西村康稔経済再生担当大臣と小池百合子東京都知事に要請を行った。要請は次のような内容だった。

 「外食産業は食のみならず国民生活を担うインフラ産業であり、仮にも飲食店に対し、休業要請、あるいは週末の休業要請が行われると、生活者に多大な影響を及ぼすため、休業要請は極力、避けていただくようお願いいたします。

 仮に、休業要請を行うに至った場合、外食企業各社は壊滅的な打撃を受けることは必至であり、現在の政府、行政による支援だけでは不十分であり、外食店舗の閉鎖、倒産などの経営危機に直面いたします」

 この要請で協会は、飲食店への休業要請を避けることを要望した上で、協力金の増額、雇用調整助成金の特例措置の延長、事業再構築補助金の見直しなどを求めた。

 その後、3度目の緊急事態宣言が東京都・大阪府・京都府・兵庫県で4月25日から出ている。飲食店への対応は、酒類やカラオケ設備を提供する飲食店には休業要請をし、提供しない店には午後8時までの時短営業を要請する形となった。

 飲食店全体に休業要請が出なかったことについて、協会では「飲食店全体の休業が避けられた点では最悪の事態は避けられた」と見ている。一方で、酒類を提供する店に対する休業要請と、提供しない場合の午後8時までの時短営業要請については、「居酒屋の業態の店舗に、酒を飲まずに食事だけのために来る人はほとんどいないので、非常に厳しい決定になった」と話す。さらに現在、4都府県への緊急事態宣言に加えて、まん延防止等重点措置の対象地域も広がりつつある。

 飲食業界はこの1年間、他の業種に比べて休業要請や時短営業要請によって大きな打撃を受けてきた業界の1つだ。それでも新型コロナの感染拡大がおさまらないことで、売り上げ回復への出口は見いだせないまま。協会では「居酒屋など酒類を提供する業態は、今年いっぱいは厳しい状況が続くのではないか」と、飲食店の閉鎖や倒産のさらなる増加を危惧している。

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